Bellows Lovers Night vol6

ごぞんじcobaこと小林靖宏氏が主催する、アコーディオンの祭典。第一回が開催された2002年がアコーディオン誕生180年の年だったので、あと20年続けてちょうど200年になった暁には盛大に打ち上げをしよう!という目標のもと、今年が6回目となる。
cobaの音楽のスタイリッシュなイメージがいまいち好きになれず、この会の存在は知っていたが今回初めて行ってみた私。
場所は横浜、赤レンガ倉庫。関内の駅から徒歩15分強。歩くほどに人通りも明かりも少なくなり心細くなった頃に、ひろびろとした敷地が開け、見渡した先に赤レンガ倉庫が浮かび上がる。
おりしもこの日は満月で、気温が高かったせいかちょっと空気が霞んでいて、まるで絵本の1ページのような風景。
ホールの中に入っても、倉庫を改築した建物の縦長の窓から夜の海がよく見える。おまけにロビーに簡単なバーカウンターがあって、ビール、ワイン、スパークリングワインなんぞ、ライブの最中でも自由に飲めるのだ。さすが、スポンサーがキリンビールなだけある。(注 無料ではありません!)
ああ、なんで誰も誘わないで来てしまったのだろー・・・と後悔につぐ後悔。


うわさのローランドのV-Accoを試し弾きさせてもらったり、ビールを飲んだりしていたらロビーに急にアコーディオンの生音が響き始めた。19:30が開演なのだが、プレパフォーマンスということでアコる・デ・ノンノンさんのダンスと演奏が19:00頃始まった。白いチュチュみたいな衣装にショッキングピンクのハイソックス、ハデかわいい彼女のタップダンスとアコーディオンにたちまち人垣。開演前なのにすっかり気分が盛り上がる。
その後ステージの方で、もう一組プレパフォーマンスがあった。博多から来たPorcoというバンド。
ブルーパールのアコーディオン(Bugariにもあんな色の機種があるのかー。)、蛇腹の谷間は鮮やかな赤。ちょっと宮崎駿のアニメの音楽のような感じ。おらが町にサーカス団がやってきた、という風情の楽しさと切なさ。


その後の出演者たち


<檜山学>
ボタンアコーディオン&サックスのユニットで。演奏した曲は東欧風の変拍子でかなりプログレッシブだったが、二人ともスーツで、サックスの人なんか帽子をかぶっていたので、どこかニューヨークのJAZZクラブ風の雰囲気。スタイリッシュ!


<マルカート>
高原の少女といった感じの愛らしさが漂う不思議な雰囲気の女性。白パールのアコーディオンでミュゼット風のインストを一曲やった後、「次は歌を歌います。歌わせてください。弾き語りなんです、うふふ。」と笑った様子が愛らしくて、会場から思わずひそやかな「かわいいー。」という声が(女性から。)。大貫妙子風の歌声にさわやかなアコーディオンが絡み、いい感じ。「皆様の旅心を刺激できたら嬉しく思います。」のMCどおり、なんだかどこかに行きたくなってしまった。


プラネタリウム
後でCobaが「いつからハードロックバンドになったのでしょうか?」といっていたので、もともとの音楽の傾向は違うのかな?ギター・ベース・ドラムの典型的なバンド構成。しかしフロントを固めるのがボーカルではなくてアコーディオン。手ごたえのあるロック風。


田ノ岡三郎
アコーディオンはオールウッドのビクトリア。秋頃、千駄木での路上ライブでも使っていたもの。音の抜けがものすごくいいなー。田ノ岡三郎さんは、いろいろな楽器とのコラボレーションに意欲的なプレイヤーである。
この日はハモニカデュオの二人と。ハーモニカといってもアコーディオンの左手ボタン部のように和音の出るタイプ(長さ30センチくらいある。)だったり、マニアックなものばかりで面白かった。速いフレーズの続くアイリッシュの曲とあと一曲何だったっけ。ハモニカの女性の演奏が、意外にブルージィで力強く、かっこよかった。


ポカスカジャン
友情出演。
詳細は「まりしろ」に投稿しちゃったので割愛。


休憩


<御喜美恵>
プログラムに載ってないスペシャルゲスト。cobaがだめもとで夕べ電話したらOKがもらえたのだそうだ。(そのとき美恵さんは泥酔していたらしい。)
クラシック奏者御用達、HornerのGORAという大きなフリーベースアコーディオンで、ピアソラの「バチンの少年」、それともう一曲クラシックの曲を聴かせてくれた。すべての音に神経が行き届いている、勢いや雰囲気でごまかさない演奏。この人は小さな音で弾くときが特に素晴らしい!


<アコる・デ・ノンノン>
これも詳細は「まりしろ」に投稿しちゃったので割愛。


<チコス・デ・パンパ>
ピアノをフューチャしての都会的なタンゴ。バイオリン、ピアノ、バンドネオンとすべて女性。確か曲は「ラ・クンパルシータ」だったかな。全員線の細い美女。見た目にも麗しく・・・。


<佐藤芳明>
ガレージシャンソンショーで山田晃士と組んで活動していた人。ガレシャンのときと違ってノーメイク、メガネにド短髪、シンプルなシャツ。もう理系ハンサム全開。CDを持ってステージに現れ、「今からやる曲はこれに入っています。ロビーで売ってますので良かったら・・・。:」と宣伝。彼のファンらしき女の子が私のとなりでものすごく嬉しそうに笑っていた。
曲はオリジナルだったが、弾き方がアバンギャルド!鍵盤を指じゃなくて手首全体を使って押さえたりしちゃうのだ。


<やるせなす>
こちらも詳しくは「まりしろ」で。


coba
お供は当然、キャバニョロのアコーディオン。時間がなくなってしまったので1曲だけと登場し、「桜」というオリジナル曲を。これがタイトルからイメージできない中東風のリズムを使ったダイナミックな曲。私はcobaの音楽に対してはさほど興味を惹かれていないが、「自分の音色」を確立しているという意味で唯一無二のアコーディオン弾きではないか。音色を聴いただけで「あ、これってcobaかな?」ってピンとくる音。これってスゴイ。



エンディング
恒例、出演者全員による大演奏「吠えろベローズ」で〆めである。
ステージ上に10台以上のアコーディオンが並ぶ様は壮観。
アドリブまわしがあるので、これも見所。
この曲で客席は総立ち状態になった。


ああ、ものすごく充実したライブだったなあ。
今まで行かなかったのが悔やまれる。来年もぜひ。