第2回 お笑い音楽祭

ビデオジャーナルでReal Maccoyのことを書こうと思ったら動画が貼り付け不可になっている・・・。仕方ない。あきらめるべ。というわけで、というわけでもないけど、先週行ったライブレポをば。

ぶっちゃあプロデュース「第2回 お笑い音楽祭」。音ネタしばりのお笑いライブである。オオタスセリさん、好田タクトさん、だるま食堂さんなど、今まで見たことがあって面白かった人が出演者の半分、あと半分ははじめましての方々。そのうち2組は若手お笑い芸人。演芸会で若手というと40代だったりするが、この会の若手はそういう相対的な若手ではなく、絶対的に年齢が若いホントの若手。中堅、ベテラン陣に対してそういう超がつく若手を交えた企画って見たこと無いから、お客の年齢層もバラつくだろうし、どんな感じになるんだろうなーとい興味が湧いた。

<朝倉・小松崎>
実は今回の一番のお目当て・・・。彼らを一度だけテレビで見ていて、一目惚れならぬ「一芸惚れ」をしていたのである。BGMや効果音でボケる・・・ありそうで意外と無くありません?ボケ役がエレキギターを持っていて、音でボケるというコンビ。本人達に意識があるかどうかわからないが、分類すれば「音曲漫才」なんだろう。取り上げる唄が90年代以降のJPOPであったりゲームサウンドであったりするため、ジェネレーションギャップでついていけないネタも多いのだが、その他コンビニのドアを入ったときの音、マックのポテトが揚がったときのサイン音、電車、踏み切り、山手線の発メロなど「街の音」もよく拾っており、またこれを再現するギターが巧い。ギターの彼、かなり耳がいいと思われる。客の世代を考慮したネタをできるようになれば、もっと幅が広がるだろう。期待株!しかし、音ってずいぶん共通体験になっているんだねえ。音を聞くだけで場面がわかる・・・っていうことがずいぶんあるものだ。にしても巧すぎる・・・と思って調べて見たらギターの朝倉くん、洗足学園大学ジャズ科出身とか。はー、なるほど。
立川談慶
落語ファンならおなじみの「師匠 談志の悪口ネタ」のマクラから、死後の世界に吉原を作ってしまうという落語へ。死語の世界だけに居酒屋の名前がすべて縁起悪く意味が反転されてしまうのに笑った。もう死んでるんだから、二度と死ぬことは無いというので毒料理のフルコース。あ、ちょっとうらやましい。やってみたい。吉原も遊郭なのに、お通夜みたいな陰気さ。ご祝儀はご霊前って言ったり、遊女が部屋にやってくるときもうすどろが鳴ったりするわけで。と、普通にきちんと面白く落語をやったあと、「これだけでは音ネタではないので・・・。ということで雪駄でタップダンスを。正座から即座にタップとは、膝とか大丈夫なのかしら・・・。曲は「A列車で行こう 三味線バージョン」曰く「一番駕籠で行こう」だそうな。
<ジキジキ>
ヤギっぽいだんな様と、牛っぽい奥様の夫婦コンビ。だんな様はギターで奥様はピアニカその他の楽器と唄。その唄の声量がすごいのなんの。聞いてて爽快なくらい。うたのおねえさん的な歌声。「浦和の唄」脳裏に焼きつく。そうだよねー、駅は7つもあるのに浦和市は・・・。ピアニカをおでこで弾く離れ業も披露。曲は「男はつらいよのテーマ」弾きながら客席を練り歩く。ピアニカ、よく見たらマイクついてなかったなあ。それでも会場中に響き渡る音色。すごい肺活量なのである。パワフルでありながら、抑揚もグルーブも絶妙で、この人かなり巧い人・・・と思った。最後は「イッツ・ア・スモール・ワールド」でお客さんにカラフルなハタキを持たせて舞台にあげちゃって。とにかく理屈ぬきに楽しいステージだった。
好田タクト
おなじみの指揮者芸で、構成もおなじみの形式だったのだけど、指揮者芸のとき暗転してスポットライトが当たるというやり方が効果的でおもしろかった。スポットライトという大げささとやってることのくだらなさの落差が際立っていい。この芸に関しては道具立てが大仰な方がその後の拍子抜け感が強まるし。このくらいステージと距離がある方が大道芸人らしい無国籍感とか正体不明な感じがうまく出る。コタンみたいに狭いところはそれはそれで味があるんだけど、この芸にはこの距離がベストかな、と思ったのであった。「人間」が見えすぎない方がいい感じだ。
<だるま食堂>
待ってました!のボインボインショー。もう理屈は要りませんねー。見たことがあるネタばかりだったけど、好きな音楽を繰り返し聴くように、好きなネタは何度でも可笑しい。それと、あの強烈なカツラと扮装でときどきトチったりして素に戻った様子になるのがいーんですねー。あいかわらず美しいハモリとマンガのような存在感。いつ見ても鉄板で可笑しいです。どんなに自分が体調悪くても、笑えるんだなー、だるま食堂は。
オオタスセリ
ギター弾き語りのスセリさんひさしぶり。ちょっと時間が押してせかされているみたいで残念だったが、唄かコントかコントか唄か・・・という感じで、唄をひとつのドラマとして唄い切る感じが以前より強くなった感じがした。以前はロック魂を感じたのだが、今はシャンソンを感じる。あと衣装がね、ステキだったー。透け感のある裾がアシメトリーのドレスで、あざやかなターコイズブルーの地に黄色の花。この青と黄色の配色って、以前もどっかでみて「似合うなあ」と思った記憶がある。たぶん、スセリさんらしい配色なんだろう。

といったわけで、全員きっちりと面白く、いいライブだった。おまけに司会をやっためっちぇんという女の子の若手漫才コンビ。うるさいかな?と思っていたらそうでもなく、意外と好感が持てる司会ぶり。冒頭に披露した漫才はいまいち・・・って感じたのだが、その後の進行。司会なのにお客さんと一緒になって盛り上がっちゃって、お客さんマインドでコメントしている素直さがなんともかわいくて、イヤミなくてよかったです。最後まで明るく溌剌とやり通した姿勢に拍手。これからも、あんまりイヤらしい芸人気取りにならずに、頑張ってほしいもの。(でも難しいんだよな、これが・・・。)

お客さんの方もバラエティに富んでいて、落語が初めての人がいたり、子供が混じっていたり、茶髪の20代もいれば、どうみても70代・・・なおばあちゃん二人組みも。でもみんな心底笑って、ノリノリで盛り上がってた。芸人とお客さんの間にほどよく「初めまして」の緊張感があって、お互いちょっとだけドキドキしているのがいいスパイスになって、余計に盛り上がったように思う。それに音ネタって言葉の毒で笑わせる要素が少ない分説明もあまりいらないし、罪が無くて心置きなく笑えるのがいい。