大島屋VSかわむら

写真は季節限定、かわむらの牡蠣そばです。

谷中で愛用のお蕎麦屋さんは2件ある。1件がこのかわむら。日暮里駅の北口から出てすぐだし、ガイドブックにもよく掲載されているので知っている人も多いでしょう。引き戸を開けて入るとまぶしい朱色のテーブルで、中華料理か?と思うけれど、非常にきさくな町の蕎麦屋である。店員さんも気が利くし、メニューが多いのでちょっと飲むとき助かる。最後に蕎麦で〆られるしね。2人で一枚のせいろをとったとき、「おつゆは二つお持ちしますか?」って聞いてくれたり、お酒とお蕎麦を両方頼んだときに「お蕎麦は後でお持ちしますか?」ってちゃんと聞いてくれるのところが気に入っている。酒飲み心を解っている。
これねえ、女性が一人でお蕎麦屋さんに行くと、案外聞いてくれないことが多いのだ。だまってお茶出されちゃったりするの。何も言わずにお酒とお蕎麦と両方持ってきちゃったり。そーじゃないでしょ!ってば。
牡蠣そばは秋から冬だけのメニューで、大粒の牡蠣のソテーが温蕎麦の上にのっているもの。牡蠣が大きくて美味い。しかし、いかんせんボリュームがあるのでこれだけでおなか一杯に。飲む人はぬきにしてもらって、牡蠣だけつまみにするといいかもしれない。ホワイトセロリのおひたし、白えびのかき揚、米ナスの揚げ出しなんかもおいしいし、これからはなんといってもねぎまだ。お酒もいろいろあるが、銘柄指定せずに「熱燗」っていったときに、市販の日本酒の小瓶をそのままあっためて持ってくる雑駁な感じが私は好きだ。

しかし実はちょっと不満がありまして・・・そばつゆの味がちょっと辛め。好き好きなので美味い不味いではないのだけど、薄味好きな私はもう少しやさしい味のつゆの方が好きである。そこでもう1件のお気に入り、大島屋なのです。ここは千駄木から三崎坂をあがったところにある。店内に池があって錦鯉がいたりするが、やはりここもまったくきどらない町の蕎麦屋である。ここのそばつゆの方が味がやわらかくて、とくに温蕎麦のときにおいしいのだ。でも蕎麦の方はかわむらにくらべると柔らかめ。ものたりない人もいるかもしれない。店が目立たないのと、ガイドブックや雑誌に載る機会もかわむらに比べると少ないので日曜でも案外すいてて穴場です。地元の人がためらいなく、昼間から飲んでくつろいでる・・・。昼の2時から3時の間に遅いお昼を食べに行ったことがあったのだが、マンガを読みながらわさび芋と玉子焼きと銘柄ありの日本酒で憩いまくりの30代独身とおぼしき男性を見た。(この人、日本酒のお代わりまでしてたし。読んでるのは青年マンガ週刊誌だったし、いやあなんか自由だなあーって感じで瞠目であった。まるでコーヒーでも飲むかのように酒を飲んでいた。)
つまみは由緒正しい「蕎麦屋のつまみ」しか無いのだが、玉子焼きがすごいのでぜひ食べていただきたい。ふわふわなのだ。でもオムレツみたいに半熟ではない。ぎりぎりのところで固形になっている絶妙さ。味も優しくて、卵の味そのものが感じられる。日本酒は銘柄指定しないと、焼き〆の小さな徳利とお猪口で出てきたり、蕎麦湯は銅の急須に入ってきたり、など、ちょっと器にこだわったところあり。あ、ちなみにかわむらの玉子焼きもおいしいが、こっちはしっかり焼いてあって、味もしっかりめ。ただ、青海苔入り、青唐辛子入りなど変わったものがある。これも好き好きだが、私は玉子焼きは大島屋派です

どちらも夜8時には閉まっちゃうのが難点だけど、むしろダラダラ飲み続けてへべれけになることがなくていいかもしれないね。