木村万里シャッフル 笑いの人間交差点

うちはTBSラジオをほとんど流しっぱなしにしている。
なので、永六輔の土曜ワイドラジオ東京は聞くともなしに聞いている番組だが、木村万里さんのコーナーがあると「オッ」と思ってそこだけは真剣に聞いていた。
木村万里さんが見つけた面白い芸人、パフォーマーの方たちを紹介するコーナーである。
かねてより注目していた柳家紫文さんが紹介されたのも嬉しかったが、その他いろいろと心に引っかかる芸人さんが紹介され、気になりつつもなかなか生で見る機会も無いよなー。
なんて思っていたところにこの企画。
ここで紹介された中でも彼女のお薦め芸人さんだけ集めたライブである。
紫文さんも出るし、何より私が気になっていた太田スセリさんの素顔が初めて拝める!
寒空はだかの「東京タワーの歌」も聞ける!
ということで紀伊国屋ホールにいそいそ出かけてみました。


はじまってからお腹がすくといやなのでまず何か食べよう、ってことで新宿で一人のときはまずここ!というベルクに向い、ベーコンドッグを食べここでしか飲めないエーデルピルスを飲み、しばしゲルマン魂な気分に浸る。ここのベーコンはほんとに旨い〜。
ちょっと酔いがまわっていい気分でいたのだが、気がつくと開場時間を過ぎていたので慌てて紀伊国屋ホールへ。
ま、指定席なので慌てなくてもいいのだけど。
中に入ると舞台の前で何か話をしているお爺さんがいる・・・と思ったら、永六輔さんだった。
開演前にお客さんを飽きさせない配慮か、いろいろと雑談のようなお話をしている。
すごいサービス精神だなー。
ただ、靖国神社とかの話はちと、仕事帰りの身には重たいです・・・。
開演前に木村万里さんが紹介される。
上品な感じの人だ。なんか、彼女が選んでくる芸能の雰囲気がうなづける気がした。

出演は

柳家紫文
寒空はだか
あべあきら
太田スセリ
すわ親治
ねこマジ
国本武春

の順番だったと記憶している。

紫文さん、寒空はだかさんのときは演芸場の雰囲気で、ということなのか照明が甚だフラットな感じだったのだが、そういう雰囲気を見慣れている私からするとちょっと寂しかったかな。
ホールならでは、という何かが欲しかった気がするけれど。
でもまあ、それぞれの芸人さんに初めて触れるお客さんが多いのだから、その人の最も代表的な雰囲気を見せる意味ではあれで良かったのだろう。
どうやら初めてのお客さんも、私がはじめて紫文さんを観たときの「えっ???この人がこんなことを?」という、つっかえ棒をはずされてカクッとなるみたいな気分を味わってくれているらしいぞ・・・。
客席を見回すとそんな様子がうかがえ、なんだかニヤニヤしてしまいました。

しかし今回のヒットは個人的にはやっぱり太田スセリさん。
この人につきます。
ラジオで聞いている分にギターの方が体より大きいような、ちびまるこちゃんみたいなちんちくりんのオーバーオール系の女を想像していたのだけど、いやー実物はといえば・・・。
背、たかーい!意外と美人!(小林幸子系だが。)
抱えたギターが小さく見える。ストラップ短すぎないか?
ラジオで聴いている限りは自虐ネタっぽい歌が多いので、見ていて辛くなりそうな予感がしていたのだが、そんなこと無かった。
自虐的だけど、ドライで痛々しくならない。
負け犬ネタだったり痛い女ネタだったりするが、身につまされない。
エンターティメントとして聴ける。彼女の世界観だろうなー。
そこまで振っ切れてしまう彼女がカッコよく見えると同時に、抱きしめたいくらい可愛く見えてしまった。
たぶん私の方がちょっとだけ若いのだけど・・・不思議だ。
うーん、ファンになっちゃったかも。
「女の自虐ネタ」というところでは後に出てきたねこマジもかぶるんだけれど、彼女達の場合こちらに同意を求めているようなところがやや私にはフィットしなかったなー。

あと印象に残ったのはすわ親治さん。
昔、ドリフの全員集合で、ときどき奇矯な笑い声を上げながら舞台を走り抜けていた人。
当時は訳がわからなくて恐ろしかったが、今回初めてステージを拝見しまして、面白くてびっくり。
ブルースっぽいギターも味があって巧いし、全体的にすごい安定感。
貧乏ゆすりさえ芸になってる。
「ハムスター♪食べたその日か〜ら♪」はウケた。

ラストの国本武春さん、初めて生で見たけどソウルフルでした。
登場するや三味線でボ・ディドリーみたいなジャカソロとウィルソン・ピケットみたいな客いじり。
その後もとにかくギターみたいに三味線を弾く。
つくづく「楽器は楽器」なのだなあー。それ以上でもそれ以下でもないのだ。
テネシー帰りってことはアメリカ南部音楽志向かしらん?
ケイジャン・ザディコ好きな私としてはちと興味を惹かれるところ。

全体的に中毒性のある芸風の人が多かったので、いろんな麻薬を一度にやったような気分。
頭の中に原色の燐粉が舞っているみたい。
今夜は悪夢を見そうだよぅー。