ビデオジャーナル27

先日里帰りをしたとき酒飲み話のついでに、若い頃やってみたかった楽器は何かということを両親に尋ねてみたところ、父はクラシックギター、母はピアノだったそうである。
その当時どんな音楽を聴いて育ってきたかが大きな要因になっているみたいて、母は歌モノ(叙情歌や唱歌のようなもの)が好きな女学生だったようだし、父は当時の洋楽、現代ではイージーリスニングに分類されるような軽音楽が好きだったみたいだ。
私自身のことを考えてみると、どんな音楽を聴いてきたかというと間違いなくロックなんだが、ロックの象徴であるエレキギターにはなぜか食指が動かず、自分がやるならキーボード!と思っていた気がする。
まー、YMO世代だからねー。私の思春期〜青春時代はキーボードがものすんごくクールに見えた時代だったのだ。80年代のロック&ポップスにキーボードは不可欠なんであり、ギター以上にスポットライトを浴びた時期でもあった。
私がやってみたかった楽器はキーボード・・・というか、シンセサイザーだったんである。
その後紆余曲折あり、同じ鍵盤でもアコースティックの極地みたいなアコーディオンに出会って現在に至るわけですが。

さて、憧れの楽器がある人には必ず「いつか弾きたいこの一曲」というのがあるはず。
私にもいくつかあって、それが鍵盤楽器を選択させる要因になったといえる。その中でも究極の「いつか弾きたいこの一曲」がこれです。21,2歳の頃にたまたまELPのベスト盤を聴き、そこに入っていたのがこの「Hoedown」。頭の中に雷が落ちたような衝撃。
いっきなりグレートウォール、ていうか、どう考えてもこんなに指動かないから無理なんだけど、これ弾けたら死んでもいい・・・くらいの一曲。

長らくオリジナルだと思っていたが、実はクラシックの曲だということを後に知った。アメリカの作曲家アーロン・コープランド組曲「ロデオ」の中の一曲なのだそうである。Youtubeで探して聴いてみたら、あんまりにそのまんまなのでびっくりした。キースエマーソン、スピードはともかくかなり原曲に忠実に弾いていたのだね。しかしこれ、バレエ音楽なんだって。どんな振り付けで踊るのだろうか。

アーロンコープランドアメリカ音楽の祖とも言われ、クラシック音楽からガーシュインだとかバーンスタインなどにいたる流れを作った人・・・らしい(ネット上の知識の受け売りです・・・)。あまり日本では話題にならないが、アメリカではその作品は庶民に広く知られ愛されているようである。アメリカ大好き野郎のキースエマーソンが「Hoedown」をカバーしたのももっともな話だ。アメリ同時多発テロの追悼式典で演奏されたファンファーレ「庶民のファンファーレ」も彼の作品。これもELPにカバーされている。

コープランドの曲がどんな風に愛されているか?ひとつのサンプルを発見。ラスベガスの高級ホテルベラージオの噴水アトラクションの映像だが、BGMに「Hoedown」が使われている。アマチュアカメラマンの投稿ビデオらしくて手前で「Oh!」とか騒いでいる外人の声がうるさいが、なるほどこういう使われ方をしている曲なんだーとナットク。とってもポピュラーでわかりやすい存在なのだな。バカでもわかる高揚感。ううむ、ロックに近いものを感じる。

この曲、Youtube上にはオーケストラで演っている映像の他、ピアノ演奏のものも多数。ということは楽譜が存在するってことだな。とネットでさっそく検索したらあるにはあったが・・・いちまんさんぜんえん!!!高いよー!