ビデオジャーナル7

PV(プロモーションビデオ)が一般化して以来、バンドの演奏場所はステージ上に限らなくなってしまった。海で、山で、街で、その他いろいろなところで演奏するはめになってしまったのである。
ボーカルは体ひとつだからまあ、いいとしよう。ギターもベースも、持って行けるからいいでしょう。微妙な立場になってしまったのはドラムの人ですね。屋外ロケのPVではドラムの扱いが難しい。そこにドラムがあるのも不自然だし、ドラムをまったく映さないと、ドラマーの人が「あんたダレ?」という状態になってしまうし。
Policeのドラマーの例が極端で面白かったので、ちょっと集めてみました。
まず「Messege In a Bottle」。たぶん楽屋で撮ったと思われる。「ライブが終わったけど楽屋でも盛り上がっちゃってセッションしちゃいました〜」というノリの演出でしょう。そうなると、ドラムセットがどーんとセッティングしてあってはおかしいわけで・・・。ドラマーさんはとりあえず椅子とか、まわりにあるものを叩いている。かろうじてシンバルのみセットしてあるのが泣かせます。

屋外ロケの「Walkin'on The Moon」ではロケットのエンジンを叩いているが、後半はただフラフラ歌って踊ってるだけ。いかんともしがたい「手持ち無沙汰」感。ただドラムスティックを持っていることだけが、彼のアイデンティティーを表しています。が、それも途中から持っていない!

「DoDoDo・de・DaDaDa」では手持ち無沙汰のあまり、とうとうカメラマン役です。ドラムスティックすら持っていません。Policeというバンドを全く知らないで、さらにロックという音楽ジャンルに疎い人が初めてこの映像を見たら、「何この人?」と思わないか?

こんなことだけ列挙するとアホみたいですが、ドラマーのスチュアート・コープランドプログレ出身の実力派。Policeはスリーピースバンドだしサウンド的にドラムの占める存在感は決して小さくないのに、そんなことを微塵も感じさせない仕上がりになってしまうあたり、PVの面白いところ。

上記のPVは以下のDVDに収録。

ベスト・オブ・スティング&ポリス [DVD]

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