オオタスセリ ワンマンライブ スタンダップコメディ〜!VOL2

私には理由のわからない直感が働くことがけっこうある。
理論派に見られがちなんだけど、何かを選んだり決めたりするときはほとんど直感。
わりと動物的なのである。
んで、今回共演のこのお二人、スセリさんと紫文さんを初めて纏めて観たのは昨年10月の紀ノ国屋だったのだが、そのとき私はまた理由のわからない直感に打たれていた。
「ううむ、並べて観て見たい・・・。」
でも芸風違いすぎるし、現実的にはムリかな・・・。
と、思っていたらなんと、スセリさんの会にゲストで紫文さんが出るというじゃないですか。
私の直感も捨てたもんじゃないなあ。
なんか合うんじゃないかと思ったんだよねぇ。
理由はわかりません。
ただ今思えば「北島マヤVS姫川亜弓」、あるいは「岡ひろみVSお蝶婦人」的な対照性というのを、感じるともなく感じていたような気がする。
坂本龍一VS矢野顕子」、あるいは「マイク・オールドフィールドVSケイト・ブッシュ」、みたいな印象も個人的には、ある。(まあ、この辺は後付けのカッコつけの理屈だな。)
あと、二人ともに「芸に対する愛情」の指向性が似ている気がした。
「芸と結婚しちゃった人たち」、というべきか。


構成は3部構成であった。
1部はスセリさんのワンマン
2部は紫文さんのワンマン
3部は二人でコラボ。


サーモンピンクのアンサンブル着物のスセリさんはすごくかわいかった。
前回2回ほどの衣裳は普段着っぽかったのだけど、やっぱり女性にはオシャレして出てもらいたい。
女子力は人を明るくします。
これは男の人にはない要素。
着物姿なのに、ギターをかき鳴らすと「和」の雰囲気が皆無といっていいほど吹き飛んでしまって面白い。
この衣裳で聴く「負け犬の唄」「血液型の唄 女の子バージョン」「ストーカーとよばないで」などなどは、見世物小屋的な非日常感が漂っていた。
異形なのにカワイイ、という不思議さ。
「過激にして愛嬌あり」って言葉、思い出した。誰が言ってたんだっけ・・・?


2部の紫文さんはおなじみの「長谷川平蔵」だったのだが、ここで初めて私はコタンの音響がものすごくイイということに気付いた。
この人の三味線は何度も聴いているのに、今回はじめて鳥肌が・・・。
弦のアタックから音が徐々に減衰しやがて音圧だけになった後に消えていく様を、耳だけではなく肌で「体感」した感じだ。(この音の消え方がまた良かったのよねえ。)
音色が会場の空気を一気に染め替えた。
音色に絡め捕られて観客の耳目も集まり、自然とネタへの集中度も高くなり、催眠術にかかったみたいに笑ってしまう。笑いってグルーヴ感なのだと思い知るひととき。
引きつけ起こしたみたいに笑ってた女性がいたのが印象的だった。
あれはもうトランス状態でしょう。
演芸主体の会場だとPAはどうしても人の声の方にフォーカスしてしまうので、音楽の芸であっても意外と楽器の音色の印象が薄かったりするもの。
でもここはライブハウスなんだなあー。
店の人がアコースティック楽器というものを解かっている。
しかしそのことになんでスセリさんのときに気が付かなかったのか・・・、もう4回もライブ観てるのに・・・ははは。
「何かをきちんと習った人にはできない芸」とは紫文さんのスセリさん評だが、逆にきちんと習って積み重ねた人にしか出せない音もあるってことでしょう。
楽器は正直なのだ。


3部はとにかく爆笑。
両方ツッコミキャラだと思ってたら、紫文さんってボケもできるんですねえ。(素だったのか?)
夫婦漫才と言っていたけれど、夫婦以前・・・今回のようにスセリさんがラブラブ光線を出して迫り、紫文さんが最初はかわしているんだけどいつの間にか巻き込まれて壊れる・・・というフォーマットが面白い気がする。
それならどちらの女性ファンも感情移入しやすいし。
しっかしスセリさんの「私とメオト、どースか、メオトメオト。申込んでるんですけど。どうよどうよ?」がツボに入っちゃって苦しかった〜。
そんな申込み方がありますかー。
でも女性からのプロポーズのセリフに使えそうかも
どっかで使ってみよう。(・・・いや、使えないか、やっぱ。)
あとスセリさんの棒読みギター都々逸「やるじゃない〜♪」シリーズ(と、勝手に命名)、好きだなあ。
私も自分の経験をいつの間にか頭の中で歌っていた。
「やるじゃない〜♪さりげなくトラベル用化粧水を置いてった女〜♪」
悔しいから使ってやったけどね。
そんなことを繰り返して、どんどん「食えない大人」になってゆく私だ。はあ。


とっても面白かったけど、やっぱりあの会場で入れ替え制は辛いな・・・と思った。
できれば8時開演で10時くらいに終わって、打ち上げまでいかなくても歓談する時間があればいいなあ。
そういうのが小さい会場の良さなのだし・・・。
終わってからが慌ただしくよそよそしく、あっというまに夢から醒めたようでちょっとサビシイのでした。