三鷹 de きいたか Vol16

この会には着物で行くのが私の通例である。12月だし寒いし、帯結びのボロかくしに羽織がマスト!と思っていたのだが、着る数日前に風を通しておくのを忘れてため、ナフタリン臭くて着られない。
そんなわけで羽織なしで行ったわけですが、着物って袖とか脇とか襟とかの開口部さえうまくカバーすれば寒くないのね。まったく問題なしでございました。

文鳥舎ライブも16回目になるそうで。今回はゲストなしで基本的には「柳家紫文&東京ガールズ」と銘打ってやっているライブと同じ形態。そこにやや紫文さんの喋りが多めだったくらい。
トークでは地方公演のときに交通や天候のトラブルに巻き込まれることが多いという話をしていたが、あんだけすごいともはや巻き込まれの天才ですね。誰か他人の分の天災まで引き受けているのではないかしらね。そのおかげで平穏な生活をしている人がどこかにいるのかも。

さて今回はだいたいこんな構成。

第1部 都々逸とトーク、リクエストに応えて「鶴八鶴次郎」
第2部 東京ガールズ「さのさづくし」
第3部 鬼平大岡越前 おなじみバージョンとお蔵だしバージョン
フィナーレ 東京ガールズと一緒に賑やかに〆め

もはやひとつのスタイルが完成しつつあるなーという印象。
鬼平」と「都々逸」という二枚看板に対してお客が期待しているものと、実際にステージで観せるものとの間のズレが少なくて、お客さんのイメージがおおかた裏切らないものになっていた。初めてのお客さんがけっこういたが、彼らは「観たい」と思っていたものを、ちゃんと観ることができたことであろう。このスタイルで完成度をあげていけば、後はいろいろと足したり引いたりして変化をつけるにしても、はずさないライブになると思う。細かい部分はいろいろ突っ込みどころもあるが、全体的な安定感から言えばそんなの微々たるモンである。とにかく方法として、「正解」に向かって進んでるなーと思った。
きっともう大きな失敗もしないんだろうなー、と思うと、最初の頃の文鳥舎ライブでの様子も懐かしい。正解って「がっかり」しないけど、「びっくり」もしないから、あんまり冒険しなくなってしまうのも、つまらないかな・・・と思うのは客の(主に私の)勝手ですけどね。スミマセン・・・。私は純粋な演芸ファンではないからそこらへんはズレているのでご容赦。あの会場では、だんだんお客として異端になってきた気もする。

欲を言えば、都々逸をもっとうまく活用できればなあーと思う。高座ではけっこう同じ都々逸が取り上げられることが多いけど、素材としては無限にあるのだからうまく使えば広がりがでてくるのではないかな、と。

東京ガールズの皆さんは「顔」ができてきた。今回は3人バージョンだったが、ちゃんとそれぞれの「顔」が見えた。あと、以前の「間違えないようにしなければ!」という空気が無くなってきて、お客さんにストレートに明るさや楽しさが伝わるようになってきている。3人の会話も自然で生き生きしていたし、いい感じで出来上がってきているのではないでしょうか。

さて、この文鳥舎ライブ、いままで土曜日開催だったけれど、次回から平日夜となるらしい。うーむ、ちょっと参加が危ぶまれるなあ。それと、そうなると仕事帰りだから着物着て来れない。
でもまあ、以前と違って他の場所での定期ライブの機会も増えたし、三鷹にこだわる必要もないのだけど、「雰囲気はフォーク、楽器は邦楽器」という味わいが一番いい感じに出るのが文鳥舎だと思うので、やっぱり気になる会場ではあるんだな。
ミスマッチが好きさ。