やねせんモーニングライフ

根津に引っ越して1年を越えたが、最近休みの日は早く起きて、モーニングを食べに行くのが楽しみなのである。
もはや趣味と言ってもいい。
この趣味の話をしたら「ええっ、休みの日に午前中から起きてるの!」ってフリーランス仲間に驚かれた。
いやあ、昔は昼ごろまで寝てたけどね、根津に引っ越してから早く起きるようになったのだ。
この土地が好きで引っ越した割には職場が遠かったり、実家の事情で土日は帰省してたり、アコーディオンのからみの用事があったり、年甲斐もなく通い始めた教習所があったりなどなど、根津界隈を満喫できる状態ではないところ、かろうじて朝だけは自由になる時間がとれるからである。
あと、私は案外ケチなので、夜は一人で飲みにいかない。だって、2000円じゃ済まないもの。一人だとこれが、もったいない。
それに比べてモーニングは500円でおつりが来る上に、案外この街の素顔の雰囲気にひたれるモンがあって楽しいのだ。


さて、お店も多くて一見カフェ天国のように思えるやねせん界隈であるが、モーニングっていうと案外選択肢が限られる。
私がモーニングを食べたい時間は朝の8時から9時代なのだが、案外このあたりのカフェ関係の開店時間は遅くて、10時〜11時。
そんなわけで何件かの店を繰り回している感じではあるけれど、朝の下町ってのも味があって、まずお客さんがほとんど地元の年配の人。
ほとんど毎日来てるみたいで、「いつもの!」とか頼んだりしてる。
飲み屋じゃなくても「いつもの!」ってアリなんだ・・・とびっくり。


というわけでやねせん(てゆうか、ほぼ根津)の私のモーニング愛用カフェ一覧。


<パンドミー>
根津駅近くのイートインのパン屋さん。ショーケースからパンを選ぶところがちょっと変わってる。私はトーストとサラダとコーヒーのセットが定番だけど、好みのパンにサラダ・飲み物(スープもあり)を組み合わせるセットもあるみたい。トーストのパンがみっちりしてて甘くて美味しい。お客さんもお店の人も思いっきりジモティなので、ときどき面白い話を立ち聞きできたりもする。混んでることは少ない。プリンやソフトクリームもある。気取らないベーカリーカフェ。


<珈琲館>
いわずと知れたチェーン店なれど、けっこう街に根付いて愛されてるお店。モーニングセットが豊富で、とくにスクランブルエッグが食べたくなった時に愛用。フレンチトーストもあるし、その気になれば名物のホットケーキもいい。昼下がりや、土日はそれなりに混んでるけど、朝はいい感じに空いてます。けっこうオッサン客多し。「いつもの!」を目撃したのもこの店。接客にやっぱり母体が大きい会社なのだな、と思わせる安定感があって、趣味でやってるよーなカフェとは一線を画している。安くはないが、けっこうお気に入り。


カフェ・ド・クリエ
これもチェーンだけどね。季節が良ければオープンエア席が気持ちいい。ちょっと蚊がいたりするけど。
朝9時前に行ってもけっこう混んでる。お客さんの話を盗み聞きするに、この近くになる日医大の患者さんみたい。朝行って診察券入れて受付してきて、時間つぶしに来る人が多いんだ。そのせいか、すっごくおばあさんの比率が高いッス。おしゃべりの声もすごい。また、オープンエア席があるので、犬の散歩の途中の人が犬連れで立ち寄ることも多い。


<谷中珈琲>
ここは9時からやってるかどうか忘れたけど、厚切りトーストのモーニングセットがあるです。
ちょっとうちからは遠いのであんまり頻度は高くない。


サンマルクカフェ>
まあチェーンだけど、無難に使える一店。ソフトバンクwi-fiが入るので、仕事のメールとかチェックしながらモーニング食べれる。名前忘れたけど、ベーコンと卵を焼きこんだデニッシュぽいパンを食べることが多い。
ここもちょっと気分的に遠いのでときどき。


こうしてみるとチェーン店多いな。
個人店はどうも、あんまり早い時間やってないのだよね・・・。


しかし、実は今日、昼の時間が中途半端になってしまったので、初めて行ってみた蕎麦屋鷹匠」。
ここが朝7:30からやってることを発見!朝から蕎麦っていうのもできるじゃないか!
というわけで、近々朝から蕎麦ってのをやってみる所存。
ここの蕎麦、ものすごく美味いし、嬉しいことにミニビールってのがあって(210円)、それが私の好きなエーデルピルスなのがポイント高い。朝から飲んじゃいそう。たまにはそういう日があっても。

http://tabelog.com/tokyo/A1311/A131106/13009812/


あと、豆腐屋の須田ってとこがあるのだが、ここも朝膳ってのをやってるんだね。
ちょっと朝からだとぜいたくな値段になるが、いつか行こう。

http://tabelog.com/tokyo/A1311/A131106/13047113/

おお、生きてたのね!

