アコ協合宿VS圓朝まつり

8月4日から6日まで、私は秩父の中津川はこまどり荘というところにいた。私の所属するアコーディオンサークルの合宿だったのである。「合宿って何するの?」って良く聞かれるけど、私もよくわからないまま参加したら半端な遊びではないのだ、これが!参加人数は50名前後。プロ、セミプロ、プロ級のアマチュアから私のようなビギナーまで、年齢は10代から70代までと幅広い。世の中にこんなにアコ弾きがいたのか、とそれだけでもびっくり。
現地着いてすぐの午後に個人レッスン(それも初めて会う先生だ!)、空き時間は自主レッスン、総会、夕ご飯食べてアンサンブル講習。次の日も早朝から個人レッスン。アンサンブルのパート練習に引き続き、アンサンブル合わせ。夜はコンサート・・・といっても進行も出演も準備も自分たちである。私は新人なのであまり仕事はなかったのだが、まさに強化合宿。3日間ほとんどアコーディオンを肩から下ろさずに過ごすため、夜寝るときには背中がバリバリに固まっていた。しかし、先輩に言うと「大きい演奏会の前はこんなもんじゃないよー。」との答え。恐ろしい・・・・。でも薄暮の中、山小屋に明かりが点り、中からアコーディオンの音が漏れ聞こえてくる様子はたまらなく良いものだった。似合いすぎである。音楽は空気に色をつけるもの、と私は思っているが、その色が空間にぴったり似合っているということは少ない。音はだいたいにおいて勝ちすぎか負けすぎかのどちらかになる。この渓谷の中の山小屋風の施設には、アコーディオンの音色があまりにも似合っていた。音と空間の意図せざるトータルコーディネート。感動〜!


さて、合宿は6日の昼までの予定だったが、6日は圓朝まつり。これに行くのが目的で谷中に引っ越した私なので今年もきちんと行きたくて、早めに出発させてもらった。現地を8時のバスで出て、秩父鉄道高崎線京浜東北線〜山手線を乗り継いで3時間半かけて東京に戻る。当然、アコーディオンと旅行用ボストンバッグを背負ってである。山と下界の気温差に、さすがにぐったりして動けずしばし自宅で休憩。余力を振り絞って浴衣に着替え全生庵に向かって家を出たときには夕方4時を過ぎていた。到着してすぐ、会場を見て回る時間もそこそこに最後のゴミ隊パフォーマンスと住吉踊りが始まってしまう。ここで太鼓と三味線の音を聞きながら、また私は感動していた。これもまた、音と空間がぴったり嵌まる。(プラス踊りも、だけど。)お寺の境内、浴衣の人々、立秋近くの強い日差し、台風の片鱗をうかがわせる熱い風などなど、やっぱりここに似合うのは和の音だよなあ。あっというまに踊りも終わり、お祭りはフィナーレ。正味20分くらいしか全生庵にはいられなかった私だったが、浴衣でそこに立っていられただけで気分的には満足して帰途へ。


音と空間がうまくマッチしている空間ってとっても美しいなあ・・・ってしみじみ思った数日間であった。音と空間がぴったり嵌まるところに身をおくことほどの贅沢は無く、そこに自分が絵的に嵌まれればもっと良い。
そんなことを意識してみると、生活するすべての日々はライブそのものだなあ。