笑って笑って笑いまショー VOL5

ん、なんだかんだで皆勤じゃないか、私、このライブ。
3ヶ月に一回四谷コタンで開かれるこの会は、誰も仕切らない。誰もまとめない。でもなんとなく最後にはまとまるという不思議な会なのであった。決め手があるわけではないのになぜか毎回通ってしまうのは、なーんか楽なんだもーん。のびのびするんです、なぜか。
束縛が無い感じと言うか、「こういう風に見てほしい」っていうような、芸人さん側からの見えざる要望のオーラが無いし、芸人さんは4組出るので、ある人にとっては常連だけどある人にとってはお初、という状態が作り出す「馴れ合い一歩手前の空気」が心地よい。それ以上になってしまうと、単に「なじみの客に甘えた会」になっちゃうが、そうなる一歩手前で踏みとどまってる感じがいーのよねー。もしかしてこれって寄席っぽい?考えてみたら、出演者全員東洋館に出ているそうで、この日のコタンは裏「東洋館」と言い得る空間だったのであった。

<弱つよむ>
トップバッターは7時から。なので、まだお客さんが断続的に入ってくる時間帯。あまり聴かせる曲はできないということで、ダジャレ系のショートソングを次々と。自分史上で一番やる気のない日みたいなことを言っておられたが、見てる分にはそんなに感じなかった。というよりは、端々に見られる投げやりな感じが返っておかしかったりして。お客さんが落ち着いたところでかの早野凡平が昔唄ったネタソングに自分なりの続きをつけたものというのを披露。聞き応えありました。タイトルあったかもしれないけど忘れてしまった私の中では「腋毛の唄」ってことになっている。出番の最後の頃になって東洋館の楽屋話をいろいろを始めて、調子が出てきたところでタイムアップ。私の中の野次馬根性がうずうずしてきた当たりで終わりになってしまって残念であった。

<ストレート松浦>
第一印象は「わー、いい男!」芸人さんを「いい男」とか「イケメン」とか言うときには、「芸人にしては」という見えない枕詞が隠れているものだが、(「美人作家」みたいな感じで。)彼は普通にかっこいいです。ちょっと福山雅治入ってる。出し物はジャグリング。ボールの芸やシュガーボックスなど。彼のすごいところは、ジャグリングしながらトークを入れるところ。喋りながらって難しいと思うのだが、ちゃんとそれで笑いをとるからすごい。ときどき「よし、まだいける」「がんばれ!」「大丈夫」など、自分で自分を励ますところも可笑しい。ときどき落としては「あぶない!もう少しで落とすところでした。」とか言って、いやあんた落としてるってお客全員でツッコミ。若いのに(なんと20代!)なかなかやりますね。最後の頃の中国コマは圧巻。中に発光体が入ったやつを、店内を暗くして。これはちょっとこれからの季節、いいなあ。クリスマスパーティなんかいいのでは。

<東京ガールズ>
ひえー、どうしたんだ。ものすごく面白くなっている。たぶん最後に見たのは6月のこのコタンだったと思うが、ぜんぜん違う。普通に面白い。普通に、とここでも使ってしまったが、いままでずっと見てきて成長が見えるからおもしろいっていうことじゃなくて、もし今日初めて見たとしても面白いだろう、って意味で「普通に面白い」。「きれいな格好できれいな芸」というイメージにおさまり切らないキャラの濃さがいい感じで出てきていて、もっと3人のおしゃべりを聞きたいって気持ちにさせられ、「三味線とか興味ないし・・・。」っていう人でも楽しめる芸になってた。キャラクターの役割分担も自然。ラップを取り入れてみたり、美空ひばりをやってみたり、新境地いろいろ。「隙」を恐れなくなってきたというか、いい意味での「図太さ」が出てきたのがよいのかも。やっぱり場数なんですかねえ。近々テレビに出るそうな。小糸さんの「でんどーーーー」が放送にのったらすごいなあ。

好田タクト
今回は邪道に走らず、「正調・指揮者芸」と呼ぶべきスタイル。大道芸でやっているやり方でいつもの芸を見せてくれた。テープで音は流して、指揮者の名前はスケッチブックに書いて、お客さんに見えるところに置くのである。なーるほど、こんな感じでやっていたのかー、と興味深かった。前も書いたと思うけど、この人は関西弁がいいんだよね。どんなえらい指揮者や作曲家の話でも「ご近所話」に聞こえる可笑しさ。ご本人は自分は喋りが巧くないと言っているようだが、巧い喋りでクラシックの話なんかされても「ふーん」で終わっちゃうし。音楽家の面白エピソードがさらにタクト風味になるところがポイント。

終わったら残って歓談タイム。なんか博識なお客さんが多くて楽しかったッス。
このときストレート松浦さんに「師匠は誰なの?」って聞いた人がいたのだが、江戸売り声の宮田章司さんという答えが返ってきた。「へえー、シブイとこ選んだねー。」って、一同感心し選んだ理由を聞いてみると、芸がカッコイイと思ったのは当然として「私服がかっこよかったから。」ってのも理由なんだそうだ。へぇー。そのとき一緒にいた「ひ」さんが「じゃあ、○○○○は絶対ダメだね。」と。○○○○には実在の噺家さんの名前が入ります。さて誰でしょう?