4月4日 にぎわい座から大和へ

4月4日はある意味、私の演芸生活、今年前半のハイライト的な一日だった。おりしも、オカマの日、あるいはスミレの節句。濃いったらありゃしない。ああ、それなのにそれなのに、あんなに力いっぱい楽しみにしていた日なのに、私ときたら前日の夜桜見物で飲み過ぎ、二日酔い状態。この頭痛さえなければもっと楽しめたのに。心底、反省しきり。

・4月4日昼 市馬&姉様キングス 歌謡ショー
姉様キングスの二人+柳亭市馬による、落語と歌のビッグショー。最初は普通に(?)落語から。

林家染雀「金明竹
桂あやめ厩火事
柳亭市馬「片棒」

染雀さんの素顔、初めてみた。中性的で草食っぽい印象。さらっと「金明竹」。言い立てのところで拍手が。他にも「聴かせる」部分での反応が大きくて、おおっ今日は耳のいいお客さんが多いんだなと思う。落語だけでは物足りず、アタマの後ろにお面をつけて、客席に背を向けて踊る「後ろ面」という踊りを楽しそうに披露。次はあやめさん、アラフォー談義から「厩火事」へ。「四十がらみとか言われるより、アラフォーと言われた方がオシャレで気持ちいい」とのこと。あやめさんは「アラッフォー」と発音なさるので、なんとなくフランス語のように聞こえたりもする。女が演じる「おさきさん」、うーん、おバカな女友達を見るようで、あるいはわが身を見るようで、親近感わくなあ。木村万里さんの企画で「それぞれの○○」という、同じ落語を3人の落語家に演じさせる会があるけれど、「それぞれの厩火事」にするなら、1人は女流を(できればあやめさん)まぜたらおもしろそうだなと思ったりした。市馬さんの「片棒」は次男の歌舞音曲のシーンが圧巻。べつに一曲通して歌わなくてもいいところを、客席の拍手にのせられて完唱。その他、お祭りマンボを挿入歌にしたり、お囃子のマネも過剰なほどで、なんとも圧巻だった。三人三様、いい感じに自己流に壊れていて、良い。
その後姉様キングスバラライカと三味線で音曲漫談。さきほどとまったく違った白塗りの芸者オバケにしばし呆れながら爆笑しながらも、染雀さんの声のよさに唸る。この日はこの後、シャンソンショーもあったのだが、そこでもたいへん伸びやかに唄っていて、声の良さと自由自在な様子に感心してしまった。こういう風に唄いたいとか、こういう声を出したいとか、こういう風に動きたいとか、思ったことがすぐ体で実現できてしまう、身体能力の高い人だと思う。あなどりがたしー。女装したとたん、舞うようにたおやかな身のこなしになり、あやめさんよりずっと女性らしく見えて、「金色夜叉」の寸劇を演じるネタでは当然のごとくお宮の役。「なんでここに女がいるのに、あんたがお宮やねん!」とあやめさんがツッコむ。ははは。
市馬さんは専属司会をしたがえて昭和歌謡ショー。うれしそうにのびのび唄う市馬さんを見ていると、こちらまで爽快な気分に。そこに合いの手や口三味線をいれる専属司会の加藤さん、ルックスはプロ風じゃないのにやけに手馴れた感じが正体不明で怪しさ満点。「俵星玄蕃」では曲が終わりそう・・・と思って司会とお弟子さんがソデから出てくると、どっこい終わらなくてズッコケというたいへんベタな展開を3度ほど見せられ、あまりのばかばかしさに拍手喝采
最後をかざるシャンソンショーでは総スパンコールのドレスにつけまつげ。「まつげが重たいです。」とあやめさん。「やっちまった!」的に下ネタ満載。やばいこと言うたびに悩ましい声で「ヒロシ、ごめんねぇー。」という染雀さん、可笑しい。(にぎわい座の館長さんがヒロシというらしい。)とただ、ここまで現実離れした化粧をされていると「おいど」だろうが「B型肝炎」だろうが「エクスタシー」だろうが、魔術の呪文みたいでヤラシクない。関西出身者にはおなじみらしい「パルナスの歌」フルコーラスで。で、なぜか市馬さんをまじえて最後は全員で「お富さん」を合唱して終わり。なんつー会だ!でも、カラッと楽しく、気分スッキリ。あきれかえって笑いながら会場から出て、思い出し笑いでぐふぐふ言いながら帰れそうな、楽しい会であった。いまでもところどころ思い出して、1人でにやにやしてしまうときがある。ほんと、好きです、こういうの。

・4月4日夜 山田晃士ライブ 対バン ペーソス

書こうと思ったがこれは長くなりそうなので後日。

この日、大和へ移動する前に、会場で会った顔見知りの人たちと腹ごしらえでお蕎麦を。そこで何か書いたり伝えたりすることを生業とする難しさをいろいろ聞いた。そういう仕事の人たちはわかっているから気をつけるけれども、素人は配慮しないので個人のブログなどで何の気なしに書いたことが、知らないうちに芸人さん本人やその周辺に迷惑をかけてしまうこともあるらしい。私も自戒せねばな。まあ、下半身スキャンダルならまだ芸人として救われる余地があるが、消防法、著作権法がらみ・・・なんて野暮すぎ、色気無さすぎだ。
とにかく「素人の傲慢」に陥らぬよう、気をつけよう。