「メルシー兄弟と従妹」を検索すると、この、自分のブログが検索の一件目になってしまうということで、ひさびさに立ち寄ってみて、うろおぼえのパスワードでログインしたら、入れた!生きてたんだね、このブログ。
ほぼ一年と2か月ぶりくらいのログインですぅ。
いろいろと恥も多いこのブログだけど、自分が一番演芸やライブというものをまじめに見ていた時期のものなので、今読むと他人事のようで興味深いもんがあるのが実際。

家庭の事情でいろいろあって、ライブに行くこと自体控えていた時期もあったり、ただただ仕事で忙しかったりでライブ自体見られない時期が続いたのだけど、最近少しずつ、余裕が出てきた。
またちらほら、書いていこうかと思います。

あ、相変わらず平常心な谷根千ライフは継続中。
せっかくこのあたりの雰囲気が好きで引っ越したのに、仕事だのなんだので他の地域に出向いていることが多くって、あんまり満喫できてないのが不満ではあるのだが・・。

谷中だより

7月末に引越しをした。
といっても、3丁目から2丁目に移動・・・という小規模なものだが、住所は谷中ながら居住空間はほとんど根津といった感じで、いままでとは微妙に雰囲気が違う。
根津の藍染大通りにほどちかいこじんまりしたマンションに越したのだけど、根津は日暮里寄りの谷中にくらべて飲食店が多く、比較的遅くまでやっているのがポイント。低層建築が多く、間口の小さい商店が多い。飲食店が多いのは、やはりこの辺が根津神社と根津の遊郭を中心に発達した町であることも関係しているのだろう。お寺の中に町がある谷中とは違って、ちょっと日陰っぽいムードのある町である。
チェーン店、コンビニもほぼ皆無。わずかに「珈琲館」と「デイリーヤマザキ」があるが、ヤマザキなんか23時に閉店しちゃうんで、コンビニとしてはハンパなのである。喫茶店、カフェは個人店がたくさん。ドトールだのスタバは無い。どうもこの界隈は、長居できる店しか残っていけないように思う。
一番近いセブンイレブンまで徒歩10分弱なので、小荷物を発送するときなんかはちょっと不便。でも根津降りてすぐにスーパー赤札堂とドラッグストア一本堂があるから、生活用品はさほど困らないのだよね。
あと、赤札堂は食材のバリエーションが多くて楽しい。とくに2階、お酒、塩、砂糖、醤油、お酢、油、めんつゆ等の調味料の種類がすごくいろいろあって、用も無いのに行って眺めているだけでも楽しい。値段はそこそこなんで、やっぱりこの辺の人たちは生活水準高いんだなとは思うが。


ともあれ、ランチ、ディナーとも1,000円以内でおつりが来てそこそこ美味しいお店の選択肢が増えたのがうれしい。
まあ、そんなに毎日外食してたらフトコロがもたないので、基本的には自炊ですけどねえ。
いま、楽しんでいろんなお店をチェック中。
やっぱり近所に住むとなると適度に「平常心」のお店がいいねえ。
観光なら食べるのも娯楽のうちなので、こだわりの店、変わった店がいいけど、日常の食は「生活」そのものだから、値段も味も雰囲気もよすぎないのがいい。(あっ、下にあげた店の味がよくないって言ってるわけではないよー。基本的には美味しいです。ただ、「料理からおしつけられる情報量」が少ないってことです。日常の食には、これが多いと疲れる。○○産の××とか、△△秘伝のナントカとか、そういう情報は娯楽の範疇、趣味の領域と私は思っているので。)

