下北沢BigChief「講談大酋長」

 
会場でもらったチラシのイラストがあまりにもイメージぴったりなので載せてみた。
もうちょっと目がぱっちりした人だったような気がするが、印象は実際こんな感じ〜!
つるんとした卵型のお顔にびっくりマナコ。勝気なゆで卵といった風情の女流講談師、神田阿久鯉さんの会に行って来た。

実はお笑い仲間のHさんが企画した会。
阿久鯉さんの会の打ち上げに出たときに、高座の彼女と打ち上げの彼女のキャラクターの落差に驚き、打ち上げのときがあまりに面白かったので、「そーゆう感じで、自分の好きなようにできる会をやってみませんか?」と声を掛けたのだそうだ。
それからトントンと話は進み、今回の会と相成る。
会場のBigChiefは通常はニューオリンズ料理のお店。マスター(阿久鯉さん流にいうと「ご主人」)が最近「和の文化」に面白さを感じはじめたということで、和モノのイベントの第一回目が先日行われたばかり。
(ちなみに常磐津のミニライブでした。見に行ったんだけどレポート書こうと思っているうちに日がすぎちゃって・・・すんません・・・。面白かったです。)
20人から30人でいっぱいの店内。Tシャツが壁じゅうに貼られていたり、カウンターではホットドッグ用のソーセージがグリル機の中でぐるぐるまわってたり、およそ和のムードは皆無だが、そこがミスマッチで楽しい。
規模としても、ちょっと実験的なことをやるのにちょうどいいかもしんない。


ピンクの着物に桜の刺繍の半襟の阿久鯉さん。
第一部は講談についてのレクチャー。講談はいつごろ、どのように生まれたか。どんな読み方があるのかなどなど。読み方については実演を交えて。また、弟子入りから修行時代についてやや赤裸々に。
稽古するうち咽喉が切れて血が出てそこが固まって、また切れて固まって、また切れて・・・と繰り返しているうちに咽喉にタコができて、切れなくなり、太い声が出るようになったそうだ。ひえー、軟弱な市井のヒトな私には、身震いするようなエピソード・・・。
第二部は質問コーナー。休憩の間に書いてもらった質問に阿久鯉さんが答えるというもの。、
この質問コーナー、阿久鯉さんは座らずに立ってつとめた。
休憩中に緊急会議があって言われたそうなのである。「やっぱり座布団に座っちゃうと、講談口調になってしまって堅くなるから、座らないでやったら?」と。
なるほどそれが正解で、このコーナーの彼女は「はっちゃけネエチャン」な感じがとっても面白かった。
演じる方が一方的に演じて、観る方はただ観るだけ・・・ってのもまあ、アリだけど、せっかく小さな会場なんだし、インタラクティブが楽しいのではないでしょか。
演芸のお客さんって音楽のお客さんに比べておとなしいので、実は聞きたいと思っていることがあるのに口に出せなかったり、芸人さんに話かけたくても出来なかったり、という人が多そうな気もするし。
何より、自分の言葉に答えてもらえるとあっさりファンになっちゃったりするもんだ。


質問コーナーのあとはいよいよ講談「天明白浪伝(金棒お鉄)」
さすが、の迫力。
質問コーナーでいくらはっちゃけようがぶっちゃけようが、本業の芸の方をビシッと決めてくれればOKなのですよ。
それにしても不思議なのは、男役をやっているようすを落語よりも素直に受け入れられること。
女性の落語って、やっぱりちょっと目を反らしたくなるって言うか、痛々しくて素直に笑えないところがある。
でも講談は、男役をやっていても気にならない。それどころか、カッコイイと感じてしまう。
この違いは何だろう。
落語の場合、自分を貶めてみせて「おもしろいでしょう?笑ってやって下さい。」というところがあるが、講談にはそれがなくて客の上から「語ってみせる」という感じだからかな?
こればっかりは不思議だが、ホント、講談は女流でも自然に受け入れられる。


講談を満喫した後、とくに打ち上げというのではないが、お店が通常営業に戻ったので残ってダラダラと歓談。
質問コーナーで「昔は洋楽ばっかり聴いていた。」と言っていたので、「どんなのを聴いていたのですか?」と聴いてみたら、なんとワタクシと同じMTV世代とわかり盛り上がる。うれしー。
それから「椎名林檎」のファンだそうで、そこでもまた盛り上がる。
その後、阿久鯉さんは私たちとは離れたテーブルでおしゃべりしていらしたのだが、彼女の恋愛論とおぼしきお話が聞こえてきて興味津々。
次回があったら、その辺りをフリートークで聞きたいものです。うふふ。