山田晃士&流浪の朝謡@下北沢440

今年、初ヤマダ!
いやー、なんかすごくいいライブだった。終わった後、あんなに興奮して喋りながら帰ったライブもひさびさ。流浪の朝謡、田ノ岡三郎さんが正式参加してアコーディオンが常駐となり、昨年新規参加したベース早川さんもバンドのカラーになじんできて、やっとコーシさんが求めるサウンドを追求できる環境が揃った感があってか、この日のコーシさんの楽しそうな様子ッたらなかった。バンドメンバーの見せ場もそれぞれあり、バンドにありがちな「ボーカル1人勝ち」ではない、メンバーみんながカッコよく目立つ、まさに「楽団」へと進化をとげつつある。んー、今年の展開が楽しみ。
タイバンのアコースティック梵鉾。事前にネットで情報収集したけど、なんとなくファンクかな?ってことくらいしかわからなかった。けど、これが予想外におもしろくて、とくにボーカルの富樫春生さんのキャラがすごい。自分のこと宇宙人だとかいいながら、MCとも曲の一部ともつかない喋り(ポエトリーリーディングといえば、そんな気もする。)を始めたかと思えば、いきなりピアノに向かって猛然と弾きだし、なんと手持ちマイクで弾き語り。両手でピアノを弾くときは、マイクを脇に挟んでいた。ピアノ、激ウマ。いわゆるファンクっぽいジャズピアノだが、なんていうか激しくてスタイリッシュで、変態的でグルーヴィー。いやー、ヘンなミュージシャンっていくらでもいるんだなあ。また出会ってしまったよ、ワタクシの愛する「クレイジー系鍵盤弾き」に分類できそうな人に。ファンクって好んで聴くことは無かったけど、こうして聴いてみると悪くないなー。インスト曲が中心だったのだが、ホーンセクションを前面に出した粘っこい曲の中に、さらっと口笛がメインの軽快な曲がはさまったりしてて、飽きさせず。歌詞もシュールで、聞き取れても聞き取れなくても、断片的に言葉が耳に入ってくるだけで十分イメージが脳内に伝播してくるパワーがあった。私は聴きながら、横尾忠則の絵を思い出していました・・・。

今回の流浪の朝謡で印象に残ったエピソード。演奏しているうちに暑くなったので長袖の上着を脱ぎたいコーシさん。しかし、脱いでしまうと半そでになってしまうので客席に脱いでいいか了解を取る。半そで好きな人と呼びかけ、手を上げた人に向かって「半そでお好きですか?長袖嫌いですか?でもあなた今、長袖着てますよねぇ。」と詰め寄り、「これで下がグレコローマンスタイルとかだったら面白いのにね。」とかなんとか言いながら脱ぎだす。なぜか客席から拍手。すっかり脱いで半そでになると、反応なし。結局、汗だくの上着を結局もう一度着ることになった・・・という場面が可笑しかった。あと、「新春シャンソンショー」というイベントに出て、共演者のあまりの濃さに「私はぜんぜん濃くない。勇気が出た。」と話し、「今年はメイク濃い目、ビブラート深め」を心掛けるとの発言も。(シャンソンの人たちのメイクはもはやメイクではなくペイントだそうな。)
全体に心底伸びやかなコーシさんも印象的だったのだが、アンコールのときのギターとアコーディオンのアドリブバトルは凄かったなー。また、古い写真の歌の前のMCと曲までの流れがとても良かった。ミュゼットアコが入ってさらに曲が輝きを増したようだ。

さて。田ノ岡サブさん参加の流浪の朝謡をしげしげ眺めていて、私はあることに気がついた。向かって右と左でキャラがばっちり別れているのである。チョイ悪系の左側、ほのぼの系の右側、って感じ。ドラムのロジャーさんは左っぽいかな、と思っていたけど、今回の喋りを聞いたら右っぽいかもと思えなくも無いかな。と、ひそかにライブ中に「流浪の朝謡、右か左かゲーム」を楽しんでいた私であった。コーシさん?分類できるわけ無いでしょ。何にしても今回、多少のトークなどもあってメンバーそれぞれの顔がなんとなく見えてきたら、なんとまあいい男集団であることでしょう!みんな渋くてカッコイイんだわー。目がハートになってしまうわー。よりどりGreenだわー。

いやはや、同行の泥沼仲間たちよ、ご苦労であった。今回お初だった方がいたんだが、早めに着いたがためにお店の人に促され、うっかり一番前の席になってしまったとのこと。いやあ、初めてで一番前って・・・コーシ力ビームをまともにくらってしまいましたね、だいじょぶかしら?

きわどい歌詞、ケバいメイク、下品になるぎりぎり手前のキッチュさ、でも唄上手くてステージングはドラマチックで完璧・・・山田晃士の要素をこうして並べていくと、私はある1人の芸能人の名前を思い出す。沢田研二・・・特に「TOKIO」以降のジュリーである。コーシさんにジュリーの曲をカバーしてほしいとは思わないのだが(曲によるけど・・・イメージ合わないのもある気がする。)できることなら当時の、あのハデだったころのジュリーに山田晃士作詞作曲の歌を歌ってもらいたい!どの曲を歌わせてもはまりそうな気がしてならない。
ジュリーに関してはまた回を改めて書くことにしよう。