まとめます

えっとねぇ・・・けっこう見てるんですよ、いろいろ・・・。なんでこんなに書く時間が無いのでしょー?
思うに、谷中に住み始めて最初の2年わりとヒマがあったのは、妹と同居してて、家事が折半だったからですね。献立考えて買い物してご飯作るのとか、片付けるのとか、昼間働いているとけっこうな負担だものね。そーいうことで、趣味と娯楽に使う時間を捻出するのが以前より難しくなった。あと、若い頃は深夜まで起きて物書きできたけど、今はほんと、眠くなっちゃうのと、次の日のお肌が怖いそんなア・ラッフォー(by桂あやめ)な日々なわけですよ。
そんな中で、田ノ岡さんのライブの後、いままでの間で観たもの。
<福岡詩乃里 大正ロマンの旅 with 好田タクト
大正演歌というジャンルは以前から興味があり、また大正・昭和にかけての流行歌なども好きなので、顔見知りのタクトさんが出るということもあり、いそいそと。青っぽい夏着物にバイオリン。上品でちゃきちゃきした感じの詩乃里さんはもともとオーケストラでバイオリンを弾いていたプロ奏者。そんな傍ら、音楽療法の仕事をする中で、施設のお年寄りに「バイオリンが弾けるなら船頭小唄弾けるでしょう。」といわれ、その曲にまつわるその方の恋の思い出を聞き、これは弾いてあげなくては、と奮起したのがバイオリン演歌を習うことになったきっかけだそうだ。「クラシック出身の悪い癖で、いい加減な状態でやりたくないんですね。やるならきちんとやりたい。」ということで、そのお年寄りに披露する前に広小路亭で行われている演芸スクール(?)でちゃんと習ったのだそうです。そんな方なので、当然バイオリンの音色が太いというか、さすがに弦に手首が負けちゃってるような音ではない。まー、バイオリン演歌だとヘタクソでも愛嬌かもしれないけど、曲が終るときにぐいーっと一音伸ばして終るときの音が、なんつーか、芯がある!タクトさんはおなじみの指揮者芸プラス詩乃里さんとのコラボ企画で、彼の指揮真似にあわせて詩乃里さんがバイオリンを弾くというもの。汗だくのタクトさんにクールでおすましな詩乃里さんの対比がなかなかいい感じ。これから練って発展形が作れそうな感じがしたなあ。期待大。
志の輔らくご21>
田ノ岡さんがロビーゲストなので・・・ってことで。ロビー演奏はアコーディオン。辻音楽師よろしく次々にポピュラーな曲を繰り出すサブロウパワーに、徐々に拍手が増えていくロビー。いいなあ、あんなに弾けたらねえ・・・と思いつつ拍手。田ノ岡さんとお話しする機会もあり、アコーディオンに関する金言(?)もいくつかいただく。「アコーディオンと合わない楽器は無いんです。」「今一生懸命練習していることができるようになるのは何ヶ月、何年か先かもしれないけど、今の技術でベストの演奏というのが絶対にあるはずなんです。」「こういうことがやりたい、って思いついてもすぐに実現できるわけではない。数ヵ月後にふっと、やりたかったことができたりする。アコーディオンってそういう楽器なんです。」などなど。ずいぶん励まされる。がんばろっと。志の輔さんの落語は鉄板、ハズレなしの面白さ。生まれ変わる話と「唐茄子屋政談」。ジグソーパズルのピースがパチリパチリとはまっていくような気持ちよいオモシロさがある。そう、気持ちよい。世の中には二種類の人間がいる。「○○な人間とそうでない人間だ。」という話法の有効性についてのマクラ。この話法は使えるね。「世の中には二種類の人間がいる。自分の寿命を知りたい人と知りたくない人だ。」という話が出てきて、終わった後の飲み会でこの話が出たとき、自分の寿命を知りたい派と知りたくない派に手を上げてもらったら、知りたい派は私ともう一人だけで、あとは知りたくない派だった。「だって、知っておけば優先順位をつけていろいろ片付けてから死ねる。」というと「じゃあ、明日が寿命ですと言われたらどうするの?」と質問が飛んだのでちょっと悩みとっさに「借金、返すかなあ・・・。」と答えたら、なぜか一同に爆笑されてしまった。え?笑われる話?でも、こんな回答をした自分に自分でびっくりする。「借金というか、借りているものをぜんぶ返すと思います。」って付け加えながら、私ってマジメなんだなあーと思ったのだった。ホント、とっさに出ちゃったんだもんね、この答え。
