末広亭昼席と夜席

お休みだが雨でアンニュイな昼下がり。
なんとなく落語協会のHPをチェックしていたら、末広亭夜席に菊之丞さんの名が!!
でも「本日の寄席」では昼席に名前がある。
まあ、ひまだし、今日行っておかないとしばらく行けない!という危機感にかられ、昼席から夜まで通しで見ようと新宿に向かったのであった。
末広亭に付いて顔付け表をみると、「菊之丞」の名は夜席に。
どっちなんだ!!と思いながら、長丁場になりそうな予感を感じつつ、圓朝まつりでもらったタダ券を受付に差し出すと、すんなり中へ。
ちょうど三遊亭歌之介さんの噺の途中だった。
「B型人間」かな?ばかばかしくて好きなネタであるが、かなり終盤だったらしくすぐ終わってしまって残念。
「刑事ヨロシク」時代のの戸川純のような雰囲気のお茶子さんに案内されて、初めて桟敷に座る。
まさか畳がナナメになっているのとは。お尻がつるつる滑って座りにくい。
また、靴を脱ぐため思いのほか寒い。寒がりさんには椅子席がおすすめだ。
でも雰囲気は抜群。昼席と夜席の間に、思わず助六弁当を買って桟敷で食べてしまった。
いなり寿司は嫌いなのに、こんな場所だとなぜかおいしい。
雰囲気も一緒に食べているのネ。昼2時頃から夜席終わるまでいたので、全出演者のネタはとても記憶できず。
印象に残ったものだけまとめます。
まず菊之丞さんは今回「町内の若い衆」で無難にまとめていた。
ご贔屓から送られた鮮やかな青の羽織でのお出まし。
岩手の酪農関係によばれたときの噺をマクラで。そのときの岩手弁のさりげなく見事なこと!
私の前の席には、岩手からきたというお客さんが3人座っていて、大喜びしていた。
それからなにげに好きな金馬師匠。古典ではなくて新作落語だと思うが、不健康比べをしているうち、お互いが自分は死んだと言い張り、それを相手に伝えろと妻に言う噺。
金馬さんは、ほのぼのとあったかくてイイ。
あと、太神楽曲芸。地味だけど最近しみじみ好きになってきたなあ。
予定調和ではあるけれど、押し付けがましい迫力は無いけど、生だから失敗するかもしれないし、いつのまにか引き込まれて見てしまう。一番若手の和助さんがリスザルみたいでカワイイ。
また、ラジオで耳にして以来気になっていた近藤志げるさんのアコ漫談をはじめて生で見た。「野口雨情物語」であった。アコーディオン浪花節とでも言おうか。漫談ではなく叙情的な語り芸で、辺りを見回すと目頭を押さえているオジサン方、多数。私もちょっとジーンときてしまった。
昼席のトリは権太郎師。
私は恥ずかしながら圓朝まつりの「ゴミ隊」での活躍しか存じ上げなかったのだが、今回の高座をみて「スゴイ!面白い!」と感激した。
借金取りをにらみかえす噺で題名はわからないが、凄みがあって怖くて、でもマンガチックで可笑しい。魅力的な高座だった。
薪屋に対して凄むシーンなんかヤクザみたいに迫力あったし、この人に怒られたらさぞかし恐ろしいことだろう。でも裸の大将みたいな頭の足りなさそうな表情もあり、他の噺もいろいろ聞いてみたい。
平日の昼席にしては立ち見まで出てどうしたんだろうと思ってたら、どうやら権太郎さんのファン達だったらしい。
夜は昼席より知ってる人が少なかったのだが、いつも平成落語家ジョッキーで声だけは聞いている林家彦いちさんの高座を初めて見た。うーん、ラジオそのもの。落語家ジョッキーを生で見ているみたいな感じだった。国士舘時代の先輩に偶然あった話、右翼な桃屋さんの話。漫談だったけど面白い!
有名な川柳川柳師も夜見る。かなり毒舌。立川談志と同じように、マニアックなファンが多そうな芸風だなー。
でも彼のジャズに対する思い入れは、ウチの父親と同じような性質のものかもしれない。
戦争が終わって、はじめてジャズを聞いて、「なんて自由な音楽!」とショックを受けた人たちだけが持つ、強烈な思い入れ。戦後世代の私たちには計り知れない。
なにはともあれ、うわさのガーコンを見られてよかったです。座布団の上に立っちゃう噺家さんも初めて見たよ。
今回見た中で流行語をマクラにとりいれている噺家さんが何人がいたのだが、ああいう言葉はあっというまに古くなるから注意して欲しい。
いまさら得意げに「朝シャン」「バッチグー」とか言ってた人がいたのでちょっと気になった。