90’Sコミックソング・クロニクル1

この前オオタスセリさんのコミックソング縛りのライブに行ってから、自分にとってコミックソングって何だったかな?とか考えている。コタンで精力的に活動している人たちって、私の世代より10年くらい上なのだ。だからたぶん、同じものを面白いと思って育ってきてはいないだろう。
自分にとって同時代的なコミックソングって何だったかなあ・・・。
ま、それはおおげさとしても、ここ10年くらい何を聴いて笑ってきたかということを振り返ってみたい。

MOTER MAN 山手線“Loop Complete”

MOTER MAN 山手線“Loop Complete”

演芸・演劇の流れからのコミックソングとは同じ土俵に乗せて語られることがないのが、こういうテクノ・ラップ系のもの。私の中では矛盾無く同居しているが、こういう電子音楽にはものすごく抵抗を示す人もいるんだよね。まあまあ、そうも言わずに・・・と背後に回って肩を揉んでやりたくなる。
電車のモーター音をサンプリング、駅の発メロをモチーフに車掌DJの面妖なラップが乗っかるスタイルで活動を続けるスーパーベルズ「モーターマン」シリーズ。たしか90年代の末頃に出てきたグループだったと思うが、今でも新しい路線ができるとわりとコンスタントに新譜を出しているみたい。ちゃんと「つくばエクスプレス」ネタのも出していたので驚き。
きちんとその路線の車両のモーター音を録音して使うこだわり様には敬服だが、鉄道ファンではない一般人には、自分の乗ったことのない路線だとピンとこないのが難点。
しかしこの「山手線」は私の生活路線なので、ものすごく解る。モーター音を聞いたとき、鉄っちゃんの喜びが理解できた。山手線外回り電車をテーマにとり、各駅の発車メロディをうまくアレンジして東京を一回り。山手線各駅のキャラクターの違いも曲調に反映させていて面白い。渋谷はトランス、池袋はソウル、日暮里はなぜかレゲエ。巣鴨と原宿に同じ曲を使ったりするシャレも効いているし、京浜東北線と重複する駅の区間ではバトルしたりする。そうそう、確かにあの区間は、どっちに乗っていても競争しているような気分になるよねぇー。
山手線モチーフならば、凡人ならCD全体がループするような作りにするはず。しかしこのアルバムでは、大崎で車庫に入っちゃうのよーん。うーん、わかってるねぇ!って感じで意味無く嬉しい。各駅の乗り換えもぜんぶ言ってるので、何気に実用的な東京案内になっている。
ただ、ところどころ音がショボかったり(コーラスの部分なんかはプリセット音源みたいでちょっと・・・。)するのが残念。


おそらくもともとのアイディアはクラフトワークの「ヨーロッパ特急」だろう。電車の走る音を模した電子音のビートにのせて駅名・地名を淡々と連呼していくものだ。それもまあ、考えてみればふざけている。おまえ、歌詞くらい作れよ、と。

ヨーロッパ特急

ヨーロッパ特急

でも地名をリズミカルに連呼するタイプの曲って、日本でも大道芸とか売り声の系統の曲にもけっこうありそうな・・・。と、そういう発想で、私の頭はまた演芸に戻ってくるわけです。(私の頭の中ではちゃんとつながっているのだけど、なかなか説明しにくいのよね・・・。)

日本の大道芸?もの売り、啖呵売

日本の大道芸?もの売り、啖呵売

ちなみに、同じ「ヨーロッパ特急」に触発されてアフリカ・バンバータが「プラネット・ロック」を作り、それが今日のラップの原型となっておるのですよ。

プラネット・ロック・ザ・ダンス・アルバム

プラネット・ロック・ザ・ダンス・アルバム

ベルズ 補足
こんなBlogをやっている様子「鉄音アワー