<ラース・ホルムコンサート With 三浦一馬>
日本アコーディオン協会主催のアコーディオンワークショップというイベントの一環。北欧のアコーディオン教育の第一人者ラースホルム氏を招いて、コンサートや公開レッスン、セミナーなどがある企画の中の一つ。他の企画は少しでもアコーディオンに関わっていないと「????」ってなってしまうものだけど、これは純粋にコンサートで、ジャバラ楽器の新鮮な魅力を伝えるものとして画期的。というのは、前座?の大学生ジャズバンド(クインテットの構成だが、ピアノの役割にアコーディオン)から始まり、ラースさん、ゲストのバンドネオン三浦一馬さん・・・と出演者一同、すべて楽器がボタン式で、いわゆるピアノ鍵盤のアコがまったく無かったのだ。日本ではけっこうめずらしいことなのでは?という話を後日私のアコの先生にしたら、「言われてみればそうだねえ。」と、そんなことは思っても見なかった、という反応が。業界の中にいるとボタン式ってそんなにめずらしいと思わないけど、アコーディオンに普段接する機会の少ない人からしてみれば、ボタン式ってかなり珍しい。なにあのタイプライターみないなモノは?って感じで、知り合いをコンサートに連れて行くと、質問攻めに合う可能性が高い楽器。コンサートは蛇腹楽器の豊かさを充分に感じられるものであった。とくにアコーディオンバンドネオンのアンサンブル。一つのイベントで蛇腹楽器がダブることってめったにないので、貴重な機会。と、そんな希少価値以上に、やはりそこで生み出された音色は圧倒的に豊かなふくらみがあり、艶があったのだった。「豊穣」という言葉を思い出しましたよ。スケールが大きい、根っこの太い音。正確な演奏なれど、聴く人を緊張させないおおらかな音楽性はラースホルム氏ならでは。それはまた、アコーディオンらしさでもありましょう。
<もんてん寄席ごっこ パギやん&遠峰あこ>
パギやんという人は始めて見る。韓国の芸能スタイルを風味付けに使いながら、ギター漫談、それからなんと太鼓講談。講談の張り扇の変わりに、場面の切れ目に太鼓を「ドドン、カッ」と鳴らすのだ。お話は「ジュリアおたあ物語」という歴史人情モノ。これはこれでよいけれど、ちょっとコミカルなのを聴きたかったかなあー、個人的に。遠峰あこちゃんはまずソロでアコーディオン弾き歌い。オリジナル多目だったが、私の好きな「百万円」(大正時代の流行歌だそうで、ものすごくばからしい歌詞)があってうれしい。休憩後、待ってましたのうぐいす姉妹。「僕は特急の機関士で」をベースに、停車駅ごとに小コントが入る構成の漫才は昨年の年末に聞いた事があったが、さらにこなれてきてGood!この台本あります感、作家モノ感がなんとも昭和っぽい。超爆笑!ではなく、パーッとハデで明るくかわいく、いい塩梅に面白く、と、意外に「正しい色物」として機能するコンビなり。二人ともこれが本業じゃないので、ほんとに趣味的な出演なんだけど、もっとあちこちで観たいわねえー。あと、印象に残ったのはジャグリング青年。なかなかいまどき風のイケメンってやつ。喋り方もいまどき風。なのにジャグリング、上手し。また、お客をそらさないトークもなかなか。それがなんか、ほんと、最近の若者っぽい話し方で笑えた。手馴れたトークでない方が、営業感がでなくていいのよね。しかしよく、ジャグリングしながら喋れるよな。
ひとつひとつは面白かったが、「寄席ごっこ」というには、お互いの溶け合い方が足りなかったかな。ちょっとお互いに固かった感じ。寄席というのは出る人がお互いにお互いの芸を見て、もしくは楽屋でネタ帳を見て、「あ、この人がこれをやったなら、自分はこれをやろう」みたいに判断して、いつのまにか自然にその日全体の流れができていくもの。そういう一体感が出てこなかったのがちょっと残念かな。ま、またやってくれればね。

それぞれみんな面白く、いいステージであった。

というわけで、奇しくも詩乃里さんも遠峰あこちゃんも演っていた「東京節」をドリフターズバージョンでどうぞ。