一箱古本市出店記


谷中という町が気に入り、引っ越してきてはや5年目。住んでみると日常は仕事に追われ、土日は下北沢やら何やらにライブや演芸鑑賞、あるいはアコーディオンの練習やステージで出かけたり、家事に追われて一日終了・・・と言う感じで意外と地域密着な楽しみ方ができていないのがずっと不満だった。そんなバタバタした日々の中、定期的にどうもウチの近所あたりに、ダンボールに古本を詰めて楽しそうに座っているヤカラがあふれかえる日があるようだ・・・ということにも気づいていて、それが「一箱古本市」なるイベントであることもかなり前から知っていた。楽しそうだなあ、私も出てみたい・・・そのときは思うのだけど、ついつい忘れ、ふと思い出して検索してみると締切後というパターンを繰り返すこと幾たびか。この秋は奇跡的に締切前に思い出して申し込み、参加することができたのだった。
さて、とりあえず屋号、どうしよか・・・。以前、何かのイベントに出るときに思いつきでつけた名前で、今は雑貨イベント系で使っている「谷中姉妹舎」を使うことにする。以前は妹と同居していたのでね。今はアネしかいないのであるが。
当日が近付いたときにいきなり風邪をひいたりおなかが痛くなったり、準備が危ぶまれつつもなんとか本番にこぎつける。店番はひとりではトイレなど心配なので、すでに谷中の住民ではないがシマイ舎の「マイ」にお願いした。
私の割り当てはライオンズガーデン。集合時間の10時ちょっと前に到着すると、参加者とおぼしき人々とスタッフとおぼしき人々が数名すでに着いていた。着いたらすぐ名前聞かれるのかなと思っていたが、一向にそんな気配も無く、10時をかなりすぎたあたりから点呼、そして場所決めのくじびき。なんつーかこの、流れ集合的なゆるさがちょっと衝撃的。きびきびと仕切る人は誰もいない。が、必要最低限のことは決まっていて押さえてあるって感じ。あとは各自にお任せしますってな雰囲気だ。スペースも一応「横50センチ×奥行き40センチの箱」というお達しは来ていたが、隣の店との間にけっこう空間があるのでそこは自由に使ってOKだったし、高さの制限も無かったので棚を使ってもよかったわけ。最初はおそるおそる、そのうち図々しくどんどん地べたに色画用紙を敷き、徐々に自分の領地を広げていく私たち。色画用紙、便利でした。あと、目玉クリップもちょっと何か掛けるフックのようなところが欲しいときに役に立った。
午前中の雨で客足が途絶えたものの、13時過ぎたあたりからどんどん人が増えて思ったより売れて、嬉しい。私は本の売り上げより雑貨の売り上げの方が多かったけどね。イベント全体の雰囲気がどこかのんびりしていて、居心地良かった。友達も何人か来てくれて嬉しからずや。妹も適当にウロウロし、下山事件のルポ本をゲットしてご満悦で帰ってきた。
さてさて、今回せっかくなので打ち上げにも出席させていただき、一箱古本市の先達たちにいろいろ興味深い話を聞けて収穫。私は「古本市」というからには不要な本を売るのだろうと思っていて、自分もそのように品揃えをしてしまったのだが、皆さんに話を聞くと一箱古本市のために本を集めたり仕入れたりするんだそうで。ダンボール一箱の中に「世界」を作るように本を詰めるのだそうな。なるほど、一種の空間プロデュースなのだな。その単位がダンボール一箱っていうのがなんとも愛らしく、面白い。私も次回参加できたら、もっと考えて品揃えしよう。古本と雑貨で組み合わせで何か考えたら面白そう。
それに一箱ってカートで簡単に移動できるので、会場でパカッと箱のフタ開けて店開き、終ったらまたパカッとフタ締めてカートをゴロゴロ引っ張って帰る、この身軽さがたまらない。

ところで、谷中姉妹舎の商品には商標やマッチラベルの柄のバッグがあった。以前、自由ヶ丘のギャラリーで売ったときにはいまいち反応が薄かったのだがさすが谷中、今回はよく売れた。買わなくとも、見てくれたり質問してくれたりした人も多かった。んで、買ってくれたお客様の中に一箱古本市実行委員のナンダロウアヤシゲさんという方がいらっしゃいまして、マッチラベルの個展?などもされている方だったということもあってか気に入っていただき、打ち上げのときに賞をいただいてしまいました。やたっ!ありがとうございましたっ。

谷中に住んでずいぶんたつけど、これを取っ掛かりにもっと地元密着系な活動ができるようにしていきたいなぁ。
あいかわらず土日は出かけてしまう予定が多いけど、なんとか・・・。

他の参加者の方々の感想も見たいなあと思っていたら、リンク集をまとめてくださった方がいるようです。感謝!