三鷹 de きいたか Vol15

なんと今回で15回目!の柳家紫文さんの定例ライブ。
都々逸の本の出版記念と銘打っていたが、実際の発売は実際の発売は9月とのこと。
今回、非常に平熱なライブといった印象。ものすごくテンションが高くなることもないが、低すぎることも無く。客席と舞台の体温が終始ほぼ同じくらい。
これは客にとっては意外と居心地よいもんなのですが、演ってる方は不安かもしれないね。反応が大きく返ってこないから。

最初は東京ガールズから。今回は小寿々さん、小糸さんの2人体制。三味線が小糸さん、鼓が小寿々さんという見慣れない編成だったが、当人達も慣れないポジションだったらしく、そこはかとなくぎこちなさが。それが逆に可笑しかったのと、はらはらしたのとで目が離せず。

ガールズの後に師匠の登場。ライブ前半は出版する本にちなんで都々逸をいくつか紹介しながら、出版裏話を。本のテーマが二転三転し、あやうく「恋の手ほどき」的な本にさせられるところだったとか。この話で客席から笑いが起こったところを見ると、この日のお客さんはそういうキャラクターと思ってないってこと。ファンなら普通はそうだろう。この本の執筆を依頼した人は、どんだけ紫文さんの芸風を好きなのだろか?「都々逸が好きな自分が好き」な人なんじゃないかねー。まあ、作る方としては売れなきゃ困るからいろいろ事情もあるんだろうけど。ファン用の本では汎用性無いしね。
前半は都々逸を唄って聞かせつつ脱線しまくり、半分くらい喋りだった。でも面白かったな。私は個人的にもっと喋りを聞きたいと思っているところがあるんで・・・だって、面白いんだもん。

休憩を挟んで再度、東京ガールズ。三味線を小寿々さん、鐘と唄が小糸さんのノーマルポジション。さすがに最初と違って落ち着いた雰囲気だった。このところガールズは3人だったり4人だったり2人だったり担当楽器が違ったり、と見るたび編成が変わっているのだが、いろんな組み合わせや編成を試して試行錯誤中とのこと。うむ、まだまだ自分達の持ち味を生かす形にめぐり合ってない感じはする。人数が少ないと音が薄くなるのが気になるという話をしていたけど、芸人さんって「上手い演奏」を聞かせるのが本分ではないのだから、必ずしも欠点にはならないと思う。
ま、これからこれから。
しかし、どんな編成になっても衣装が決まってるから「東京ガールズ」だなって認識できる。これは強みだなあ。最悪、ひとりでもあの市松の着物で出てくれば「東京ガールズ」。

後半、「平蔵」や「大岡越前」など、寄席でおなじみのネタをいろいろと。プラス、落語を三味線で語る「たがや」、最後に「呑気節」。なんかまとめて一気にお客のニーズに応えたような感じではあったが、この時間帯を共有することで他のお客さんと融和できるという良さもある。
落語+三味線のネタは何か正式名称はあるんでしょうか。この路線はいいなあ。なんというか「本領発揮」って感じがしてねぇ。

打ち上げのときに名古屋で演った会のマンガが載った雑誌をみせてもらった。私は小寿々さんの顔があんまり似ていないように思ったので紫文さんに言ったら「えー?そっくりだろう。この髷の位置が。」と。周りの人たちも一様にうなづいていた。うーむ、確かに髷の位置は似ていたけど、もうちょっと目鼻立ちがはっきりしている印象なんですよ、私には・・・・。紫文さんの絵は去年はじめて載ったときよりだいぶデフォルメされ頭身が縮んで崩れてきてるけど、その分キャラクターが生きてきたみたいだ。

都々逸、恋の手ほどき・・・で思い出したが、10年近く前、そのようなコンセプトで脚本家の内館牧子さんが本を出していた。当時まだワタクシ20代。読んでて「ちょっと無理があるなあ」「かっこつけすぎだよなあ」と思うところもあったけど、100%女の視点で選んだ都々逸、今振り返ってみれば興味深い。思い出したら読みたくなって探しているんだけど、今のところ見つからず。引き続き捜索中。師匠の本と併せて読みたい。

追記 2007年9月26日 
発売されたようなので並べてみた。うーむ、予想したより面白い本になってたなあ。
文体がライブんときの口調そのものなので、観たことある人にはより面白いと思われます。