たま・南湖二人会

もう一ヶ月くらい前になってしまうのね。
でも面白かったから書きます。
平日多忙な日々を過ごしていた私、土日に何かおもしろいものが無いかと虎視眈々としていた折、Hさんから強くプッシュされていたこの二人の会に思いいたる。
お笑いの会で偶然会うたび、彼女に何度も薦められていたのだった。
一度くらい観てみても、いいか。
ヒトを動かすのは情熱である。情熱を持つ人に、私はついほだされてしまうのだ。今回も私は、彼女の情熱的なプッシュに突き動かされての鑑賞であった。

会場はにほんばし亭。ぎりぎり5分前くらいに会場に着くと、受付にはオニギリみたいな顔のぬぼ〜っとした着物の男性がいた。
「当日1名お願いします。」とお金を払って中に入ろうとする私に、そのオニギリ男子は何も言わず。
中に一歩踏み込むと、どうやらスリッパで入らなくてはならないということを知った私。慌てて戻ってスリッパに履き替えていると、「あ、スリッパ履いてください」とオニギリが言った。
あのねえ、最初から言ってちょうだい!
しかし会場に入り、後から入ってきたHさんに聞いたらそのオニギリがなんと、南湖さんだというのだ。
あー、そうなんだ。なんか弟子にしては妙に落ち着き払っていると思ったのよね。
本人だとわかってしまうと、さきほどのぼんやりした客あしらいも「味」のような気がしてきてしまうから不思議。

笑福亭たま「口入屋」
旭堂南湖風林火山

仲入り

笑福亭たま「Baby」
旭堂南湖「長槍試合」

笑福亭たまさんは南湖さんと年齢的にはほぼ同じくらいなんだろうが、こちらは細面のいわゆる「しゅっとした」美青年風。
しかし抜け目のなさそうな、目端がききそうな目つきが印象的。
テンポよい語り口で明るく軽く若々しく聞かせてくれる。
アクションが軽く大きく型破り。「Baby」のときなんか胎児の話だから、逆子が正常な位置に戻ろうとする様子を、なんと座布団の上に逆立ちをして表現。
しかもそのままでしばらく噺を進行。いや、びっくり。

若々しいたまさんに比べ、年に似合わぬ老成した風格の南湖さん。
語り口もこなれた落ち着きがあって、安定している感じがした。
が、力の入る場面になるとやはり、若さが顔を出す・・けど、熱演しても暑苦しくなくさらっとしてる。
押し付けがましい熱演が無いのが好印象だった。

この日、5月にしては暑くて会場には冷房が入っていたのだが、出演の二人がスタッフも兼ねていた・・・つまり、受付から会場準備から出演まで二人だけでやっていたため、冷えすぎたり、暑かったり。
それを気にして休憩時間にたまさんが「みなさん、大丈夫ですか?暑くありませんか?」と客席に呼びかけた。
暑い、とか冷えすぎるとかいろいろ言う客席。
しばし間があってたまさんは言った「まあ、辛抱してください。」
なんなんだそれは〜???だったら最初から聞くなよー。
あまりの衝撃に笑いの止まらぬ私だった。
その後ちょっと冷房が聞きすぎて寒かったりしたけれど、なんか許せてしまった。
いやあ、キャラクターの勝利ですなあ。