9月から10月のメモ

ナオユキ以降から、かな?

<芸術は爆笑だ!好田タクト&早川きょーじゅ>
会場は老舗の蕎麦屋の二階で、料金1,000円。終わった後は実費でお蕎麦を食べて歓談、という趣向の会。演目自体は全体で1時間ほど。お値段も時間もコンパクトなので、多少ネタがすべっても苦しゅうないぞ、とお客としては思ったのだが、やっぱりどうしても守ってしまうのかね。お馴染みのネタの比率が多くて、そこはお約束のノリで応えるしかない。この値段なら、もっと新ネタいっぱいやって、お客にダメ出ししてもらうくらいの感じでいいのにーと思いつつ見ていた私。許せる価格です、1000円は。この条件ならおなじみのネタに逃げずに冒険してほしいなあー。なんて思うのはやっぱ、勝手な話?こーゆうこと書くから嫌われるんだよねン♪
志の輔らくご21>
ミスターアコーディオン田ノ岡三郎さんのライブで、スーパーナチュラルのサブロウトークにキレのよいツッコミを見せてくれた二胡の山平さんがロビーゲストということで、田ノ岡さんもどうやらお客でいらっしゃるらしいという噂を小耳に、当日券飛び込みで。やはり二胡は注目を集めるのか、演奏にはけっこう人だかりが。会場で田ノ岡さんを見つけて一言、二言お話をしていると、山平さんからお呼びがかかり、飛び出していった田ノ岡さんのすばやかったこと!アコーディオンケースからスポーンとアコを取り出し、構えて飛び込むように山平さんの隣に並ぶまでほとんど一瞬。スゲー、ワイルドだなあー。曲はフォスターの草競馬をちょこっと味付けに使った中国の馬の曲。ものの2,3分の曲だったけれど、よかったなあー。
志の輔さんの落語はもういわずもがな。テクニックが確立しているな・・・・。マクラで山形の芋煮の話。そっかー、牛肉入ってるのか・・・。旨そう・・・。
<御喜美江 クラシックアコーディオンコンサート@目黒庭園美術館
アコーディオン一台、そしてたった一人でのコンサート。会場は庭園美術館の大広間である。いわずと知れたアールデコの殿堂。だが、アールデコってわりと古いデパートの建築に使われている様式なので、ここに来るたびについつい「日本橋高島屋みたい・・・。」とか思ってしまうのだな・・・。アコーディオン一台とはいえ、バッハからショスタコビッチ、ジョン・ゾーンフィリップ・グラスピアソラまで幅広く。基本的には自分の心にひっかかった曲を弾いているとのことで、選曲は取り留めなく。バロックのときはオルガン的な音色、ゾーン「ロードランナー」では風圧で楽器が暴発しそうな勢い、かと思えば「シェルブールの雨傘」はこの上なく甘く切なく、ピアソラは激しく情熱的に。そこに音楽のすべてがあるかのような90分だった。そして音色と共に生きているようにうねり、呼吸するジャバラがまた目にも愉しくて。アコーディオンって視覚的にも面白いなあ。お客さんはやはりアコーディオンを習っている人が多かったけれど、できれば普通のクラシックファンの人にどんどん見て欲しい。最後の頃に演奏されたピアソラの「白い自転車」という曲がとても好きになった。ピアソラってかわいらしい曲も書いているのね。演奏も格調高くすばらしかったのだが、曲と曲の合間にはさまる美江さんのおしゃべりがなんとも天然系でチャーミング。「シェルブールの雨傘」の歌詞を読んで「こんなに激しい恋がこの世の中にあるのだろうか?こんな歌詞を読むと、昨日夫がドイツに帰ったので部屋が広くなって喜んでいる自分をとても反省する。」と言っていたのがおかしかった。私の隣で既婚の友人が、ここでけっこうウケていたっけ。
<ハッチハッチェル@下北沢>
