BellowsLoversNight Vol.7

Cobaプレゼンツのアコーディオン祭り(?)第7回目。
今年も行ってきました。興奮したり、鳥肌立ったり、笑ったり、ノリノリになったりいろいろ。
充実の3時間半。蛇腹で満腹状態。
出演順はこの写真の通り。

開演は18:00からなんだけど、開演直前に行くのはNG。実は開演30分前にアコる・デ・ノンノン嬢のロビーパフォーマンスが必ずあるのである。それを知っていたので私は17:20には会場入り。ドリンクチケットでゲットしたビール片手に、ロビーをうろうろ。ほどなくどこからとも無く聴こえてくるベタなアコーディオン演奏。ドラッグクイーン然とした出でたちで現れた彼女は、歩き回りながら、タップダンスをしながら、果ては玉乗り(玉ではなくて横にした空き缶の上に板を渡したものだったが・・・それでもバランス崩せばコロッと行くでしょう。)しながら次々と誰でも知っているおなじみ曲を披露し、また演奏しながら去っていった。
そして、ほどなく開演となる。

田ノ岡三郎&宇川彩子>
田ノ岡三郎さんはホントにいろんなコラボをされているが、タップダンスとアコーディオンのコラボ。ほっそりした妖精のような風貌の宇川彩子さん。スモークのかかったステージの上で舞う姿は夢のシーンのようで、ファンタジック。そこにサブさんのやわらかい音色が絡んで、シアトリカルな時間でした。
<マルカート>
昨年に続いての出演。オリジナルのインスト曲「散歩」を披露した後、昨年のベロラバ出演の後の帰り道の高揚感を歌にしたという「タキシードムーン」という曲を弾き語り。可愛らしくやさしくさわやかな独特の世界。やわらかい声に癒される。大貫妙子とか、ああいう声の系統です。
<佐藤芳明&Potheads>
アコーディオン界の五分刈り王子、メガネ男子の佐藤芳明クン。ほっそりした美青年ながら、ヒトクセありそうなニヤリという笑顔、いいねぇ。率いるはPotheads。ドラム・ウッドベースアコーディオンの編成。曲はプログレッシブロックとフリージャズの中間みたいな。ドラムの人が思いつきで「港のヨーコ・ヨコハマヨコスカのメロディをどこかに織り込んで。」と言ってしまったばっかりに、なんとかそのフレーズを入れ込もうとする佐藤君の奮闘ぶりが面白かった。微妙〜に織り込まれてましたね。
<アコる・デ・ノンノン>
おなじみ「愛の讃歌」で客席後方から登場。お客に熱いまなざしをおくりながらステージへ。まずは一ヶ月がんばって仕上げたという「12番街のラグ」を披露。そしてこれもおなじみお着替えコーナー。客席から選ばれたお子さんがお着替えのお手伝い。(なんとこの子も実はアコーディオン弾きなんですよ。私は知っている。が、ノンノン嬢は知らないことであろう。ふふふ。)ミニスカートに変身したところで、タンゴ「エル・チョクロ」を踊りながら。そして「踊り明かそう」で締め。客席で「いっぱい間違えてたねー。」って言ってる人がいたが、いやそれはね、他の出演者はオリジナルだけど、彼女は誰でも知ってる曲をやった分、間違うとわかっちゃうだけで、他の人も間違えてるんだぞ、きっと。しかしその人、「でも可愛いから許す!」だって。
<クレイジー清水>
スパンコールの山高帽にジャケットで飛び出してきたクレイジー清水氏。全体のシルエットがなんかに似てるぞ・・・そうだ、ジョン・テニエルが描く「不思議の国のアリス」の帽子屋だ!イキのいいサバみたいにピカピカしながら、ばりばりに引きまくるザディコサウンド。うーん、ニューオリンズ!日本でこれだけベタベタのザディコを生で聴けるなんて感動。客席は一転、ロックコンサートの様相に。2曲目「ダンス天国」ではステージを降りて、演奏しながら客席をぐるりと一周。うーん、熱いぜ。また、このバンド、ベース担当が女性で、これがまたキリッとした美女でかっこよかった。
<キュウキョ・ザ・トリオ>
檜山学・佐藤芳明・そしてcobaによる今回だけのスペシャルユニット。急遽決まったのでこういう名前になったそうだ。この日の楽屋で一回しかあわせていないという。登場したときにマイクを持たされた檜山学さんが「皆さん、知らないと困るので・・・一応・・・。」といってcobaを指差し、「cobaさんです。」と紹介したのがおかしかった。
曲は檜山さんのオリジナル「Domani」。アコーディオン三重奏って分厚いなあ。一台でも十分なあ厚みがある楽器なのに、3台だもんね。それも超絶テクのプレイヤー3人。

