お気に召しますで笑歌 一周年

3ヶ月に一回開催される、オオタスセリさん、あべあきらさんによる、コミックソング企画デー。
早いものでもう一周年。思えば第一回を見に行き、あまりに面白くて「これは皆勤しよう」と決意したものだった。しかし4月、仕事で多忙だったため逃してしまった。そんなわけで、ほぼ半年振りのコタン。
オオタスセリさんも地方に呼ばれることが多くなってきて、都内でのライブが去年ほど頻繁にない。ってことで、1月のコミックソングデー以来の再会となる。
でも、覚えていていただいて感激なのであった。
この日はわりと正統派ギター弾き語りのコミックソングが中心。

最初は前田大くんというスキンヘッドの若者(?)
「笑わせるつもりではなく、本人としてはごくまじめに唄っているのですが・・・。」とのことだったが、歌を聴いてみるとなんだかじわじわ可笑しい。確かに笑わせようとして作った「ネタソング」ではなく、自分の実体験を歌っている、まあ「フォークそのもの」って感じなのだが、思わずクスクス笑いが出てしまう、この味わいは何だろーか?
んで、松山千春ばりの美声。
なんか「不思議ちゃん」なのであった。

2番手は千葉一臣さん。海援隊のメンバーの方だそうだ。私は武田鉄也以外よく知らないのだが。
フォーク演芸とでも言えそうなコミックソングの数々を披露。ほとんど一発芸みたいなのだけど、間が上手くてたくさん笑わせてもらった。イントロをばっちり弾いて歌いだしたと思ったらダジャレだったり、意味なく英語直訳にしてみたり・・・。
こーゆうフォーク演芸ってのは流行った時代があったのか、そういえば以前アルフィーのメンバーの誰かがテレビで似たようなことをやってたな。ある世代にとっては懐かしい感覚なのかも。しかし、私くらいのトシだと新鮮ッス。
ラストの「金色夜叉」はプログレッシブなひとりフォークミュージカル。圧巻。
レコーディングで作りこまなくとも、ギターと人間の声だけであれだけのことができるのかと、ちょっと感動。

休憩を挟んでオオタスセリさん。黄色い園児服で5歳児のコスプレ。
今回わりとまともなフォークスタイルが多かったので、このときだけが異形の時間という感じだった。
最初は「お母さんが歌っちゃダメと言った歌」というネタ歌で、次々と不謹慎なことを。そして自己紹介がわりに「ストーカーと呼ばないで」を。それから順番は忘れたけど、クレーマーの歌とか昔の彼から電話がかかってきたけどデート商法?な歌とか・・・。限られた時間の中にありったけのエッセンスを詰め込んだような濃ゆくて熱い時間であった。途中、あまりの情熱にギターの弦が切れるというアクシデント。
「夢が叶ったね!」と客席から声が。
弦を替えてくれようとするスタッフに「でも、AmとEmだけだから。」と言い放ち、弦が切れたままライブ続行。
すげー・・・。
「酔っ払い女の唄」「弾き語りの夜」・・・鬼気迫るモンがありました。園児服なのに。
短い時間の中に「オオタスセリの心意気」が詰まった、いい時間でした。

最後、あべあきらさん。ん?ちょっとお痩せになったような?
しかし、このところ、確実にウケる安全パイのパターンを見つけてしまった嫌いがある。
ノスタルジーを刺激するペーソス路線だ。
悪くないけど、ほぼ全曲がそれだったのでちょっと食傷かなー。
泣かせっぽい要素を入れてくるのはコミックとしては反則な気がする。
「ばか神輿」とか「すっとこ侍」みたいなのをもっと作ってほしいなー。
あと、3番まで作りたいところを2番まででガマンして、その分ムダを省いた方がもっと中身の濃いよいものができそうな気がした。

何事も長く続けると「落としどころ」ができてしまう。
演じる方も見るほうもそれに安心してしまいがちだけれど・・・。
できるだけ、できるだけそれは避けてほしい。
毎回、びっくりしたいんです、私。
芸に関しては、馴れ合いたくないし安心したくない。
わがままかなあ。
男性の方がその、「落としどころ」を見つけて安心したい傾向は強い気がする。
女性の方が破壊的だ。
スセリさんの「女性性」に期待して、次回もぜひぜひ行くことにしよう、コミックソングデー。