圓朝まつりと志らく一門会

夜は志らく一門会に流れるつもりだったので疲れるのもイヤだなと思い、夕方四時ごろに千駄木へ。
今回は友人二人も誘ったので、落語ビギナーに最初からあまり濃いのも嫌われちゃうかな、なんて私なりの配慮をして時間調整したつもり。
でも思いのほか楽しんでもらえて・・・こんなことなら朝から来ちゃえばよかった、お祭り・・・。6時までだったのであっという間!
全生庵というお寺の境内なのでスペース的には小さいが、来るのは落語ファンばかりで、お祭りヤンキーやバカなカップルもいない。
客も芸人さんをおっかけまわしたりせず、つかず離れずオトナである。
何よりスタッフが全員芸人さんなので、そのホスピタリティたるや並大抵ではないのだ。
人を楽しませるのが嫌いで芸人になったヤツぁいないわけで、サービス精神豊かでイイ。声が大きく、盛り上げるときの間の取り方、声のかけ方がイイ。
有名どころも無名どころもみんな汗だくになって一生懸命になって、どんなに大変でも気持ちはお客さんの方を向いていて、プロフェッショナルな文化祭といった風情。
あとねー、ヘンな話だけど芸人さんって汚くないとこがいいの。
こざっぱりしてんのよネ、全体に。
これって垢抜けているというのかな?

バーテンの資格があるという小田原丈さんのカクテルを頼んだのだが、3人分一緒に作ってくれたのでシェイカーに嵌めた大きいグラスが抜けなくなり、周りから容赦なく「ニセモノ!」なんて突っ込みが入ったりして可笑しかった。
ネタにできるところは見逃しません!という皆様の気迫を感じました!
気さくにポップコーンを売っている菊之丞さんもお見かけしたっけ。おお、普段はメガネなのね。フチなしメガネがクール。
ちょっと楽しみにしていた彦いちさんの「いたわりの男」だが、板が売り切れにつき店じまいとあった。ザンネン。
あと顔がわかったのは、ゴミ隊の権太楼さんとオークション司会の志ん五さん、それと住吉踊りの中にいた佐助さんくらいか。
もうちょっと落語協会の芸人さんのこと勉強していけばよかったなあ。
真打レベルの人がたくさんいたのに、ほとんどわからなくてもったいなかった。
帰り道、蕎麦をたぐりつつ来年のリベンジを誓った私たちだったのであった。
来年までに落語協会の落語家さんの顔をたくさん覚えること。そして、朝から圓朝まつりにくる事。ところで今回私は浴衣を着ていったのだが、二本歯の下駄で歩くのに慣れていなかったため、全生庵の石段でつま先を欠いてしまった。
かなりお気に入りの塗り下駄だったので、ショックである。

その後志らく一門会。
圓朝まつりから流れたので、今回は友人二人も一緒。
お笑いに知り合いを連れて行くのは緊張するもんだ。
笑いのツボって個人差あるから、私はすご面白いと思っても彼女達にはたいしたことなかったりするかもしれないという可能性があるので。
谷中の大島屋で蕎麦を食べていた関係で、開始時刻を過ぎてからの到着。
すでにらく次さんの噺がはじまっていた。スイマセン。立川らく次金明竹
立川こらく「ちりとてちん
立川志らら鰻屋
立川志ら乃「天災」
スマイルピクセル「鶴の恩返し」
立川志らく「もう半分」
らく次さん、客人の関西弁の言い立てが見事。
まだ噺と一体感が無い感じがするけど、その辺が初々しいというかナ。
こらくさんの落語は初めて聞いたが、サ行の発音の息が漏れ気味なのが気になった。あれを個性としてそのまま持ち続けるのか、どこかで直すのか・・・それによって今後が変わるような気もするが、ちょっと華がない気がしましたですねー。
志ららさんが出てきた瞬間、ググッと客の気をひきこむパワーを感じた。やっぱり二つ目と前座の間には深い川があるなあ。
二つ目になると個性の萌芽が見られる。まだまだ発展途上だけど、各人のカラーがだんだん見えてきている。
志ららさんは明るくてちょっとエッチという方向で、私の中では固まりつつあるのだがどうかしら?ちょっとエッチがもーちょっとこなれてくると照れずに聞けるんだけど。あ、でも今回はべつにエッチじゃなかったですが。
自称「鬱病」の志ららさんなのに、マクラの雑談が爆笑モン。もっと聞かせてくれー!
志ら乃さんはもうほんっとにこのところめきめきと伸び盛り。
で、志らく一門の二つ目の中ではいちばん正統派な噺家さんだと思う。今回の「天災」は過日のシネマ落語のときに聞いた志らくさんのとそっくりだったけどね、安心して聞いていられるのがいい。何より活舌がよくて聞きやすいのでいい。
落語が続いた中のスマイルピクセルは異様だったけど、友人二人には非常にウケていた。特に鶴の隠し部屋を横から見た場面と、意外にも(シツレイ)らく次さんの微妙な笑みがよかったそうだ。
こしらさんのネタはいつも終わってから妙に後残りする。帰りの電車では鶴の話題でもちきりだった私たちです。
ラスト、志らく師匠。ここんとこ怪談ばっかり聞いてたので今回は笑わせて欲しかったのだが、願い空しく怪談「もう半分」でございました。
でも自殺する八百屋のおやじの描写が真に迫ってて、ホントにかわいそうになってしまった。
不思議だよなあ。そこにその人が存在するわけでもないのに、胸が痛むくらい可哀想というのは。落語マジックですな。
志らくさんのときは友人たちもいつの間にか身を乗り出して聞いていたっけ。
やっぱ真打はさらに違うっス。
そういや、今回の一門会は志ららさん以外マクラが短め、あるいはほとんど無し。
なんか理由があったのかな?