4月は落語ざんまい

日記がストップしているのは、落語を見ていないからではない。
それどころか、今月は「もうやめときなさい!」といわれるくらい行ってる気がするですよ。

まず、上野広小路亭にて「志らく一門会」
今回はらく朝さんの二つ目昇進お披露目会だった。
らく朝さんはヘタではないのだが地味で、私はあまり好きではないんだけど、やっぱり二つ目になると輝きが違う感じがした。
志ら乃さんが二つ目になったときもそうだったが、目の中に何かキラキラとギラギラの中間のような光が宿っている。
自信を持つということは素晴らしい。
この日はネットで知り合った志らくファンのT君と行ったのだが、「落語のピン」時代の熱心なファンで、生で見るのは初めてとのこと。
がっかりさせたらどーしよう・・・などと妙な責任感と緊張感を感じつつ感想を聞いたら、最後の「志らくが弟子の落語を批評」のコーナーがものすごくおもしろかったと言っていた。
確かに!
そうそう!自分も言いたかったの、ソレ!って溜飲が下がるコーナーなのである。
志らく師匠の「堀の内」もよかった
終始ドタバタしているだけで核の無い話なので、面白く演じるのは難しい噺だと思う。
ダンナのくだらないギャグにうけまくるおかみさんのキャラが最高。

で、その数日前に私は、ふらりと単身で末広亭に行っていた。
昭和のいる・こいるが目当てである。
何度かお正月の演芸番組で見て気になっていたけど、先日のラジオ出演でハートにとどめを刺された。
「健康第一」というタイトルの漫才だったのに、健康の話題なんてほとんど出てきていなかったのだ。シュールだ。
生で見るのいるこいるは、期待にたがわずすごかった。
のいるさんの無責任ぶりったら、もうすごすぎる。
かぐや姫は桐のタンスを持ってきたんだよねえ。だって家具屋だもんねえー。」
こう、書いてしまうとつまらないが、生で聞いたときにはなぜか死ぬかと思うほど笑った。
のいこいグルーヴに巻き込まれ、もう何言われても可笑しいわけです。
その他もまあまあ、よし。
というか、今月は落語を見すぎて、そうとうインパクトが強い人じゃないと印象に残ってない・・・。
あ、この日のトリはこぶ平の「子別れ」だったけど、泣かせようとしすぎて私はダメだった。

そしてその何日か後、母が上京したので、末広亭に連れて行く。
昼席の終わる頃入って、夜席を途中まで・・・と思ったが、結局全部見てしまった。
金馬師匠の「長屋の花見」なんか味わいがあってよかったのだが、この日、私と母と妹の話題をさらったのは、桂文生の酔っ払い噺。
タイトルは忘れたけど、とにかくその酔っ払い演技が凄い。
「(知り合いの酔っ払いの)いろんな人の顔が浮かんだ」とは、母の談。
自分が今まで見てきた酔っ払いの要素が、余すところ無く入っていた。
リアルだったんだよね。
眉を交互に上げ下げしたり、体をゆらゆらしたりするのがまた・・・。
若かりし父の姿もちょいとよぎる。
個人の経験に応じて、いろんなものがオーバーラップしてくるのも、落語の楽しいところねー。
あと、粋曲の柳家紫文がよかった。
根津甚八系のシブい感じなのにトボケたギャグをかましてくれる。
「七味が十二味に・・。」のネタはどこかで使おうと心の中にメモメモ。
あと、扇橋師の「鶴の由来が思い出せなくて泣いちゃう与太郎」も印象的だった。この人の与太郎はボヘーとしててかわゆい。

さらにまた数日後、妹を誘って鈴本演芸場へ行く。
本当はのいるこいるが見たかったのだけど、休演とのこと。
代演のにゃんこ・金魚の熱演に免じてそこはガマンしといてやるにしても、やや地味な噺家さんばかりでちょっと残念。
にゃん・金は突っ込みのとき、腕が真っ赤になるほど本気で叩いてて、ネタはそれほどじゃなくても迫力で圧倒された。
そして!ヒザ送りの小円歌ねえさんがよかったっ!
きれいなのにサラッと漫談かまして、三味線はあたりまえのように巧くてカッコイイ。
自分にセクハラする人たちを「おじいちゃん達」と呼ぶことで逆襲しているのが、キモチイイ。お尻触ったりする人たちは自分がおじいちゃんだなんて思ってないんだもんね。
美人だし、カラッとしてるし、なんとも後味がいい。
また見たい。
この日、トリは金馬師匠であった。
彼を目当てに観に行くことはないのに、なぜか毎回見るハメになる。
でもいつでも安心して見られるし、気持ちがほんわかする感じがして、好きだ。
題名は知らないがお酒を五升飲む噺。
酔っ払いぶりが文生とくらべて愛らしい感じであった。

さて、今月はまだ鈴本演芸場の下席に「菊之丞主任」というやつが控えていたりする。
うわあ、誰か止めて!
とか言いながらまた見にいってしまうのでしょう・・・。
お財布が寒いーっ。