ビデオジャーナル56

最近、NHKで「洋楽倶楽部80's」がレギュラー番組化してくれて、とってもうれしい。
80年代は中学高校大学・・・とティーンエイジャーの時期をほとんどカバーした年代なので、リアルタイムであの多感な時期の思い出と重なるのはこの頃の音楽。もー毎週楽しみで、お酒を準備してテレビの前に鎮座し、番組見ながらつぶやきまくるのがもっぱらの楽しみ。
しかし最近気になっているのは、これよりちょっと前の音楽。70年代のポップス、それも女性ボーカルだ。
80年代にはカセットデッキなども手に入れていたので、ある程度自分の聴きたい音楽を聴きたいときに聴けたけど、70年代はまだ子どもだったので、洋楽というのはテレビCMであったり偶然かかっていたラジオではからずも耳にするものであったのだった。
それらは私にはずいぶんオトナの音楽に聞こえていて、いいかげん中年になった今聴いても「お姉さんの音楽」って思ってしまう。それもなんとなく「きれいなお姉さんが聴いてる音楽」というイメージ。
最近思い出すきっかけになったのは、昔妹がエレクトーンを習っていたときに使っていた「FUNFUNFUN」という楽譜集にシャーリーンの「愛はかげろうのように」が載っていたこと。この曲自体は80年代になってからのものなのだけど、私の印象としては70年代の女性ボーカルに近かった。
80年代以降だとマドンナ、シンディ・ローパーに代表されるように「女だって欲望のままに楽しみたい!」とアグレッシブだ。70年代の女性って、もっと控えめなイメージ。髪も長くてほっそりしてて、とても女性的。いや、マドンナはあれはあれでとても強烈に「女」なのだけど、70年代女性ボーカルに共通して感じるキーワードは「フェミニン」だ。線が細くて、「運命には流されてしまう」的な。「愛に生きる女」的な。
で、そんなにキメキメにオシャレってわけでもなく、どっか野暮ったさや緩さがあるのがむしろオトナっぽい。
あと、どこか翳りを感じさせる。

「そよ風の誘惑」の頃のオリビアニュートンジョンも「フェミニン」
日本だと、いわゆるニューミュージックの頃の女の人の感じ。
杏里の「オリビアを聴きながら」のオリビアは彼女だそうだが、あの歌に出てくる女の人がジャスミンティー飲みながら聴いてるのはこのあたりの時期の曲だろう。決して「フィジカル」「ザナドゥー」ではあるまい。

この「フェミニン」な感じって、80年代以降にはびっくりするほど無くなっちゃったよなあ。
それでもって、今もさがしてもどこにも無い。
リビアも80年代以降「フィジカル」なんか歌う頃には、立派に「The 80's」なアクティブな女になってしまった。
そうだ、今の時代には「お姉さん」が足りない!「お姐さん」や「おねえちゃん」はいっぱいいるけど、「お姉さん」はいない。いくつになっても「女子」と自称してはばからないアラフォー世代、その下の世代になるとやや女性性を封印ししがちだし、ライフスタイルのキーワードになるのは「ガーリー」だもの。ミステリアスな憧れの年上の女性「お姉さん」は絶滅危惧種ではないか。
んで、私にとって、そんな「お姉さん」ボーカルの代表格はキャロルキングです。フェミニンというにはちょっと男気があるかもしれないけどね。80年代以降の女子の男気とはまた違うよね。

80年代から女は急にめきめき強くなって、できることも増えて、言いたいことも言えるようになって、欲しいものは買えるようになった。
でも80年代以降よりも、70年代の女性ボーカルの方にのびやかさと自由さをより感じるのはなんでだろー?
その謎にせまるべく、そんなわけで、ちょっと私の中では「お姉さん」ブームです。