Baba de night vol4

柳家紫文&東京ガールズ月例ライブ4回目。
会場は高田馬場駅から徒歩一分を誇るライブハウス「トリックスター」・・・だったのだが、どういう事情なのか同じ店なのに名前が変わって「プラザステージ」。
でも内装なども同じだし、特に変わったところは無い。
ここ、使い勝手がいいので私の中ではポイント高い会場である。前回も書いたけどコートクロークサービスがあるということ(脱いだコートって席ではけっこう邪魔になる。)、それから飲み物がセルフサービスであること(上演中に店員さんがお料理を運んでウロウロすることがなく気が散らない。)、お客さんが全員座っても、席と席の間をなんとか歩けるくらいの空間があること(見てる間にトイレ行きたくなる事だってあるもん。)など、ささいなようでけっこう大事なところが押さえられてて好き。私にとってはかなり、体が楽な会場なのだ。

今回は初めてのお客さんが多かったそうで、客席の雰囲気がとてもよかった。みんなわくわくして待ってる感じがあって、紫文さんやガールズが何をやっても何を言ってもうれしい、みたいな空気。評論家みたいに斜に構えて見るのではなくて、素直に楽しもうという気持ちを持った人が多かった印象。それが一番だよなあ。素直に正面から楽しめるということが、お客としては一番幸せな心構えだ。私はだいぶ長年観続けているのでどうしてもそういう気持ちを失いがちで、ややもするとクリティカルな観方をしてしまいがちなのだけど・・・そういうフラットな心構えは失わずに持っていたい、とこの日あらためて思った。費用対効果もその方がいいし(?)

最初は東京ガールズのトークから。3人のキャラが落ち着きつつあり、安心して聞けるようになってきた。小夏さんの美女度が観るたびUPしているのには驚く。やっぱり美とは緊張と自覚のなせるワザなのだわ・・・。
おしゃべりしつつ、少ししっとり系の曲をいくつか。
その後が師匠の出番。長谷川平蔵を中心にコネタ、新ネタをいくつか。今回は平蔵が厠までたどりつくフルバージョン。客席の空気は「生で聞けてうれしい!」「たっぷりきけてうれしい!」って感じであふれていた。あと都々逸もいくつか。都々逸はもう看板のひとつになってしまったのだから、ちょっと自信持って演れるようになってほしいところ・・・だなあ。

さて問題はこの後のゲスト・・・・冷蔵庫マンである。
前回のときに「10分しか持たないけどものすごく面白い芸人を連れてくる」と予告されていたのだが、現れたのはダンボールで作った冷蔵庫のかぶりものをした、ちょっと濃い顔をした男性。
冷蔵庫のドアが開くようにできていて、その中に野菜や魚などが入っている。それを取り出してダジャレを叫ぶのである。たとえばシイタケを取り出し「しいたけジョーク!」と宣言した後、「朝の散歩の番組やってる俳優って誰だっけ?ああ、シイタケオ!」なんていうレベルのヤツである。で、自分で「さぁーむいっ!!!」と叫んで冷蔵庫のドアを閉める。説明難しいので動画を貼ります。こんな芸風の人。

「おれのくだらないギャグで客席を冷やしてやる。ひえひえ〜ぃ。」とか言ってた割にはけっこう受けていた。
冷蔵庫の後は戦艦ヤマトのかぶりものをして映画「男たちのヤマト」をモチーフにしたネタを・・・ああ、私この映画で泣いたのになあ・・・台無し〜と思いながらもしゃっくりが出るほど笑わされてしまった。ぶっこわれ芸なのだが、演劇的な訓練をきちんと積み重ねたであろうことがありありとわかる発声で、それが何気に悲しみを誘う。御年47歳だそうである。この動画では45歳と言っているから、少なくとも2年以上はこの芸をやっているのだ。哀愁だわー・・・。打ち上げでお話したら、ものすごくまじめで謙虚な人だった。やっぱ、まじめだからこそ哀愁が出るのね。近くで見ると意外と端正な顔立ちをされているところもまた、涙を誘います。ふふふ。

ラストは再度東京ガールズと師匠でおなじみの「勧進帳」などで締めだったが、今回小糸さんが講談の神田京子のモノマネをしたのがおかしかった。似てるし〜。

まったく違うテイストの芸を一度に見られてお得な会だった。しかし、紫文さんとか東京ガールズを見て、「粋」とか「江戸」のキーワードに惹かれてライブに来た人は、冷蔵庫マンにはびっくりしたろうなあ。

ところでこの会、終わるとけっこうお客さんが早めに退散してしまうようだが、打ち上げってほど大げさな感じでもなく気軽に出演者の人と話したりしながら飲めるので、話のタネにちょこっと残ってみると楽しいかと。初めての人もわりと残りやすい感じだと思います。