志らくのピン パート3 シネマ落語編


会場を池袋文芸坐に移してのシネマ落語の第一回。
確か文芸坐に最後に行ったとき見たのは「カウガールブルース」と「パルプフィクション」の二本立てだったから、10年近く前になるのかも。
当時はまだ建物が古くて、壁にレリーフがあった。
地下で映画を見たのを覚えている。
それがひさびさに行ったらまあ、ガラス張りのパチンコ屋のビルの3階に!
まさかあんな建物だと思わないから、駅からあんなに近いのに探し回ってしまったよ。
およそ映画を、ましてや落語を見る雰囲気ではない。
しかしミスマッチを愛する私ゆえ、これはこれで心躍るものがあるのだな。
どんな感じになるのでせう?


ただ、今回初めての会場ということでスタッフの動きが固かったし、劇場側の人の指示の出し方が威圧的でちょっとカチンと来たところもあった。
ロビーにほとんどぎゅうぎゅう詰めで待たせておいて、ほとんど命令とも取れるようなきつい口調で指示を出していたのがいやな印象を受けた。
あと、働く前座&二つ目クン達がみんな洋服だったのが残念〜。
私が落語に通い始めた一つの理由に、「着物で甲斐甲斐しく働く現代っ子」を眺めるのが好き、というのがあるので。
これもミスマッチ愛である。
いやあ、しかしほんとにすごく混んでたなあ。
やっぱり落語がちっとばかしブームなのと、シネマ落語の場合映画ファンも来るせいもあるだろう。
しかし映画館だけあって座席はいままでのホール落語の中で一番よかった。
全身をすっぽりつつむので、多少座高の高い人が前に座っても見えなくなることはないし、ドリンクホルダーもついている。
席は真ん中よりちょっと後ろくらいだったが、高座は非常に良く見えた。
音響も、マイクで喋っている感じはしないのに声がとてもよく聞こえたので、良かったのでは。


今回は開口一番なしでいきなり志らくさんが出てきた。
初めて落語を見る人がいる場合に、最初に前座の話を聞かせると落語を嫌いになってしまうかもしれないので、とのこと。
確かに私もはじめて渋谷でシネマ落語を見たときに、最初に出てきた前座(二つ目だったかも・・・たしか志ららさんだった)の話にどっと疲れた記憶があるので、独演会の場合はそれもいいと思う。
(あ、いまではその「どっと疲れた」二つ目さんの成長も楽しみに見ていますよ!そーいう楽しみ方を覚えたのです。客も成長するのさ。)

「青菜」
「唐茄子屋政談」
「殿様の盃」
ローマの休日


「青菜」は菊之丞さんのが印象に残っているが、志らくさんの方がところどころに用語解説的な描写が入って現代っ子には親切。
「唐茄子屋政談」はあまり好きな話ではないのでまあ、うーん・・・。筋の通った話すぎてねぇ・・・。
「殿様の盃」は惚れた花魁と300里離れた田舎から盃のやり取りをするために、足の早い家来に盃を持たせて行ったり来たりさせる殿様の噺。なんかモンティパイソンのネタみたいでこれは好き!なぜか「世界かくれんぼ選手権」を思い出した。
今回、この噺で女にデレデレする殿様が一番リアリティあったなあ。
ローマの休日」・・・最後にいままでの登場人物が一同に会してのシネマ落語だが、今回はなんだか「通りすがり」的な使い方が多くてちょっと不満。「ここでこれがでてくるか!」っていうような驚きが少なかった。

古典3席やって、最後のシネマ落語にその噺の登場人物が顔を出す、というおなじみの構成。
ひさびさのシネマ落語だし、出来もそんなに悪くなかったと思うのに、ワタクシとしてはちょっと物足りなかった。
なんでだろう、と考えてみるに、どうも動きが小さく見えたような気がするんだよね。
普段は映画館なので緞帳も無いし、両袖に幕も無い。
がらんとした舞台の後ろが無地の白いカーテンで隠してあって、その前にいきなり!!って感じで高座がしつらえてある。
空間が非常に広く見えて、当然演者が小さく見える。
後ろに屏風でも置いてあれば違ったと思うけれど・・・。

ん、なんか今回不満ばっか書いてるな。
じゅうぶん面白かったんだけど、こっちの要求レベルが上がってきちゃったんだろうか。
それだな、きっと。

今回のこぼれ話。
私「妾馬」をそのまま「めかけうま」と読んでいたのだが、正しくは「めかうま」なのね!
あーよかった、どっかで言わなくて・・・。
危なく恥をかくところだったわ。
しかし「メカ馬」みたいでヘンだ。
逆に「メカゴジラ」は「妾ゴジラ」か。