10月まとめがき準備

はいはい、観てますよ、観てますとも。
例によって例のごとく、日々の生活に流されるうち、とってもおもしろかったものの印象が徐々に薄れてしまう悲しみにさいなまれる毎日でございます。
メモ的に
<第5回 東西笑いの喬宴>
その名に「喬」の字を持つ東西の噺家による会。東は柳家さん喬柳家喬太郎。西は笑福亭松喬笑福亭三喬
(関係ないけど今「笑福亭」って変換しようとしたら「妾腹体」だって・・・・IMEのおバカ)
上方のお二方の力の抜けた感じが印象的。オーソドックスに笑わせた上方勢に対して、ちょっと変化球の東京勢。柳家さん喬師は今ではあまり演じる人もいないという「福禄寿」という珍しい話を。しかし、これが「いい話」でして、私、なぜかこの人の高座は「いい話」しか当たらなくて・・・・。なんか複数人数の人が泣きながら交代にアタマを下げて謝っているシーンを毎回見てしまうはめになっている。私がたまたまそういう話に当たりやすいのかな?
喬太郎さんの「派出所ビーナス」は内容よりもマクラの強烈な話(電車の中で熟れた柿をうすわらいを浮かべて食べる色白の青年の話)があまりにもインパクト強く・・・。説明に力が入るあまり、高座に立ち上がってしまう一幕も。邪道な落語だったけど、出演者全員が落語という流れの中では、一種のイロモノ的存在感だったかも。あと、名前忘れたけど開口一番の「初天神」がなかなか精度、完成度ともに良くて印象に残った。まず出てきて一声、この声が元気で聞きやすくてよかったし、喋りにへんなクセも無く、気持ちよく過不足ない出来。意外なめっけもの。

オオタスセリ おひとり様劇場>
新作コント集。うーん、進化して深化するスセリさんの表現。ストーカーの頃のような、であいがしらにぶん殴るような勢いの笑いでなく、じわっじわっとしみこんで来る笑い。丁寧に練って積み重ねることで生まれてくる味わい深い笑い。登場人物のキャラの「痛さ」で笑わせるのではないところがよい。以前はわりと、そういう極端なキャラで笑わせることが多かった気がするけど、今回は共感の笑いとでもいうんでしょうかね。普通の女の人たちの可笑しさ、悲しさ、愚かさ、マヌケさ・・・・。あざといデフォルメが無くて好感。
自分の表現を作っては壊し、壊しては作って、この人はずっとこれからも進化していくんだろうな。
コントと銘打っていたけれど、テイストは落語に近い印象を受けるものも。整形美人の話、自縛霊の話なんか、特に落語っぽかったな。スピリットが落語なのだ。

浪曲大酋長 春野恵子の東京でも勉強せなあかん会>
下北沢のニューオリンズバーにて、おなじみの和芸の会。春野恵子さんの浪曲は3回目だそうである。慣れてきたのか、前回より前説?のおしゃべりが軽快。ときどき突っ走りすぎて、どこかへいってしまいそうになるのも、愛と情熱ゆえかと好感が持てる。しして、あいかわらずの瞳に星が飛ぶ美少女ぶりにクラクラでございます。
今回は東京の浪曲三味線の第一人者、沢村豊子師匠の出演ということでもお値打ちの会。豊子師匠、もっと厳しい感じの人を想像していたら、気さくでおしゃべりで楽しいおば様。もともと九州出身で、芸事は好きだったがそれは日舞。そのつながりで三味線を始めただけで、とくに大好きと言うわけではなかったが、ほとんどかどわかされたようないきさつで三味線弾きとして東京に連れてこられたらしい。想像すると壮絶だが、本人が明るくキャラキャラ喋るので笑い話のようなのだった。三味線の音色の存在感はガラスで言えばピカピカに磨かれたものというよりはスリガラス。金属ならいぶし銀かビンテージのゴールド、少し緑青のふいた銅、みたいな味わい。浪曲師の声と合わさることで100%になるような、絶妙な力加減にさじ加減。決して三味線で100%にならない。いたずらに音を響かせず、無意味に派手にならず、さらっとやっているように見えるのがまたカッコイイ。
今回の演目はいわゆる番町皿屋敷なのだが、怪談ではなく悲恋モノ。お菊に自分の気持ちを疑われ、怒りと悲しみに燃える播磨を演じる恵子さんの表情が美しく・・・。なんか、不思議と女性役をやっているときより、男性の役をやっているときのほうが色っぽくみえる。色っぽいといってもナヨッとしたのではなくて、凛々しいっていうか、一種おかしがたい輝きというか・・・。うーん、宝塚男役の法則、みたいなものか。

<おっ!ぺれった そっとのぞいて見てごらん>
これはあまりに面白かったので別枠で書きます。