ゴールデン街劇場 すわ親治ひとりコメディ&末広亭夜席

断っておくが、私はゴールデン街には縁が無い。どうも、そうは見えないらしいが、心外である。なんてね。ちと言いすぎだけど。
でも「不潔っぽいマイナー感」が嫌いなので、偏見かもしれないが、寄り付かなかった場所であります。(「マイナー感」はよいとしても、「不潔」がダメなのよん。)
というわけで、はじめて新宿はゴールデン街に足を踏み入れたのは、すわ親治さんのライブのため。人間交差点で観て以来、ずっとずっと単独の舞台を観たいと思い続けていたのが、やっとスケジュールが合って観にいけたのです。ゴールデン街劇場は低層マンションのような建物の地下。うーん、アングラ感たっぷりだ。しかし、なぜか受付をしているのは小学生くらいの女の子。不思議。
中に入るときつい傾斜の客席に、たぶんキャパは40人くらいじゃないかな。小さい劇場にこの傾斜はありがたい。けっこうライブって、後ろの方に座るとステージ見えないこと多いからね。でも席が空いていなかったので、前から2列目に座った。一番前の列に誰もいなかったので、実質的に最前列。は、迫力です。
ワンマンというか、女優・山口智恵さんとのコラボレーションコント企画。各自がひとりでやるコントもあれば、二人でのコントも。
すわさんの一人コントは見覚えのあるものから初めて見るものまで。紀伊国屋で観た「ちびT無理着」とか「ミルク32」を目の前で見られたのは嬉しい。あのウイスキー吐き出し芸大好き。
あと、土方の格好でふらふらしながら身の上話したり、コワモテの男がドスのきいた声で裏昭和史を語ったかとおもったら、いきなりまったく別の人格に変わって「うそです!」という多重人格コントなど。シチュエーションが面白く、オチらしいオチが無い。おわって暗転したときに客席に起こるさざなみのような笑い声。この不安な感じがたまりませんね。静かに静かに狂ってます。(褒めてますってば)

山口智恵さんは40代らしいのだが、小柄でGirly。dollyというのか、お人形さんみたい!って感じ。メジャーな例えじゃなくて恐縮だが、アメリカのコメディエンヌJulieBrownに似た雰囲気。この人が中国人留学生、田舎のメイド喫茶店員、おばあさんなど、みんな「標準語をしゃべらないキャラ」を演じるのがすっごくおもしろかった。そう、私はつねづね、女として最上級にかわいいのは「顔がかわいいのにすっごくなまってる女」だと思っていたのだが、まさにそんな女がここに!という感じだった。んもー、私が男なら結婚したい。
とくに田舎のメイド喫茶店員。メイドの衣装、アニメキャラみたいなかつらでなかなか美少女っぽい(少女じゃないけど)のに、しゃべるとばりばりになまっている。それもどこの方言かわからないオリジナル方言。町おこしでメイド喫茶を始めた女のところに幼馴染の男が客としてやってくる。そんなシチュエーションの一人コント。
「おかえりなさいませ、ご主人様、萌〜とか言うんやろ?何が萌〜じゃ!オエー!」というセリフがツボってしまい、これはどこかで使おうと心にメモする。

前半はコントだったのだが、後半はすわさんの歌だった。んー、もうちょっとコント見たかったな。でもまあ、このライブ、一日目に昼の部と夜の部があって、次の日も昼の部がある。その一日目の初回だったので、力配分の関係なのか80%くらいのパワーだったのかなー。

この後、近いのでついでにぶらっと末広亭へ。最近、「寄席にはなるべく事前チェック無しで行こう!」運動が私の中で盛り上がっているため、出演者の確認は最低限しかしないで行った。そしたら「6代目小さん襲名披露興行」というやつで、さらに連休の中日だったため、ものすごい混み様。席は1階も2階もいっぱいで、ワタクシは通路で立ち見です。うう・・・。
でも、昭和30年代の寄席ってこんな感じだったって、どこかで読んだことある・・・・。なので、まあ気を取り直し本日は「昭和プレイ」ってことにした。
最後まで立ち見で足はパンパンになったが、それなりにのんびりした時間を過ごせて満足。予定調和も心地よいもの。
ときどき温泉に入るみたいな、そんな気分で行ける場所であってほしい、寄席ってところは。