黒門亭

このページをネットで偶然見つけてくれてメールを頂いたことから知り合った菊之丞ファン仲間のSさんから、「土曜日に黒門亭に出るのでいきませんか」とのお誘い。
黒門亭落語協会の二回でやっている小さな寄席だ。
新宿で5時半頃に仕事が終わり、猛スピードで駆けつけたが開始に間に合わず。
黒門亭は定員制(40名)だけに非常にあせる。場所もわかりにくくてちょっと迷った。
なんとかたどり着いて券を買うと、38と番号が振ってあった。ぎりぎりセーフである。
二階への階段を上がっているとき、背後で「入門希望者なんですけど。」という声がした。
振り向いたら二十歳くらいのかわいい女の子が受付のオバサンと話をしている。
誰に弟子入り志願なんだろう?なんて気になりつつ中へ。
入ると菊可さんが熱演中だった。
10畳くらいかなあ・・・もう少しひろいかな?くらいの畳の座敷に高座がしつらえてあり、客は座布団に座ってみている。なんともアットホームな雰囲気。古今亭菊可「酔っ払い」
橘家仲蔵 「尻餅」
柳家小袁治 「堪忍袋」
古今亭菊之丞 「不動坊」
菊之丞さんのネタが不動坊で嬉しかった。
この噺、ばかばかしくって、大好きだ。登場人物のキャラがしっかり立っていて、ちょっとアメリカのコメディ映画みたいな味わいがある。
以前志らく師匠のジェットコースター感覚のスピーディな不動坊を聞いて、それはそれで大変楽しかったのだが、菊之丞版「不動坊」もなかなかだった。
間の取り方やため方が見事!圓菊師のマネも大ウケだったが、物まねで引っ張らないところが菊之丞さんらしいというか。
噺が進むにつれて場の空気がどんどん沸き立ってくるのが感じられて、大笑いしながら鳥肌が立っていた。
ああ、この空気が好きなんだよね。
何十人の大の大人がたった一人の言葉にたわいも無く転がされて喜んでいるあの感じ。
あと、印象に残ったのは小袁治師匠の酔っ払いぶり。
小さい頃近所で寄り合いなどがあったとき、かならず一人や二人はいた「ゴキゲンな酔っ払い」そのものである。菊可さんも酔っ払いをやっていたけど、「演じてる」っていう感じがまだ抜けない。
小袁治師匠はナチュラルなんだなー。マクラの「リラックスする腕輪の話」もよかった。
小さい会のせいか演者がみんないい意味で力を抜いてやっている感じがよかった。
不動坊をやりながら、菊之丞さんがどんどんノッてくる様子も手に取るようにわかったし。
また行こうっと。安いし。(千円!)
ただトイレが一個しかないこと、仲入りが無いことなどは考慮した上で行かねば・・・。

ところでSさんは会がハネたあと、私と一緒にちょっとサンドイッチをかじり、そのまま新幹線飛ばして帰っていった。(いや、彼女が運転しているわけではないが。)
日帰り菊之丞ツアーだったのだ!脱帽!
人と一緒に落語を見たのは二回目だが、連れがいると心置きなく大声で笑えて気楽だ。
どうも一人だと、声をあげて笑うのって恥ずかしい・・・・なんて思ってても、たいてい最後の頃は声を出して笑ってしまっているのだけど・・・。
ぜひまた来て下さい!