思い出しながら

10月もバタバタと過ぎて、はや11月。うっかりするとジングルベルも聞こえてきちゃう今日この頃。
10月はITパスポート試験があったり、自分とこのサークルのコンサートもあったりで、ライブなどに行く時間があまり無かった。
<詳細忘れたが、ウィーンフィルの人のトリオ公演@池袋芸術劇場大ホール>
知人が抽選で当たったので・・・と誘ってくれたもの。芸術劇場の大ホールって初めて行った。3階席まであるすごい大きな立派なホールなのね。お笑いとか演芸だと地下の小ホールだから、上のホールのことはぜんぜん知らず目ウロコ。ピアノ、チェロ、バイオリンのトリオで。まずはドボルザーク組曲(タイトル忘れ・・・)を6楽章までやった後、2部ではアラカルト的にクラシックの小品をいろいろ。花のワルツもあったりするかと思えば、五木の子守唄のアレンジものまで幅広く。そしてアンコールを3回もやってくれて、最後はなんとビートルズともりだくさんの大サービス。これから学校公演で全国まわるとのことだったので、全曲演っておきたかったのかもね。
ところどころで演奏者にインタビューがあって、子どもの頃のことを聞かれていたが、みな「ハイパーアクティブな子どもだった」と言っていた。通訳の人は「活発な」と訳していたけど、いわゆる「多動」の子どもだったってことだよな。ピアニストの人は親が心配していろんな習い事をさせたけど続かなかったのに、ある日地下室でおんぼろキーボードを見つけて夢中になること数年。親達は何年もそのことに気がつかなくて、ある日気づいてあわててピアノを習わせた、そして今に至ったのだそうだ。気づいてもらえてよかったねー。
この人たちは何回も日本に来ているのだが、純粋に音楽のために来ているということで徹底している。あるとき主催者が良かれと思って観光を企画してバスであちこち見せて歩いたら後で「気持ちはありがたいが、自分達は遊びに来ているのではなく、音楽のために来ている。二度とこういうことはしないでくれ。」と怒られたそうだ。おお、ストイック!
三柴理 プログレッシブコンサート>
最近、どんな人の生ステージを見てもさほど感激しなくなってきた東京病の私が、唯一生演奏にしびれるピアノ演奏家三柴理。いろんな人のサポートではよくステージにあがるものの、単独名義のコンサートはなかなかやってくれないので、今回はもう8月から予約して楽しみにしていた。

(年が明けましたが今さら追記・・・。)
この日は台風の直撃が予報されていた日だった上、あまりPRもできなかったそうで、お客さんが少なかったらどうしようと三柴さんも心配していたらしい。「少なかったら握手会にして終わりにしようと思っていた。」と。
プログラムはフィリップ・グラスに始まり、オリジナル曲、耳馴染みのあるクラシック取り混ぜて。でも基本的に現代曲が多くて、三柴さんも現代曲が好きらしい。なんか「すげー、おもしれー!」って思うのが彼のヒットポイント。フィリップ・グラススティーブ・ライヒを「ミニマルミュージックという商売で当てた人」と紹介したり、リゲティの「100台のメトロノーム」という現代曲のことを目をキラキラさせて話したり、現代曲を含めたクラシック音楽に対するユニークな視点に甚だ共感。現代曲っていろいろ理屈はあるんだろうけど、まず「何これ?!」的な面白さがあるよね。
三柴さんはけっこう高校時代に「ラジオを聴いていたら偶然・・・・」「テレビを見ていたら偶然・・・」という形で現代曲や現代アートに出会っているみたいだったが、私もそうだった。フィリップ・グラスを知ったのは「ミッドナイトアートシアター」という深夜の映画番組で放送された映画「コヤニスカッティ」を録画して観たら、音楽が彼だったことから。20年前はけっこう、田舎で普通に暮らしていても(三柴さんは東京出身だけど。)、現代アートやアートっぽいものに触れる機会ってけっこうあった。おそらく西武グループの作り出した「セゾン文化」が一番元気だった時代だったんだろう。三柴さんと私はほぼ同世代なんで、同じところを通り抜けてきた部分もあるんだと思う。「企業メセナ」なんて言葉もあったな。企業が芸術にお金を使うのがステイタスだった。私にしてみればそこらへんが原点で、生活と芸術が渾然一体となるのは当然の感覚だったのだが、時代は変わってしまいましたね・・・しょぼん・・・。
話がそれたが、高校時代までクラシック一辺倒でロックを聴いたことがなかった三柴さんが「ロックは8ビートである」という強引な解釈で作った初めてのロック「上半身ガール」の疾走感が印象的だった。ロックというより、怪獣映画のBGMっぽい。
前半はピアノ一本、後半は「金鶴」名義でシンセサイザーが少し入ったけど、私はやっぱりピアノ一本で勝負する三柴さんが好きですねえ。ストイックで、なんか「漢」って感じ。それから、見ていて「この人、本当にピアノが好きなんだな。」というオーラがびしびし伝わってくる。気持ちいい。超絶技巧のピアノ、クラシックのマニアックトーク、そして愛される人柄。ぜひぜひ、単独ライブをまた!

現代曲は言葉で説明できないので参考のために動画を。↓

リゲティ「100台のアコーディオン」の動画。雨の音みたい・・・。ザッツ・ポリリズム

グラス「浜辺のアインシュタイン」。三柴さんが「リズムを口で言っている曲。」と言っていたのはこれか。