ここまでで15分休憩となったのだが、振り返ってみるとCobaのMCがない。まだ一言も喋っていない。どーしたのだろう?と思っていたら次のポカスカジャンがばらしていた。去年のベロラバは時間がものすごく延びてしまった(4時間!)のだが、CobaのMCも一因ということで今年は自粛しているのだそうな。

ポカスカジャン
おなじみのラテンのリズムに乗り飛び出してきた3人はCobaにちなんでか黒白ボーダーの衣装。しかしこの日、coba氏はなぜかボーダーを着ていなかったのです。「客席にもボーダーの人いっぱいいるのにね。楽屋で怒っておきます。」とひとしきりトーク。さて、去年は曲がりなりにもBellowLoversということでアコーディオンを使って一曲演奏してくれたのだが、今年は完全にネタ勝負。ちょっとだけアコーディオン使ったけど、それもネタの道具。後は童謡シリーズ、ワールドミュージックシリーズなど。お笑いのお客さんより音楽についての造詣が深い客層なので、面白いほどウケた。んで、ポカスカジャンがどれだけ音楽的にしっかりしているかということも、よく理解されたようだ。笑いと共に「おお〜。」という感嘆のどよめきもあがったりして。終わった後、異例のアンコール要求の拍手がすごかった。結局アコーディオンはほとんど使わなかったけど、全員がジャバラなので、こういう時間も気分転換になるからいいかも。ポカスカジャン、色物として正しく機能したってことですね。面目躍如。
<檜山学as OrsoBruno>
サックス&ボタンアコーディオン、黒いスーツでビシッとスタイリッシュ。ダンディで都会的な雰囲気と思いきや、ポカスカジャンのときに客席があまりに湧いてしまったので次に出にくくて、「よっぽどポカスカジャンです、って出ようかと思ったんですが。」なんて言って笑わせてくれた檜山学さん。キュウキョ・ザ・トリオの時の一言といい、何気になかなかウィットに富んだ方のようで。また、相方のテディ熊谷氏も意外とトーク好きの人みたい。曲は変則的なリズムのちょっと変わった感じ。サックスなのでジャズっぽい風味もあり、不思議な感じです。
プラネタリウム
ドラム・ギター・ベースそしてアコーディオン。完全にバンド編成ですね。中東風メロディのヘビーな曲が印象に残っている。トルコの伝説をモチーフにしたとかいったかな?安定した演奏力にすこしフュージョン的なテイストも感じた。
Coba
ここでやっとCobaのMCが。この人のやや爺むさい喋り、けっこう味があって好きだわ。
アコースティックギターとのデュオで3曲。3曲目が「ナカナイデ」だった。ああ、この曲は知っている。実はちょっと思い出のある曲だ。何年か前、NHKアコーディオンの特集番組があり、cobaが進行役をつとめた。その中でいくつかライブ演奏された中の一曲。それを私は、当時お付き合いしていた・・・といっても「あー、もうだめだろうな、私たち・・・。」という漠然とした予感をごまかしながら惰性でかかわっていた人の部屋で、その人の留守中にビデオデッキを借りて録画しながら聴いたのだった。ほぼインストゥルメンタルで、ときどき「ナカナイデ」とだけ歌詞が入るこの曲を聴いたとき、ナカナイデと言われているにも関わらず、ほとんど暴発するみたいにぶわーっと涙があふれてきてしかたなくなったのを憶えている。ずっとごまかしてきた「泣きたい気持ち」をはっきり自覚したのだ。それから少しして、私はその人とお別れした。
まーそんなこんなで、私が前進するきっかけのひとつになった曲。あのとき泣きながら聴いた曲を、今は心底楽しくて幸せで自由で、心から笑って聴いているということが不思議で可笑しくて、「人生の妙」ってやつをかみ締めたのであった。年を重ねるのって面白いね。
ま、私個人のことはさておき、この「ナカナイデ」って曲は好きですね。好きな女の子が泣いているのを慰めようとしておどけてみたり面白い話をしてみたり、とにかく一生懸命になって笑わせようとしている照れ屋の男の子(で、あんまりカッコよくない)の不器用な優しさを感じる曲。元気でノリがよくてあったかい。

ラストはお決まり。「吼えろベローズ」でほぼ出演者全員によるセッション。アコーディオンが10人並ぶと壮観ね〜。グリル(前板)がライトでキラキラして美しいったらありゃしない。こんなに生命力にあふれた美しい楽器が他にあるでしょうか。
今年も大満足で終わった蛇腹の夜でした。来年もまた楽しみにしてるからねーっ!