<松好>
釜飯。混んでいると店の人がなかなかオーダー取りにこないのが難だけど、ここのあさり釜飯はホント旨い。ランチもやってるようだが、まだ未体験。夜に比べると安いので今度食べたい。ここはどっちかというと娯楽としての食の店かな。
<かめや>
定食。よくもわるくも定食屋。すっごく美味しいとかでもすっごくまずいとかでもない平常心のご飯。でも日替わり定食650円(ホントは700円だが、私はご飯を小にするので50円安い。)で、ご飯・味噌汁・おかず・小鉢・おしんこのセットはしみじみありがたい。営業時間中はいないので気がつかなかったが、猫がいるらしい。閉店後、店の前のマットのとこに寝ている。
<バンセーンアロイチンチン>
タイ料理。お弁当が600円前後。グリーンカレーレッドカレーもあるが、私は海南チキンライス、タイでいうところのカオマーガイが好き。これとビールを買って帰って、家でいただくのがよい感じ。カオーマーガイってさっぱり味なので、ついお醤油かけたくなってしまう。かけたら美味しいだろうなー・・・と思いながら、まだやったことない。
<杉むら>
ややオシャレ蕎麦屋。お酒を切子グラスで出してくれたり。ソバツユは辛めで江戸前?って思わせるけど、お通しが野沢菜だったりするので、信州蕎麦系なのかもしれない。揚げナス入りの冷やし蕎麦が美味しかった。これはうどんだしみたいな透明のだしつゆ。引越し当日、業者さんを送り出した後、ひとりで食べに来たのだった。心底旨かったー
ここもこだわりの蕎麦屋というより、平常心の蕎麦屋
<パンドミー>
根津駅ちかくのパン屋さん。朝早くからやってるので、休日にモーニング食べに行く。トーストにサラダとコーヒーのセットで490円だったかな。いわゆるイートインベーカリー。パンがガラスケースに入っているので、お店の人に出してもらうのがちょっと変わってるかな。ご近所さんの憩いの場。
海上海>
中華。定食が800円くらい。うっかりたのんだら、ご飯がお櫃でやってきてビックリ。オカズもご飯も美味しいんでたいらげちゃったけど、次回は少なめで頼もう。お腹いっぱいになる。めずらしい中華料理がいっぱい。単品はそんなに安くないので、やっぱりひとりでは楽しみきれない。でも単品+ビールという手もありか。
<コーツトカフェ>
今回の引越しでものすごくご近所になったんだが、高めなのでフトコロあったかいときだけ。雑貨も売ってるオシャレカフェ。夜行きたいと思いつつ、しょっちゅう貸切になっててなかなか行けないのだよなあー。
<オトメ>
中華。全体にあじつけ薄め、日本の中華料理!な感じ。老若男女とわず、一人客が多いのが心強い。五果皮サワーというお酒があって、体調に不安があるときはつい飲んでしまう。甘酸っぱくてちょっと漢方薬の後味。


全体的な印象として、お酒が安くないのが印象的。
ビール一杯が600円から700円する。
いや、考えてみれば適性価格、普通の値段なのだけど、最近ビール一杯390円くらいで出すところ増えたので、高く感じてしまうのね。
でも、安いと飲みすぎてしまうからね、これでいいのだと思いましょう。


まあとにかく、まだまだ探求の余地のある根津界隈です。行ってない店がまだいっぱい!

ビデオジャーナル58

更新、ひさしぶりー。
ホントにライブとか、行けてないんですもん。
8月5日に、なんとかやっと流浪の朝謡のレコ発(レコードではないが・・・。)ライブ行って、感動・感激の嵐で帰ってきたけど、それがかなり、かなーりのドひさしぶりだったのだった。
仕事が忙しいのもあるけど、アコーディオン活動も忙しい。
日曜音楽家は多忙なのだよ。だって、平日は社会人だし。


そんな日曜音楽家生活であるが、秋にはイベントが多くそのための仕込みが夏に集中する。8月にはたいてい、3,4曲同時進行で仕上げている。そこはそれ、コレで食べてるわけではないんで、練習の時間がなかなか割けないのが悩みのタネ。
なんとかここんとこ、9月のサークルの発表会に向けては少し時間をとれるようになってきたが。


楽器の練習もするけれど、イメージを広げたり固めたりするために人の演奏もできるだけたくさん聴いたり、観たりするようにしている。こういうときネットはとても便利なのだが、ヘンなものを見つけてしまって脱線してしまうことも多い。
今回、アンサンブルで練習しているのがビートルズの「オブラディオブラダ」なので、本家の演奏を含めいろんなカバーを聴いてみようとYoutubeに。そこで見つけたのがコレ。

