まとめがき

この土日でライブ3本。たまたま重なってしまったのだが・・・。忘れないように控えておく。あとで追記するよん。

三遊亭白鳥独演会>
落語会の最前列に座っている人って、どんな人でしょう?だいたい以下の3種類だと思われます。
① その噺家の大ファン
② 関係者
③ ①の人が行けなくなって、チケットを譲られた人。
今回、私は③の立場で行きました。チケット取った人が行けなくなって譲った人がさらに行けなくなって、そんで私ンとこに廻ってきた。というわけでかなり平熱な感じで横浜にぎわい座の最前列に座ったのでございます。
あ、ところで、落語好きな人って、友達を落語に誘うときってどんな風に誘ってるだろうか?「落語行かない?」くらいの軽い感じだろう。これが映画や演劇なら、誘われた方も「どんな映画?」「どんな演劇?」って聞くんだろうけど、こと落語に関して言えば「ああ、だいたいこんな感じだろう。」ってイメージがあるために、そういった確認をしない。寄席ならばまあ、それで大きな問題になることはないだろう。しかし皆さん、「落語行かない?」って誘われたときは、きちんと「どんな落語?」って聞いた方がいいよ。そうでないと大変な目に遭うよ。って、今回の独演会を聴いて思いました。
だって白鳥さん、出てくるなり緑色に白いラインの入ったジャージみたいな着物で、前座話をハチャメチャに語るや、妄想上の北海道のイメージから作られ、ドラマ「北の国から」のモチーフが随所に盛り込まれた「幸せの黄色い干し芋」なんて新作を披露するし、ゲストの桃月庵白酒さんも不承不承ながら「メルヘン版もう半分」を披露。どっかためらいがちのドラえもんの物真似が可笑しく。箸休め的に挟まる色物はバイオリン漫談だし、バイオリン弾きながらタップダンスするし、再び出てきた白鳥さんの落語は演芸会の内幕をバリバリ暴露するような代物。
「落語行かない?」って誘われたとして、行ってみたらコレだった・・・ということだと、目も当てられない。落語もいろいろあるわけなんで、誘う人は「こういう感じの落語なんだけど、行かない?」って誘いましょう。落語って聞いて安直に古典落語を想定すると、恐ろしい目に遭いますぜ。
あ、ちなみに私はばっちり楽しみましたけど。なんと、にぎわい座さん、今回の白鳥独演会に団体さんを入れてしまったのだそうで。落語も初めて、三遊亭白鳥も初めて、という人がかなりの割合でいたわけですな、あの会場に。いかがでしたでしょうかぁ?
新作落語を聴いていると、私の頭の中にストーリーにあわせて特定のマンガ家の絵が浮かぶことがある。白鳥さんの落語はなぜか喜国雅彦の絵柄を思い出させたッス。
<空谷足音>
私の先生の教え子で、ときどき私もご指導いただく立場であるアコーディオン奏者の女性が参加するユニットのミニコンサートがあり、鑑賞。なんと、ウチから歩いて2分くらいのところにある小さなクラシック専門ホールで。ピアノ・バイオリン・フルート・アコーディオンコントラバスという編成で、ちょっとホールのステージが狭かったかもー。クラシックのコンサートではあるが、演奏者が全員若いためかフレッシュな勢いがあり、聴き応えのあるコンサートであった。メインのメンバーがピアソラ好きとのことで、1にピアソラ、2にピアソラ、3,4が武満、ガーシュイン、5がピアソラ、みたいなプログラム。Ottava(クラシック専門のネットラジオ。最近、ワタクシ激はまり)でもよくピアソラが流れるけど、案外ジャバラ抜きの編成のことが多いんだよね。やっぱり、ピアソラはジャバラ入ったほうが断然イイ。曲に有機的なうねりと独特の緊張感が漂う。「鮫」がかっこよかったッス。
ちなみにこれは本家ピアソラ版↓