各方面よりお勧めいただいていたハッチハッチェル、やっと体験。ちょっと遅れていったのだが、なんかこう、すでに打ち上げ中みたいな肩の力の抜けた盛り上がり方の中、ハッチハッチェル氏、歌うわ喋るわギター弾くわ、誰か止めないと一生やってそうな勢い。急に思いついたようにバイオリンを手に取るのも可笑しい。サウンドは基本的にはジャンゴ・ラインハルト系ジプシースイング的。でも世界観は憂歌団ぽい感じもある。歌って歌って歌って、一応終ったと思えばまた歌って、打上でもまた歌って歌って・・・なんか、終始ヨッパライみたいだったわ。ステージ姿は太田恵資さんを思わせるところもあり。
<流浪の朝謡@下北沢>
けっこうひさしぶりだった流浪の朝謡。もう、このサウンドを生で聴けるだけで嬉しくて。
この日の冒頭のシーンは、まりしろに私が投稿した文章を引用させてもらう。
「コーシさん以外のバンドメンバーが定位置についたときに田ノ岡さんがミュゼットっぽいメロディを奏ではじめ、コーシさん登場。
この季節になると、子供のころの運動会を思い出す・・・とMCが始まり、田ノ岡さんのミュゼットはいつの間にか運動会のかけっこのBGMの定番「天国と地獄」に。で、最近小学校の近くを通りかかったら、BGMとして流れていた音楽はなんとT・REXの「21th CENTURY BOY」だった・・・というオチだったのですが、T・REXの名前が出ても田ノ岡さんがずっと「天国と地獄」を弾き続けていたので、
コーシさんからは「今度からはグラムロックを勉強してくるように!」とお叱り。
で、そのままアコーディオンが「古い写真」のイントロになだれ込む・・・という感じでした。
絶妙でしたー♪」
絶妙という言葉が似合いすぎるまま、最後まで。過激と洗練の同居。技巧的なのに情熱的。クールなのにホット。ホントにねぇ、このバンドをリアルタイムで体感できる時代に生きていられることに感謝だわ。演芸ファンや音楽ファンは昔のことばかり言って「○○は良かった」「あの頃の××は最高だった。」とか言うけど、何を言うか、我々の時代には山田晃士がいるじゃぁないか!(芸人じゃないけどさ。)リアルタイムって言うのは嬉しいことに、これからどんどん変化していくところもずっと見ていけるということだ。シヤワセ。
さて、この日のMCではバモス福島さんがとうとう携帯電話を持ったと言うのがトピックだった。コーシさんに大々的に発表され客席から拍手。「そんなに大騒ぎするほどのことでも・・・。」と照れる福島さんのフツーな反応が面白かった。
ちなみにこの日のライブは対バンライブで、流浪の前に2バンドあったんだけど、ちょっと私にはきびしかった・・・。だったら対バンの時間をはずして観にいけばいいんだが、私はあえて「毒食わば皿まで」精神で対バンをちゃんと見る。(料金のモトをとりたいというのもあり。)下北沢440での流浪の朝謡ないし山田晃士のライブで、対バンが他に2組あり、前売りが2000円のときはかなりの確率で「うううううむ。これはきっついなー・・・。」というバンドが交じっているのだけど、今回もわりと・・・。(まあ、これは個人的な好みもあるので、ファンの方はごめんなさい。)しかし、私が「えぇっ!!!!」と思うようなバンドでもちゃんとファンはいて、ちゃんと応援している。ライブそのものよりお客が面白くて、それを見るのが興味深くて。
でも応援してくれるファンがある程度つくと、バンドの世界がそこで完結するようになっちゃう。芸人さんも同じで、おなじみのお客さんがある程度ついて仕事が回るようになると、そこで閉じてしまう。それは各自の勝手だから仕方ないのだけど・・・もしそれが、自分が好きだった芸人さんやミュージシャンだったらやっぱり、さびしいと思ってしまうのだよね・・・。あ、そこがゴールで満足なんだぁ、この人・・・って思っちゃうとさびしい。落としどころを見つけてしまった芸人、アーチストというのは、特有の媚とユルさが漂う。そこを愛せるようにはどうしても、なれない。
山田晃士さんとその周辺の人たちは、それを感じない。特にコーシさんのブログを見ると、たわいもない言葉の中にちらほらと求道者的スピリットが見え隠れしてて、うれしくなってしまう。まだまだ、末永く楽しませてもらえそうですね。ふふふ。