Youtubeでカバーバージョンを探していると、かなりの確率で素人の演奏映像に当たってしまうので、これもそうかな?と思ったんだけど、それにしてはボーカルが上手すぎる・・・。
関連動画からたどってみると、どうやら「Cover Tune Grab Bag」という一連のシリーズになっていることがわかった。基本的にワンショットでカット割りなしの一発撮りで、80年代から90年代のヒット曲をアコースティックカバーするという手法で一貫しているようだ。
演奏も歌もぜんぜんきっちりしてなくて、ゆるゆる。ときどき間違えたり、途中で笑っちゃったりもするが、そのまま演奏を最後まで強行。その場に無い楽器の音は口三味線で代用。出演者もみんな普通のオッサンやアンチャン的なちょっとだらしない感じのそこらへんの馬の骨チック。しかしその底抜けに楽しそうな様子、ためらいのないおバカっぷりがいい味出してて、ついついほとんどの動画を見てしまった。
その中でも気に入ったのを。
Bon Joviの「Dead or Alive
ギター多すぎ!笑っちゃうほどみんなヘタクソだけど、キメのところだけちゃんと合うから可笑しい。

Tears For Fears「Shout」
パーカッションがチープだけど、ちゃんと原曲っぽい雰囲気出してて感心した。

このバンド、MercyMeというらしいが、ネットで調べても「アメリカのクリスチャンロックバンド」という以上の情報が出てこない。なんだ?クリスチャンロックバンドって???

ビデオジャーナル57

めくるめく浜口庫之助の世界・・・、なんつって。
「涙くんさよなら」に触発されて、私ただいまハマクラブームであります。
その気になって調べてみたら、この人の曲をけっこう知っていたことが判明。
「愛して愛して愛しちゃったのよ」「黄色いさくらんぼ」も、お茶目な曲だなあと思っていたら、この人だった。
「人生いろいろ」「恍惚のブルース」の作曲者だったのかあ・・・。
知らず知らずにおぼえて口ずさんでいる、明るくて屈託の無い曲が多い。
元気で明るいのだけど、無神経じゃなくてナイーブなとこもあって、しみじみいいなあと思う。
勝てるのに、あえて「負けを選ぶ人」みたいな優しさがある。
人の悲しみを外から眺めて笑ってみるようなドライさもあるんだけど、冷たくない。あったかい。

作曲のみ、作詞のみ、作詞作曲を両方てがけたものとあるが、だんぜん作詞モノがいい味わい。
言語感覚がステキすぎるのだ。
なんだよ、「泣いちっち」って・・・。

妹が昔、エレクトーンの発表会で弾いていたこの曲もそうだったんだ。
スキップしたくなる♪

これはちょっと衝撃。「こちょこちょ娘」
や、やっぱりステキな言語感覚。

めぐりんず顛末記

一箱古本市の企画で、アコーディオンで何かやりませんか・・・というお話を実行委員の方から頂いたのは2月か3月頃だったと思う。私がアコーディオンをやっていること、Twitterナツメロ番組みながらつぶやきまくっていること・・・などの要素から、会場である「千駄木の郷」の雰囲気には合うのではないか、ということだった。
依頼は30分を2セット。この時点では5月3日なんてはるか先のことに思えていたので、私はわりと気軽に「やりましょう。」と孫正義のごとく答えて平気な顔をしていた。
が、よく考えたらつたない私のアコの腕前で、演奏だけで30分もたすのはけっこうキツイ。いわゆるライブ、コンサートという枠組みではなくて、よくアコーディオン関係の活動で呼ばれてやってるみたいに、お客さんに歌ってもらう「うたごえ喫茶」スタイルならイケるのではないか・・・と考えた。それでも30分、アコーディオンだけでは単調になるので、他の楽器も入れたいと思い、ウクレレMLでメンバー募集を発信。2名が賛同してくれた。2人とも歌うのが大好き。よしよし。
ユニット名も無いとカッコつかないね。うーん、私が「めぐみ」だし、谷中は台東区で周遊バスが「めぐりん」だし、「めぐりんず」でいっか、とかなりいーかげんな思いつきで命名。でも考えたら、会場の千駄木は文京区。「びーぐるず」にしないといけなかったのネ。


選曲。
当初はナツメロでノリがいいモノを中心にして、勢いで盛り上げよう、と軽快なテンポ、明るい曲調のもの・・・。と、選んでいた。「東京ラプソディ」なんかも候補にしてた。しかし、そのあたりであの震災が。
震災後しばらく頭がぼーっとして音楽のことなど考えられなかったが、落ち着いてから少し考えが変わった。
人の心によりそうような、優しい曲をやりたい。元気が出る曲より、ほっとする曲を。
そこでメンバーに相談したところ、女性メンバー(実は80代!)からこの曲を提案された。

かわいらしくてお茶目で優しくて、いいじゃないか。
震災を節目に、いままでと違った意味に聞こえてきた曲というのがあって、しみじみ聞いてみるとこの曲もそんな感じだ。
ということで採用。
あとはベタだけど「見上げてごらん夜の星を」ということでこれを採用。
そして、これまたベタだけど「ふるさと」を・・・。でも、ほんとに最近、この曲聴くと涙が出てくる。これはもう、日本の国歌にすべきだ!


