不動坊


基本的にこの「落語ノオト」はほとんど推敲せず、何か見たらなるべくスピーディに更新するのが身上なので、ときどき読み返すと取り留めなさすぎてわれながら呆れる。
んで、たまにはちょっとまとまったコラムっぽいものを書いてみたくなった次第であります。
じつは他のBlogに書いてたんだけど、やっぱ落語系はこっちにまとめようと思い、コピペ。



そういえば「グローイングアップ物」の映画って、最近ありませんね。
80年代初頭にはタイトルがそのものずばりの「グローイングアップ」とか「ポーキーズ」とか「初体験リッジモンドハイ!」とか、その他諸々の思春期モノの映画がたくさんあったように記憶しています。
だいたいがモテない男の子のグループが話の中心で、モテたくてモテタたくて、モテるだけじゃなくてさらにその先のことがしたくて悪あがきする姿に笑わされながら、同世代なら共感したり泣けちゃったりする。
でも大人目線で見ると、くっだらなくてえげつないドタバタコメディ映画。お色気シーンが満載なのも特徴でしょう。


落語は基本的に下ネタが前面に出ることはないので、「不動坊」もその例に漏れずそういうネタは無いのですが、それでも私ははじめて聞いた時、一連の「グローイングアップ物」映画を連想したのでした。
独り者ばかりが住む長屋のマドンナ的存在の未亡人お滝さんと、長屋の住人の一人が結婚することになる。嫉妬した長屋の男たちは腹いせに、お滝さんの無くなった元夫、不動坊火焔の幽霊に化けておどかしてやろうとたくらむが・・・という話。
キャラクターは10代の少年たちではありませんが、その悪巧みの準備から実行までが、じつにばかばかしくて中学生的。
登場人物もそれぞれにキャラが立っていて、そのまま翻案してアメリカで映画にしてもいけるんじゃないかと思います。
「グローイングアップ物」にするためにはエッチなシーンが無いといけませんが、その辺は悪巧み全員が屋根の上で部屋の中を覗いているシーンあたりを上手く利用して演出してもらいますか。
風呂屋のシーンもあるので、意味なく女湯を映してもらいましょう。
アメリカなら女子のシャワールームってことでOKかな。
風呂屋でのろけまくるシーンもシャワー室ってことにしようか。

しかし、ああいった映画では映画の最初と最後で、多少なりとも主人公たちが成長するものですが、「不動坊」に関しては成長したヤツは誰もいない。成長どころか、逆に退化していってる気さえします。
これじゃあ「グローイングアップ」にはならないやー。

この噺、私は5人の別々の噺家さんで聴いていますが、人によって「悪ガキ」たちのキャラクターが江戸っ子だったり、現代っ子だったり、マンガっぽかったりいろいろで、興味深い。
でも総じて「男の可愛さバクハツ」の噺であるなあ、と私は思っております。