圓朝まつり

今年もこの日がやって来ました。
落語ファン感謝デー、大人の文化祭「圓朝まつり」
私にはブラジル人にとってのリオのカーニバルに匹敵する楽しみなイベントである。
今年も浴衣でいそいそと・・・友人二人と妹までも巻き込んで出かけてまいりました。
毎年この時期は天候が安定しているのか、昨年と同様快晴の炎天下。
会場に着いたのは13時前後だったかと思う。
着いてすぐ腹ごしらえに食べたカレーが美味しいけど相当辛く、化粧が汗でほとんど流れる。
妹は焼き鳥丼の店番の噺家に「美人のお客様」と連発されたり、通りすがりのカメラ小僧ならぬカメラおばさんに「素敵だから」といって写真撮られたりしていた。
浴衣効果なのか・・・美人度30%増し(当社比)。
大変な人ごみの中の間に間に、寄席で見かけたことがあるあの顔、この顔。
昨年より寄席通いの回数も踏んだので、わかる顔も増えた。
それが自分と同じ地面に立って、ゴミをひろったり食べ物売ったりしている姿が面白い。
寄席で見たときにさほど面白くなかった人でも、ここで汗だくで働いてる姿を見たら応援したくなったりして。
今年は芸人さん達に余裕が見られ、自分達でも楽しんでいるという雰囲気があってよかった。
ときどき入るゴミ隊パフォーマンスが、のんべんだらりとしがちな暑い一日にアクセントをつけてくれる。
(大江戸台風族のラップは裏打ちリズムで難しく、年配が多い客層では皆固まってしまっていたが。)
疲れたら本堂で休みつつ店をあちこち物色し、特に思いいれもないけど行きがかり上林家一門と写真を撮ったりなんかして。
何かするととにかく噺家さんが盛り上げてくれるので、ホント気分いい。
人間なんて単純なものね。
福扇を買ったので、裏側に菊之丞さんにサインしてもらった。
近くで見るとホントに小柄で腰の低い控えめな青年という感じ。
この人の中にあの若旦那も、あのおかみさんも、あの与太郎も、あの若い衆も入ってるのか・・・と思うとあたかも北島マヤ(byガラスの仮面)を目の前にしているような感慨があった。
頂いたサインの筆跡はたいへんに美しく、ファン心理を裏切らないものでした。
サインをもらって立ち去ろうとしたら妹が、「サインをもらっといて何も買わなのは失礼だよ!」とかいうので、菊之丞さんの店のポップコーンを購入。
暑いので正直ポップコーンは勘弁・・と思っていたのだけど、食べてみるとこれがなかなかイケました。塩味が強めについてて、ビールのツマミにはピッタリ。
見くびってました。来年も買います。
んで、妹に菊之丞さんに関して「ああいう人が好きなタイプなの?」みたいなことを言われたのだが、そーいうのではないのよ。
好きなんじゃなくて、ただただ「いい」んだよねえ。
枝ぶりのいい樹木を見るような感じ。
男として好みというのではなくてね。
それから、「生き方のモデル」として、ああいう人は好きなの。
リスペクトってヤツよ。
てなわけで私は男の人はもーちょっとゴツイ感じの方が好きさ。

あっというまに終わりの時間がきて、オークションと住吉踊り。
「函館の女」の曲にのせての踊りがあったのだが、「はるばる来たぜ、函館〜♪」の部分で段ボール箱を立てるところがあり、それを見てお客さんが口々に「おお!立ててる。」「箱を立ててるよ。」とボソボソ言ってたのが笑えた。
三本締めで終わって境内から出ると、帰りの道端で市馬さんと権太郎さんが歌謡ショーをやっており、楽しそうにアカペラでナツメロを歌い続けていた。お客のリクエストに答えて、いくらでも歌ってくていれる。
どうやらお祭りの間にも、外でゲリラ的に歌謡ショーをやってたらしい。
気がつかなかった。悔しい。
すぎてしまうとあっという間だった圓朝まつり。
ほんとに楽しかったあー。
普通の縁日やお祭りには無い楽しさは、こちらが受身でいても楽しませてもらえるってことにつきるかも。
終わってしまった後、なんだか「ゆく年くる年」が終わった後のような虚脱感を感じた。
でもまあ、圓朝まつりがあるならば、つらいことがあってもとにかく来年まで生きていなきゃって思えるわね。

ところで会場には案の定浴衣の女性が多かったのだが、年齢層が高いためか「帯の上乳のせ」系で襟元や裾が開いちゃってるような浴衣女子は皆無だった。
ま、そういうタイプのお客がいればいたで、若手の芸人さんなんかある意味張り切っちゃったりするかもしれないけどね。
全般に大人っぽく品の良い柄のものをキレイに着ていて、帯結びも文庫一辺倒ではなくさまざまで洒落ていた。そういった面でも楽しかった一日。

それにしてもパンフレットの「ご気分が悪くなった方はお近くの芸人までお申し出下さい。」という文言、何度読んでも可笑しい。
具合が悪くなって芸人を呼ぶ、なんてないでしょ、フツー。