さてさてその後、参加表明してくれていたメンバーが体調不良で急遽欠席し、ボーカルが交代無しになってしまったり、9曲中まともにうちあわせできているのが半分だったり(居酒屋で打ち合わせ兼練習をするのだけど、途中から脱線して他の曲を弾いて遊んでしまったり・・・そんなわけで前半の曲は打ち合わせできてたんだが、後半はあやしかった。「ふるさと」なんかキーが「D」であることしかメモってなくて、後で慌てて自分でコードを起こしたのであった。)・・・のまま本番へ。30分ってけっこう長いので、万が一のために曲の合間に話すこともいっぱい調べて、「東京節」は観光ガイドみたいな曲だから谷根千バージョンが無いとカッコつかないぞ!と前日に思い立ってあわてて作って持参し、とにかく演奏が破綻しないように必死で弾いていた本番中・・・ふと気がつくと、私たちは客席からの歌声に包まれていた。この瞬間、うれしかったですねえ、ホント。
う〜ん、こんな幸せな瞬間って、ちょっと、無いっ。
とくに2回目のセットでは千駄木の郷の入居者の方々が車椅子で10人以上集まってくれて、心底楽しそうに聴いてくれて歌ってくれて、ちょっと胸がじーんとしてしまった。
流行歌って、曲そのものに力がある。人の心を、一気にその時代に連れ戻す力。
それからアコーディオンの音色。音色に人の心に働きかける不思議なパワー、吸引力があるんだよね。これはアコーディオンの楽器としての性格そのもので、弾く人間の腕前とはあまり関係なかったりするのが悔しいが。
さらに、ボーカルのFさんの歌唱力に負うところも多かった。ほんとに助かりました。
私だけではとてもライブとして成り立たなかったに違いない。感謝です。
それから声をかけていただいて、いろいろな準備や会場の手配もしていただいた実行委員のY様、ありがとうございました。歌ってくださったお客様、ありがとうございました。


反省点はいろいろあるが、まあ、30分×2というシロートにはハードなステージをなんとか破綻無く乗り切ったということで、少し自信がついたかなっ。でもけっこうヤッツケ仕事になってしまい曲の細部の詰めが甘かったので、今後は3,4曲を丁寧にしあげて、15分くらいのステージ・・・をやってみたいわね。
しみじみ実感したのは、「演奏する」ということと「喋る」ということは、どうやら脳は別の回路を使っているらしいということ。切り替えが難しいんである。皆さん、ぜひやってみて下さい・・・。


そして個人的には今回のことが、浜口庫之助の魅力を再認識するきっかけとなりました。
かわいらしくて粋でお茶目で、ペーソスがあってお間抜けで、あったかくて優しくて、チャーミング。
この人の曲もいろいろ発掘していきたい。
この曲なんか、すごくかわいい。

「めぐりんず」も思いつきで作ったユニットだけど、これをきっかけにナツメロ発掘ユニットとして、地味ィーに活動して行こうかなと思っている。都度、メンバーを募りながらね。


<5月14日 追記>


私がヤッツケで作った「東京節 一箱古本市編」
せっかくだから書いて残しておこう。
ほんとはもっと地名とか織り込んで作りたかったんだけど、何せ思いついたのが前日だったもので・・・。
(Fさん、当日いきなり渡してすみません。歌ってくれてありがとー!)

