圓朝まつりに初めて行ったのは3年前。
そのころはまだ椎名町に住んでいたが、初めて谷中に来てみてその雰囲気をいっぺんに気に入った。町の中に昭和も江戸も明治も大正もぜんぶある感じがして。
普段は高座の上にいる芸人さん達が普通に売店をやってたりゴミを片付けたりと労働しているのが何か壮大なシャレのようで面白かったし、浴衣や着物で働きまわる姿が谷中の街並みに溶け込んでいた。
こじんまりしたいいお祭りだな、と感じると同時に、「こういう祭りはやっぱり、徒歩でぶらりと来るのが美しいのでは?」という思いに強烈に襲われた。
2回目、昨年の圓朝まつりのときには不動産屋があるたびに立ち止まる私がいた。
そして今年、私は谷中に住んでいる。
全生庵からは徒歩で10分強。
いやー、なんだか我ながらすごいと思うが、もしかして自分はバカなんじゃないかと思わなくもないです。
つまり「圓朝まつりに歩いていきたい」というのが引越しのおおきな動機だったわけ。
しかし、これって嬉しいのは年に一回だけよね。


当日はなぜだか朝7時頃目が覚めてしまった。
早めに行こうかとも思ったが、友達との約束が午後なのと、やっぱり近所だということで油断。
10時頃からのろのろと浴衣を選び出し、着付けて出たのが11時過ぎ。
よみせ通りを三粼坂方面に進んでいくと、なんだかどんどん人が多くなる。
ただでさえ谷中は土日の散歩客が多いのだが、尋常ではない。
三粼坂について全生庵方面を見たら、どえらい行列が目に入り胆をつぶした。
そういえば土曜日、アド街ック天国で「谷中」を特集するといっていたが、そのせいか・・・?
列に一度並んでみたものの、目の前が白くなってきたので、自宅へ引き返す。
それがちょっと、気分がよかった。
「あら、混んでるわね。いいわ、どうせ近いから、涼しくなった頃また来るわ。」てなもんである。
うわーい、私は、これがやりたかったんだーい。
もうすでに満足。
(いや、やせ我慢でなく、マジで。)


もともと売店で売っているものがとくに欲しいということは無く、芸人さんのサインをもらいたいとか写真取りたいとかいうこともない。
祭りに行ってもたいてい本堂で友達とゴロゴロしながらおしゃべりしている。
外には芸人さんがいっぱい。ときどきパフォーマンスがあったり、何事か盛り上がったりするのが聞こえたり。
その空間とか雰囲気が楽しいだけ。ゼイタクだなあーって思えて。
だからまあ、そんなに残念でもなかった。(ほんとだって!)


家にもどって妹の茹でたソーメンを食べてから駅まで友達を迎えに行き、また家でアイスを食べ、再度繰り出したのは4時頃であった。
もう一人の友達と合流し境内に入ると、人は減ったにしても去年の同じ時間帯からしたらかなりの混み方。
暑いので、もうどうでもよくなる。
ただ福扇はコンプリートしたいので購入。
「金沢の女」と「住吉踊り」を見ないことには夏が終わらない気がするので、それだけはしっかり見て、今年の私の圓朝まつりは終わった。
ま、いいんじゃない。


その後、夕焼けだんだん下のにわか作り的オープンエア酒場「夕焼け酒場」で友達と飲む。
お料理もお酒もちょっとオイオイ・・・というようなレベルなのだが、壁や天井が無いことが開放的なのと、働いている女の子の笑顔がとてもいいので、のびのびとかなりくつろぐ。
蚊には刺されたけど。
お互いに面識は無かった友達どうしが、かなり打ち解けて盛り上がってくれた。
私を介して、人が仲良くなってくれるのはとても嬉しい。
それでその後私の家に移動して、妹も交えて呑んだわけだが、嬉しすぎて私は・・・呑みすぎたらしい。
どうも浴衣で歩き回ったので、思った以上に疲れていたのもあり。
気がついたら誰もいなくて、浴衣のまま布団で寝ている私。
なぜか帯だけ無くて、散らばる腰紐。謎の筋肉痛。
何がどうしてどうなったのか???
ぜんぜん記憶が無い。
ああ、またやってしまったようだわ・・・。
その都度反省しているというのに。
前回なんか知らないうちに捻挫していて、いまだに正座ができないというのに。
いつか私は、酔っ払ったまま死んで、死んだことに気付かずに家に帰ってきたりしそう。
(うう、同性だけの飲み会でよかった・・・。みんなゴメンネ!)


こうして私の夏は行くのであった。
あんまり圓朝まつりと関係なし。