さて、演奏された曲の中に武満徹の「ワルツ他人の顔」、タンゴの名曲「さらば草原よ」があったんだけど、両方とも曲のもとになるストーリーが「愛する人のウソに気づかない振りをする」というのがモチーフになっているのが印象的だった。それは静かで、非常に深い愛情なのですねぇ。
<山田晃士独り舞台>
初めてのライブハウスの上、場所が渋谷。もう、迷ったの何の。渋谷って駅から道が放射状に広がっている上、坂によるアップダウンがあるため、一本間違えるととんでもない場所に出てしまい、さらに自分のいる場所もわからなくなる。まあ、私が渋谷に弱いだけなんだけど、何度行ってもどうも受け入れてもらえない街だなあと思う。これが原宿、表参道あたりだとまた違うのだが・・・。
まあ、そんなこんなで会場に着いたときはもうライブが始まって1時間近くすぎた頃。対バンの方のステージが終わる直前だった。対バンのくまげらのお二人は、兄弟ギターデュオ。打ち込みのバックにあわせてギター弾き語りというスタイルで、「恋がしたい」なんて唄ってしまう、90年代風ネオフォーク系な感じ。この人たち目当てに来たお客さん、この後どうなるかしらん?と思うくらい爽やかな二人の出番が終わり、いよいよ我らがコーシさん。越路吹雪(たぶん)の唄にのって、客席の間を縫ってステージに現れた。鬱金色のフリルシャツに黒いベスト。帽子はいつものシルクハットではなく、いわゆる山高帽というやつでご本人いわく「さっき楽屋で見たら、なんか幼稚園生みたい。」しかし、ファンの方の「中原中也みたい!」という声に「ありがとう。あなたがいるから私は生きていける。」と気をよくしていた。今回はギター一本、まったくの独り舞台である。このところずっと流浪の方々と一緒にしか見ていなかったので、1人でやっているのを観るのはかなり久しぶり。ただ、対バンがあまりにも爽やか系だったのでそこを配慮してか、いくらか加減していたような気がする・・・と思うのは、私が相当にコーシ毒にやられているせいかも。初めてみるハメになったヒトには、充分濃かったであろうと思われます。オープニング、いきなり「テアトル蟻地獄」
曲はぜんぶは憶えていないけど、かなりガレシャン時代のものもやっていた。コール&レスポンスは「おくられるときはモックンに。」(そうとう気に入っているらしい・・・。)客席の前の方にはわりと常連のファンの方たちが固まっていたようで、「何かリクエストあればやるよ。」の声にあがったのは「花のかんばせ」。とうぜん、サビはみんなで唄うので、コーシさんの歌唱指導が入る。コール&レスポンスの声も女子はファルセットを強要される。あーこれひさびさ。流浪のときはあんまりやらないもんなあ。「花のかんばせ」、なんかこれを聴くと郷ひろみの「お嫁サンバ」を思い出すなあ。歌詞の匂いが似ている気がする・・・。
いろいろMCも面白かったんだけど、残念なことに私が記憶していない・・・。ギター弾き語りで、お客さんともコミュニケーションとりながら、けっこうゆるめな進行でやっていたのに、フォークっぽい雰囲気が皆無。唯一無二の持ち味だなあ。
最後、「ハードなシャンソンを一曲」ということで唄ったのは「幕切れはひとり」。そうねぇ、ハードロックって言葉があるんだから、ハードシャンソンって言葉があってもいい。ハードシャンソンというものがあるとしたら、山田晃士さんは第一人者でしょう。
一度引っ込んだ後、アンコールがかかって再登場したコーシさん、お客さんに向かって「ホントに聴きたいの?」
アンコールは「あんたのスウィング」でした。歌い上げる表情、千変万化する表情がほんとに観てて飽きない。このタイトル、今気づいたけど、「あんたのバラード」のパロ?
さて、この会場は狭くて、出演者は客席(テーブルとテーブル)の間をすり抜けてステージへ移動するわけだが、私が店についてすぐ、私のすぐそばをコーシ様がすり抜けていった。やっぱ、大きいー。私は6センチくらいのヒールブーツを履いてたんで、170cmくらいあったはずなんだけど、それでも私よりアタマ一つ以上大きかった。
今回は対バンがおとなしめだったせいか、パワーを出し惜しみしている感じがしたな。この前のマイア・バルーとの共演のときには「同じボーカリストとして負けられぬ!」みたいな気迫が感じられたんだけど、今回はそういう空気はあまり感じなかった。ライブ全体のトータルバランスが悪くならない塩梅を考えてたかなー、という印象。やっぱりコーシさんの対バンは、ちょっとアクが強いくらいの方がいい。そういった意味で、4月4日のペーソスとのコラボはすごく楽しみだ。あの後ろ向きな大人パワーをどんな風に受けてたつのだろう。

追記
ネットで拾ったコーシ伝説
あるライブで、アンコール曲が終わったのにアンコールの拍手が鳴り止まず、幕が閉まったのにまだ鳴り止まなかったので、幕の間から顔を出して「今日はもう終わりじゃッ!!!!」と叫んだことがあったらしい。それ観たかったー。