ちょっと考えてみたが、財布⇒MAPの方がよかったな。
ということで取り消し線にて修正。


近ごろウワサの谷根千
今日は一箱古本市
掘り出し物があるかもね
財布MAPを片手に探検だ
ちょっときばって買いすぎて
気がつきゃ両手に大荷物
それみてニャンコが笑ってる
ラメチャンタラギッチョンチョンでパイノパイノパイ
財布は空っぽ、ツライツライツライ

ガンダム講談

そうそう、あと、震災後に観たエンターティメント3発目は「ガンダム講談」でした。神保町のらくごカフェで開催されたもの。
旭堂南半球さんは関西在住のため、なかなか東京方面で演ってくれず、ひさびさのお目見え。
東京を「地球連邦」と称したり、着物の紋がジオンの紋章だったり、スタッフがジオンのコスプレしてたり、遊びが徹底してるので、私としては好感を持っているのだが、友達を誘って見に行くかどうかは微妙なところ。
やっぱ、ガンダムがある程度わからないと、厳しい・・・というライン上にあるので、講談としてフラットに聴いてもらえるかどうかのギリギリの線。
私世代にしてみれば、ガンダムというのは好むと好まざるにかかわらず、なんとなく育ってきたバックボーンに持っている「物語」として存在していて、ある意味「忠臣蔵」とか「国定忠治」みたいなものと言えなくも無い。そうした解釈と講談というスタイルを結びつけることで生まれるパスティーシュ的なひねった楽しみが、私にとってのガンダム講談のキモでもある。でもそれだけに、「企画物」「キワ物」「色物」的な性質がどうしてもぬぐえず、演芸ファン的目線でみると、結果的に一緒に演っている古典講談の宝井琴柑ちゃんの安定感の方が際立ってしまうのだよね。
しかし、「ガンダムファン」目線で見るとまったく違う楽しみがあるのだし、ガンダムという言葉にひきつけられてやって来たであろう客はみんな20代から30代と、若い。これをきっかけにして講談という芸能を知ってもらう機会としては、すごくいい「場」になってると思う。女子率も高くて、ある種の落語会にただよういけすかない淀み感が無く、値踏みをするような視線のオヤジがいないのがよかった。
講談ネタとしての「ガンダム講談」については、今後ターゲットをどこまで割り切れるかが彼の勝負どころとなろう。私、「Zガンダム講談」にはたぶんついていけない。

さて、マクラ(というのかな、講談でも。)によれば彼は「震災チルドレン」とのこと。阪神大震災の被災者なのである。地震の後、建物がつぶれまくった街の中、自転車で様子を見に行ったことがあるという。倒れた建物の間の狭い道を、避難民がぞろぞろ歩いている光景に出くわし、なぜかガンダムF91を思い出したと話していた。私はよく知らないが、ガンダムの中でも地味な作品らしい。でも、震災の後の惨状とオーバーラップするシーンがたくさんあるそうで、最近怖くて観られないということだった。
ファーストガンダムのテレビ版予告編はかならず「君は生きのびることができるか」というセリフで締めくくられている。この言葉が被災したときにものすごいリアリティを持ってひびいたのだそうだ。そしていま、またものすごい重みを持って、ひびいてくる言葉となっている。
たしかになあ。


今回の震災の映像をいろいろ観ていて、たしかにすごい惨状なのだけど、なんだかどこかでみたようなデジャヴ感がずっと私の中にあった。よくよく考えてみると、小さい頃から見ていたロボットアニメやSFマンガで見たことがある光景に似ているのだ。一面破壊されて、荒れ果てた街なんて、何回観ただろう。
私たちは、ぜんぶ知っていたのではないか?
こうならないように警鐘を発するのがフィクションの役割だったとしたら、手遅れなのではないか?
それが今、ほんものになってしまった。現実がフィクションを越えたとき、フィクションに何ができるのであろうか?
これから「SFアニメ」というものの役割は、どうなってしまうのであろうか?
まあ、こうなってしまった今、あらためて昔のSFマンガやアニメを見直してみると、なにか突破口になるものがあるかもしれないとも思うけどね。まず手始めに、やっぱりファーストガンダムか?


と、楽しみに行ったはずなのに、なんだかいろんなことを考えてしまった講談会でありました。
内容は面白かったし、満足だったのだけどね。
「ランバラル降下」もよかったが、「鬼戦車ヒルドルブ」の昔かたぎの戦車乗りの心意気が印象的。
それにしても宝井琴柑ちゃん、いいなあ。私の好きなタイプの顔なの。猫っぽいというか、丸顔で鼻筋が短くて。田畑智子をほっそりさせた感じ。可愛い。きびきびした話しっぷりも小気味よく、以前観たときより格段に良くなっている。
女性芸人ってなんとなく「業」が深い感じの人が多いんだけど、彼女はそんなことは微塵も無く爽やか。男の子が、フツーに彼女にしたいと思う感じだと思います。要チェック。