田ノ岡三郎 おひとりさまミュゼットナイト

清水宏でおなか一杯になった後は中野のブライトブラウンというライブハウスで田ノ岡さんのワンマン。ミュゼットオンリーということがBlogで宣言されていたし、ワンマンということで独奏メインであるということもあり、なかば「勉強させていただきやす!」って気分のアコ弾きモードのワタクシ。
ブライトブラウンは想像以上に小さな空間で、照明の暗めの喫茶店みたいな感じ。お客様も最終的には10人いなかったのでは?
しかしそこで、あの演奏を独占できたのはものすんごく贅沢!イギリスのパブっぽい薄暗い狭い空間で、お酒を飲みながら音楽を楽しむ、なんて私の一番好きなシチュエーション。よかったなあああ。
2曲ほどお友達のミュージシャンとセッションした以外は、10数曲ソロでミュゼット。それも一回も楽譜見なかったしぃ。それ以前に、譜面台置いてなかったしぃ。なんかホント、すごいわ。でもぜんぜん、スゴイ人オーラが無いのがまたスゴイわ。上手なプレイヤーにありがちな、鼻につく気取りやスカした感じが皆無なんだ。スーパーナチュラルだ。
かのcoba御大は申された。「アコーディオンをカッコイイ楽器にするのが僕の役目」と。その言葉どおり、彼はアコーディオンの持つある種の野暮ったさ、古臭さ、温もりをばっさり切り捨てたcobaスタイルを確立した。それは唯一無二のものだし、意義あることである。が、その野暮ったさ、古臭さ、温もりを持ったまま、アコーディオンの持っている要素を何一つ切り捨てない田ノ岡さんの演奏もまた魅力的だ。アコーディオンというキャラクターをめいっぱい生かしていて、この人の演奏はアコーディオンそのものだな、と思うことがある。ミスター・アコーディオンだね。
あと、マニアックに言うとね、プロのアコ奏者が演奏の自由度を求めてフリーベースへと流れていく中、スタンダードベースでできる演奏の可能性をいろいろ探求しているところが興味深い。
しかしあんなに演奏すごいのに、本人は自分の喋りが上手でないことをものすごく気にしていたのが可笑しかった。客としてはあれだけアコーディオン上手けりゃ、いいじゃないよーと思うんだけどね。ま、プレイヤーとしては完璧だから、これで喋りができればエンターティナーになれるもんね。自分に対しての要求が高いってのはよいことだ。こちらとしてもこれから観ていく楽しみができる。
さて、このライブ、「おひとりさま」というキーワードはオオタスセリさんのステージにインスパイアされてつけたそうな。先日のおひとりさま劇場を観にいって、ノックアウトされたそうです。(なぜか、コントが始まる前から笑っていたという噂あり。)

にしても、120ベースでスタンダード、だいたい重さ10kgくらい・・・ということで、田ノ岡さんの楽器でできることは、音色は違うにしろ私の楽器でもできるはずなんだが・・・はははっ、そこは追求しないで・・・。

この日のライブの中のセッション曲だけがYoutubeに上がってました。ああ、音が・・・音が・・・実際はもっときれいです。