鈴本演芸場9月上席夜

えーと、リベンジです。
夕方から時間ができたので、この前果たせなかった「徒歩で寄席」ってヤツに再挑戦です。
私もしつこいね。
でも、今回立ち見だったときを想定して、往路は電車にした。
5時15分に家を出て、5時半には上野に着く。近っ。
なんだかやたら若いやつらが多い。上野ってこんな街だっけ?


鈴本は心配していたほど混んではいなくて、たぶん私が入った時点で100人前後だったのではないかな。
余裕で座れて、拍子抜け。
落語ブームが落ち着きを取り戻したのか、単に夏休みが終わっただけか。
でも以前に比べると、私語をなかなか止めない人が目に付くような・・・。
あと、いつまでもいつまでもいつまでも、お菓子のビニール袋をパリパリ言わせてる人。
私の前の席の夫婦(?)も奥さんの方がけっこう喋る人だった。
椅子を蹴ってやろうかと思ったりもしたが、いやいやこれも寄席の味だから・・・ということで噛みしめて味わうことにしました。ううう・・。


本日の出演は以下の通り


入船亭扇里
林家正楽
橘家文左衛門
入船亭扇橋
仙三郎社中
橘家円蔵
(仲入)
柳家紫文
柳亭市馬
三増紋之介
入船亭扇好


正楽さんの紙切りあたりまではずーっとザワザワしていた。
ほんと、私語が多いんだ。
高座の人が喋っていなけりゃ、自分らが喋っていいと思ってるのか・・・正楽さんの紙切り中とか紫文さんの三味線の間とか、喋る喋る。
小声だからいいと思うなよっ!


客の喋り声が気になる・・・というウラには、どうも鈴本演芸場の音響があんまりよくないような・・・というのがある。
演者が何を言っているか、まったくわからないときがあるのだ。
マイクの音が小さいのではない。
音はじゅうぶんだけど、声が会場の前の方で拡散してしまう感じ。
メリハリがないタイプのシャベリだと、聞き取れない。
噺家さんの場合ナレーターではないのだから、ボソボソした喋りも味なのに、一音一音が拾えてない。
「え?え????」って思っているうちに話がわかんなくなったりするのでツライ。
きちんと前を向いて発声する人はまったく問題ないが、アゴを引いた姿勢での発声になるとけっこうダメみたいだ。
マイクの指向性の問題かなあ?
ちなみに末広亭池袋演芸場ではそんな風に感じたことはない。


今回は全体に「こなしている」感のある人が多かった。
演じる方にとっては毎日の仕事だもんね。
でもねえ、観る方は違うんだぞ。
揶揄するみたいに「土曜の客」という言い方をしていた噺家さんがいた。
思うのは勝手だけど、わざわざ言わなくても・・・・。


まー、文句ばっかり言っててもしょうがないので、印象に残った演目など。
橘家文左衛門「天災」、声が聞き取りやすくて、八五郎キャラも威勢がよくってよかった。話の間中、お客が八五郎が何か言うのを待っている。みんなが楽しんで聞いている証拠だ。
仙三郎社中の大神楽は、何度か見ている目には例によって例のごとく、って感じなんだけど、今回お客の反応がすごく良くて盛り上がった。初めて見た人が多かった様子。
三増紋之介の曲独楽の時も同様。
こういうときは、お客を見ている方が面白い。
紫文さんも約1ヶ月ぶりに観る。
ん?なんかヘン、と思ったんだが、よく考えてみると私が彼を寄席で見るのは2回目だ。
座って演奏しているところを見た回数の方が多いので、立って弾いているのがヘンに見えたんですね。
寄席ではこれが普通なんだった・・・。
時間が短かったせいか、手堅くまとめたな、という印象。
今回は前述の理由でもって、演者の声を気にしながら聞いていたので今更気がついたのだが、紫文さん、個性的で面白い声だなあ。(中尾隆聖という声優の声にちょっと似ている。)
鬼平」もこの人がこの声で演るから面白いんだよね。
同じネタを何度も聞く気になるかどうかはソレだな。歌と同じだ。
最後、入船亭扇好「明烏
この安定感と疾走感がいいバランスで楽しめた。
若く見えるんだけど、声も仕草も軽やかでしなやか、という印象。


そんなこんなで寄席は終わったが、このままでは「徒歩で寄席」ではない。
当然、歩いて帰るわけである。
上野公園コースは青いビニールに住んでるおじさん達がいて怖いので、不忍通りコース。
歩いて帰ってきたって別に疲れるだけなんだが、その、なんというか、寄席との「地続き感」がが楽しい。
池之端、根津、千駄木、谷中・・・っていうコースだから字面だけ観ると風情あるしね。
でもまあ、不忍通り沿いはお店が閉まるの早いんで、現実は存外寂しい帰り道なんだけど。