シネマ落語「シャイニング」

昨年から諸事情により部屋にテレビが無くなり、ラジオのみで生活するようになった。
しかし電波状態があまりよくないためNHKとTBSラジオしか入らず、TBSで野球中継をやっている日はNHKという選択肢しかないので、そこで放送される演芸番組なんかを何とはなしに耳にするようになり、それが面白いことに気がついた。テレビより規制がゆるいのか、ちょっと過激なネタや色っぽい噺もやったりするので、そのせいかもしれない。
そんなんで意識して聞くようになって最近、立川志らくなる噺家が「シネマ落語」という独演会を行なうというラジオCMをTBSで何度もやっていたので、
映画も好きだしちょっと1回生で見てみようか・・・なんて、出かけてみたのでした。
内容は古典の落語3本と、映画を下敷きにしたシネマ落語という新作との組み合わせ。シネマ落語のお題は「シャイニング」。わりと好きな映画だから今回行こうと思ったんだよね。
一本目「不動坊」はスラップスティック、二本目の「鰍沢」はスリルとサスペンス。三本目の「雑俳」のくだらなさで方の力を抜いて、最後のホラースペクタクル落語「シャイニング」で大興奮、みたいな感じでメリハリあって楽しかった。
前の古典作品3本はうまく最後の話の伏線になっていて、最初の話に出てきたキャラクターが全員「シャイニング」に出てきたりする。
五人も六人もの登場人物を瞬時に演じ分けるのだが、今どのキャラがしゃべっているかきちんと分かる。別に声色を変えているでもないのに、これは不思議だった。前座のお弟子さんはまだまだその辺が出来ていなくて、登場人物の区別が聴いててぜんぜんわからなかった。
「雑俳」なんかストーリーだけまとめてしまえば実につまらない話だ。たぶん前座の彼がやっても笑えなかったろう。やっぱり真打と前座ってぜんぜん違うってことなのね。志らくが今日の前座の噺をやったら面白くなったんだろうな。ということで、ちょっと前座の彼は力不足。これから頑張ってほしい。
立川志らくという噺家はキャラ的には強烈な個性があるわけではないけど、本人の個性で押し切ってこない分、巧さが光る、という感じ。
しかし笑った笑った。一人で行ったのに声出して笑っちゃったよ。
笑ったあとはほんとに気持ちよい。
落語ってかなり、いいかもしんない。
また新しい趣味の世界が開けてきそうな、そんな予感がする今宵であります。