にぎわい座から大和へその2

ああ、一ヶ月たってしまった・・・。
えー、4月4日の夜でございます。二日酔いで痛む頭をかかえて、姉キンでそうとうに撹乱された後、さらに大和へ移動。大和なんて行ったこと無いよ。町田の方なんだってさぁ。にぎわい座で出会った人の案内で町田経由で大和の駅。一応、ペーソス応援団として3人、キョロキョロと大和路へ。にぎわい座の周辺とはまったく違い、駅から離れた薄らさびしい通りにその店、ハギンズビーはあった。
山田晃士 対バン ペーソスという素っ頓狂なライブ。これは、そもそもは山田晃士さんの定例(でも年に一回だそうだが。)ライブ。そのゲストとして今回はペーソスがブッキングされたということらしい。だから基本的にお客は山田ファン。私達は山田晃士ファンでもあったので、3人いたけど実質ペーソスファンは1.5人くらいの計算だったかな、あの空間では。
予約定員25名。店に入ると、その20名前後はすでに来ていると思われた。ほっとんど、いや、99%が女性。それもわりとキレイめ。普通にその辺歩いてたらナンパされるんではないかと思われるタイプが多数。演芸ライブでこのシチュエーションはめずらしい。あ、演芸ライブじゃないや。今回は音楽ライブなんだ。ペーソスの専属司会スマイリー井原さんが最初のMCで「こんなに美女ばかりに囲まれてライブをやるのは初めての体験で・・。」と言っていたが、あながちウソでもお世辞でもない会場だったのですよ。女子力ムンムン。
時間になってペーソスがステージへ赴き、ショボショボとあたかも後片付けをしているかのようなムードで準備を始めた。オーラが無いので客席はまったく気にも留めず、それまでと同じようにお喋り。お馴染みのオープニング曲「二つのギター」の旋律が流れて初めて、ほとんどのお客がハッとステージの方を見たというテイタラク。観たけれどきれい目女子の瞳には如実に、「何このオヤジたち、キモイ。」的な、ちょっと引いた表情が読み取れた。だって、山田晃士さんのファンだ。美意識高いのだ。
「空飛ぶ領収書」からはじまったが、共感する向きわずか、まだまだ空気はやや冷ややか。「もつ焼き小唄」や「つかれる数え歌」でも「何のことを歌ってるのかしら。ワタクシ、わからないワ。」的なおすまし感が漂っていたのだが、ちょっとづつちょっとづつ、いつしかペーソス色に染め上げて、最後には「霧雨の北沢緑道」で、きれいなおねいさん達に「前立腺」と唱和させてしまった!この言葉攻め的快感。ペーソス応援団としては溜飲が下がる思いであった。そして、出番待ちのコーシさん、店の後ろの影の方にいたのだが、もう手を叩いて爆笑しているのが見えました。面白い物をストレートに受け止められるこの余裕に、自信と実力を感じますなあ。
まったくアウエイでペーソス、よく戦いました。あとで聞いた話によるとボーカルの島本さんが風邪でかなり体調が悪かったとのこと。なるほど、ステージ上で洟をかむという一幕もあったので、オヤジのショボさを表現する演出かと思っていたら、マジだったのね。でも、かなりウケてた。ぶざまさがそのまま芸になり、エンターティメントになる。ペーソスならではですな。
アンコールで歌った「血サラサラ」・・・血は「けつ」と読ませるのですが、唄われてみてなるほど!あの唄のパロディだから、「けつ」じゃないとだめなんだね。

コーシさんはステージのバックに黒い燭台を置いて赤いろうそくをともし、いつもどおり黒尽くめでギター弾き語りを。挨拶は「いつか専属司会をつけたい・・・。」だった。ところどころペーソスに影響されたなんて言いながら、「Sing Everybody!」とシャウトしたり、「無駄むだムダ」という曲では「黒部ダム」なんてフレーズにはさみこんだりしていた。
また、雪国に骨休めに行ったときに見かけたオバマ雪像がブッシュにしか見えなかった話、湯治に出かけるとそのままそこで住み込みで働きたくなる話など、MCも快調。今回は常連さんが多かったので、ときどき内輪っぽく客席のファンと普通に会話しながらステージは進む。とてもリラックスしたムード。だけどフォークっぽくならない不思議。なんでこの人の日常を語るようなMCが可笑しいのかな?と考えてみるに、私の場合そこで話される光景の中に、ステージ衣装のままのコーシさんを当てはめるからなのだ。普段からシルクハットにサテンのフリルシャツ(あ、服装だけ言えば髭男爵と同じなのよね・・・。)で生活しているわけは無くて、普段着であるに違いないのは頭で理解していても、スキー場、山奥の湯治場の風景にあの風体のまま存在している様を想像してしまうのだよね、どーも。
ギター二本を使い分け、唄と語りとの間を自由に行き来する様は、気持ちいいくらい。すんげえなあー。やりたいように声が出て、やりたいように音が出せて。自分の肉体を表現ツールとして使いこなすという凄さ。コーシさんのステージって、ある意味、アスリートを見るような爽快感がある。
ラスト、アンコールで披露した「泣き顔ピエロ」、圧巻だったのう。どうやら今回のペーソスとの競演には、共通キーワードとして「哀愁」を感じ取ったらしいコーシ様。「哀愁」に対するひとつの答えだっただろう。(かな?)
4月4日、オカマの日、スミレの節句・・・昼も夜も、いいもん見せてもらいましたー。

さて、ペーソスの元ネタの「あの唄」とは↓