千駄木倶楽部

私は甘いものがあまり得意ではない。
食べないことは無いが、進んでは食べない。なので喫茶店で小腹が空いたとき頼むのは、もっぱらトーストである。そうしているうちに気がついたのは、私が気に入るトーストを出す店は少ないってことだ。単に「パン焼いて出せばいい」って思ってない〜?そんなもんじゃないんだぞ〜。


千駄木倶楽部は私好みのトーストを出す店のひとつ。
団子坂の交差点から三粼坂を上がるところにあり、レンガ造りで目立つので知っている方も多いだろう。分類すれば「カフェ・ラミル」系の、コーヒー一杯500円する系の、ケーキがいろいろある系の喫茶店であるが、押し付けがましい思想性(無農薬アピールとか、劇団やバンドのチラシがやたらに置いてあるとか・・・ちと苦手。)を感じない「ゆる喫茶」として最近愛しつつある店である。
ここのトーストが最近の中ではベスト。3〜4センチの厚切りのイギリスパンで、最初からバターが塗られて出てくる。店によっては焼いたパンに小さいパックのバターを付けて出し、自分で塗るようになっているところもあるけど、あれってパンが冷めちゃってバターが溶けないのよね!
テーブルに運ばれたときには、すでにバターは溶けてパンに染み込んでいて欲しい・・・。
ここのトーストは完璧にバターが染み染みの熱々で出てきます。
厚切りなので中はふわふわ。でもイギリスパンだから、パンの耳が固くなりすぎない。フツーの食パンのトースト出すところもあるが食べているうちに冷めてくるとパンの耳が固くなるんで、ホントに最後の最後、耳の角っこのところだけ残してしまったりする私。だって冷えたパンの耳ってマズイんだもん。
雑誌などにはケーキが紹介されることが多い店だけど、お立ち寄りの際はぜひぜひトーストを食べてみて下さい。


トーストのことばかり書いてしまったけど、コーヒーは普通に美味しいです。いわゆるコーヒー専門店の美味しさ。カップもジノリとかの薄手のきれいなヤツで出てくる。
あと、ボルシチがあるのも私にとってはうれしい。アルコールはビールとワインだけ。谷中のガイドブックにはけっこう載ってる有名どころなので日曜や祝日は混んでいる。建物が大きい割りに底面積が狭いので、意外と席数が無いのよー。


しかし「ゆる喫茶」ってヤツは、先物取引の勧誘とか、風俗の面接風景とか、サラ金の取立て打ち合わせとか・・・カフェにコンセプチャルなものを求めないお客さんを目撃する機会が、おしゃれカフェに比べて多いかもしれない。世の中のディープさを知るひととき。
こないだも二階の席でぼんやりしてたら、一つおいた席のスーツの二人組みがどうやら先物取引の話をしていて「遺伝子組替が・・・」「ここで下がってここで上がってるので・・・」とかいう言葉が断片的に聞こえてきて、片方のおじさんが食い入るように聞いているのが面白かった。
そーいえばこのまえ西日暮里のドトールでも先物取引の勧誘らしきシーンを見たな。
流行ってんのか?